オリンパスの事件を取り上げたコラム。この意見には賛成です。
「・・・特にライブドア問題や西武鉄道の件で問題視されるようになったことだが、上場廃止は、本来誤った情報に基づいて株式を買ったり、不適切な経営で株価が下がったりという経緯で、実質的には本件の最大の被害者であるオリンパスの現在の株主に対して厳しい処罰となる点は、問題だろう。
過去に問題のある取締役を選んでいたという点では、株主にも責任の一端があると考えることは一応できる。それが株式投資というゲームのルールだという意見にも一理はある。しかし、損失が対外的に隠されていた本件にあって、株主の責任をこれ以上問うのは酷だろう。
たとえば、(1)オリンパスを通常の取引ポストとは異なる特別なポストに一定期間置いて、投資家がこれまで通り売買できるようにしながら、(2)一定期間ファイナンスが行なえないなどのペナルティーと、(3)粉飾決算に伴う課徴金を会社に課して、(4)同社の取締役は会社に損害を与えたことに伴う個人的な賠償責任を負い、(5)不正に関わっていた役員・社員は刑事罰に服する、というような形が可能であれば、投資家の利便性を損なわずに、同時に、今後の不正に対する抑止力も失わない処置となるように思うが、いかがだろうか。」
「・・・そもそも損失を隠して、これを後から買収に関する支出を通じて埋める、という仕組みを、金融会社ではないオリンパスの旧経営陣が独力で考えられたはずがない。同社の粉飾決算には、状況と目的とを理解して仕組みをこしらえた金融業者の「共犯者」がいるはずだ。
また、この共犯者は、オリンパスの旧経営陣に対して無償の親切を提供したのではなく、相当の利益をこの案件から上げていたものと推察される。あるいは、ある段階からは、問題の露見を恐れていたはずの旧経営陣を半ば脅して、自分たちの利益拡大を図っていたかも知れない。」
「決算をごまかすためのデリバティブ商品の販売などの悪質な金融商売では、「困っている客につけこむ」ことが常道の1つだ。業界人は、「肉は腐りかけが美味しい」などと言う。
弱みを抱えた客に対して、法律に触れないぎりぎりのラインで「実質的なごまかし」を提供するサービスは、金融業者の得意技だし、収益性が高いことが多い。
今回のオリンパスの件では、金融業者の側で法律に触れる問題があった可能性が大いにあると思われるが、「実質的な粉飾の手伝いを、事情を知っていて行なう」商売は明確に違法となって、金融業者(会社)が損をして、個人(担当者)が刑事罰を受けるようにしたい。」
架空循環取引でも企業の外部に首謀者・指南役がいるケースが多いようです。オリンパスの事件についてはもちろんのこと、そうした粉飾協力者に対しては、厳しく責任を問うべきでしょう。
また、いかがわしいスキームを会計士や監査法人に持ち込んで、会計基準にふれないという意見書を書いてくれという金融業者も以前はあったようです。まともな会計士であれば、うけるべき仕事ではありません。
オリンパス不正、野村証券元社員が指南か…野村は関与否定(夕刊フジ)
この記事に登場するS氏やN氏は、すでに他の報道により実名が明らかになっています。
オリンパス社外取締役「飛ばし」助言か 損失隠し1000億円超(産経より)
「関係者は取材に対し、「時価会計制度が導入された段階で、500億円規模の含み損を抱えていた」と証言しており、処理を先送りした結果、相場の値下がりや損失を取り戻すための投資で、損失額が500億円規模から1000億円超に倍増したとみられる。」
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