金融庁の「公認会計士制度に関する懇談会」第8回の模様を伝える記事。
この回は前回示された事務局案(3段階案)の検討を引き続き行ったようです。
「事務局案では元々、2段階目の試験を受験するための要件として3年程度の実務経験を求めることを検討していた。これによって多くの受験生がひとまず就職することになり、就職浪人問題が解決すると金融庁は見込んでいた。」
「しかし、1、2段階目の試験を一気に合格するような優秀な学生に3年間の実務経験を要求するのは適切でないとの意見が第7回会合で出た。・・・この「多様な登頂ルート」に対して金融庁が用意した答えは2つ。」
1つ目は一種の年齢制限を加える案ですが、これには反対が多かったようです。もう一つは、次のような、2段階目を一発合格した場合とそうでない場合で差をつけるという案です。
「一定の支持を集めたのはもう1つの案。これは「1段階目に合格した翌々年以降は実務経験がないと2段階目が受けられない」という案。つまり、1段階目を合格し、その翌年に2段階目も合格した場合は、その後に3年間の実務経験を行うが、2段階目の試験で不合格になると続けて受験することができずに、3年間の実務経験を積まないといけない。」
これも相当不自然で複雑な仕組みであり、到底うまくいくとは思えません。
「・・・この見直しは中身が旧来よりも重装備で、魅力が激減する」(青山学院大学八田教授)という意見も出て、収拾がつきそうにない状況のようです。
就職浪人問題の解決と経済界の主張する「名刺に書ける資格」のためだけであれば、試験制度は下手にいじらずに「公認会計士試験合格者登録制度」や「公認会計士試験短答式合格者登録制度」でもつくり、合格者の申請により、立派な登録証明書を総理大臣名で発行してあげればよいのではないでしょうか。もちろん、根本的な解決ではありませんが、十分時間と手間をかけて検討もせずに、懇談会の委員や金融庁担当者の思いつきで制度を変えるよりはましでしょう。
(前回の懇談会の資料より)
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今回の試験・資格制度の議論を見ていて気になるのは、金融庁や経済界が、会計士試験・資格を一般企業への人材供給源として考えている(らしい)ということです。(今の受験生に聞いたわけではありませんが)一般企業に入らなくても、そこそこ食べていける手段として目指す人も従来は多かったと思うのですが、想定している資格の性格が全く違うのかもしれません。