会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」公表(金融庁)

「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁は、ベンチャーキャピタルに関する有識者会議による「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項-内外機関投資家からの資金供給の拡大とスタートアップエコシステムの発展に向けて-」という報告書を、2024年10月17日に公表しました。

昨年12月に公表された金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」・「資産運用に関するタスクフォース」報告書や「資産運用立国実現プラン」(2023 年 12 月 13 日 新しい資本主義実現会議資産運用立国分科会取りまとめ)を踏まえて議論し、取りまとめられたものです。

会議のメンバーには、会計士協会の副会長も入っています。

全14ページの資料です。

(概要より)

保有資産の公正価値評価や情報提供の頻度・内容に関する事項も含まれています。

(報告書8ページ)

パブコメ募集では、興味深い意見も寄せられたようです。

「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」に係る寄せられた御意見の概要及び有識者会議の考え方について(PDFファイル)

「VC には、これまで金融庁の監視の目が行き届いていなかったからか、以下のような VC が散見される。
- 全損の可能性のあるエクイティ・ファイナンスであるにもかかわらず、株式買取請求権を多用する(ファイナンスの知識が不足している若い起業家を中心に、買取請求権を行使されている)
- 転換社債での出資で、創業者に連帯保証をつける
- 自社でシード、アーリー期に出資したスタートアップに、VC 業務を受託している CVC から追加出資する
これらの行為は違法ではないかもしれないが、起業家や資金の提供者である大企業の活動を萎縮させかねないため、推奨・期待に留めず、スタートアップの活動を萎縮させるような行動はしてはならない、という禁止事項も設けた方がいい
と思う。」

「①私用チャットツールによる投資先機密情報の流出について
VC の情報管理体制について、日本ではいまだに Facebook メッセンジャーなどの個人用チャットツールを使って投資先と機密情報をやり取りする慣行が広がっている。その結果、VC の担当者が退職後も過去のチャット履歴にアクセスできてしまい、投資先の機密情報が競合他社に漏洩するケースが頻発している。投資先との機密情報が含まれるコミュニケーションに個人用チャットツールを使用することを禁止し、業務用チャットツールの使用を義務付けるべきではないだろうか。

②LP を介した投資先機密情報の流出について
スタートアップが VC に提供した機密情報は LP にも開示されることが暗黙の了解となっているが、本来の目的以外での使用、特に LP を介して競合他社に機密情報が流出するケースが発生している。VC と LP の情報管理体制を見直し、投資先の機密情報が競合他社に漏洩することのないよう、より厳格な管理を求めるべきではないか。

③VC メンバーによる投資先へのハラスメントについて
VC におけるコンプライアンス管理について、昨今投資家によるスタートアップ(特に女性起業家)へのハラスメントが大きな問題となっている。最近公開された「スタートアップ・エコシステムにおけるセクシュアル・ハラスメント:予備調査」では、半数以上の女性起業家が被害に遭っていることが明らかとなった。
LP にとって VC が魅力的な投資対象となるためには、こうした投資先へのハラスメント発生を防止することが不可欠である。VC のコンプライアンス管理として、投資先へのハラスメントを禁ずる規定を必須とすべきではないか。」

「実際に、以下のような事例で、複数の悩ましい事例を目にしたため、現場の意見として提出する。

事例としては、ある VC(X 社)が、投資先(A 社。業種を仮に甲分野とする)に投資をし、X 社は A 社に社外取締役まで派遣していたところ、数年経って、X社が、同じ甲分野のスタートアップである B 社(※A 社にとって甲分野のマーケット上の競業先)への投資を検討し、事前に A 社に連絡をし、それに対し A 社は、X 社から B 社への投資を止めて欲しいと懇願したが、結局、X 社は、B 社への投資を実行してしまった、というケース。」

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