過年度の決算短信及び有価証券報告書等並びに内部統制報告書の一部訂正に関するお知らせ(PDFファイル)
ニデック(東証プライム)のプレスリリース(2024年5月24日)。
2023年3月期と2024年3月期の第3四半期までの有報や四半期報告書を訂正したとのことです。
連結仕訳が間違っていたようです。
「2024年3月期決算における最終確認の過程で、当社の連結子会社であるニデックドライブテクノロジーにおいて、連結決算手続における当社グループの連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されていることが判明しました。本件につき、会計監査人であるPwC Japan有限責任監査法人と事実確認及び影響額について協議を行い、その影響の重要性を鑑みて過年度の決算短信及び有価証券報告書等を訂正することといたしました。また、金融商品取引法第24条の4の5第1項に基づき、内部統制報告書を訂正することといたしました。
企業結合等の実施により、暫定的な会計処理により開示を行っていたものに関しましても、その処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額へ修正をしています。
さらに、過年度の有価証券報告書等および決算短信を訂正するにあたり、個々に重要性のなかった未修正事項についても把握し、訂正後の連結財務諸表に適切に反映しております。」
2023年3月期(通期)で、影響額を見てみると...
(左から訂正前、訂正後、影響額、増減率。単位は百万円)
売上高だけが過大なのではなく、営業利益が約10%、当期純利益が約18%も減っています(企業結合における暫定的処理の修正や重要性のない項目の修正も含んでいますが)。
訂正報告書(2023年3月期有報)に記載されている訂正の概要は以下のとおりです。プレスリリースとあまり違いません。
貸借対照表への影響(一部)も見てみました。
(訂正後)
(訂正前)
訂正により、棚卸資産は26億円増えていて、その他の流動資産は、逆に、126億円減っています。合計で100億円減っていますが、営業利益の訂正による減少も約100億円です(たまたまか?)。
いずれにしても、おそらく、ニデックの単体決算や、各連結子会社の決算は、精密にチェックがかかっているのでしょうが、連結手続きのチェックは、それと比べると、雑だったのかもしれません。(まさか、決算数値の最後のさじ加減を連結調整でやっていたということはないと思いますが...)
上記プレスリリースでも少しふれていますが、内部統制報告書も訂正です。
財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(ニデック)(PDFファイル)
「1. 開示すべき重要な不備の内容
当社の連結子会社であるニデックドライブテクノロジーにおいて、連結決算手続における当社グループの連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されていることが判明しました。過大計上された売上高を取り消す処理が必要となったため、過年度決算を訂正すべきとの結論に至りました。決算・財務報告プロセスの内部統制として、起票者が作成した仕訳を承認権限者が承認するルールとなっていましたが、当該誤謬は、関連する組織間でのコミュニケーション不足により調整対象案件を特定する際に必要な正確かつ網羅的な情報の把握及び決算処理に関するモニタリング体制が不十分であったため、結果的に重要な虚偽表示を発見できず誤謬が発生致しました。以上より、決算・財務報告プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断致しました。」
ニデックが連結決算を訂正 売上高を過大に計上、最終利益を下方修正(産経)
「5年3月期の最終利益も同じ理由で、449億円から369億円に引き下げた。決算短信と有価証券報告書、四半期報告書を訂正した。」
「訂正により23年3月期の売上高は前の期比16%増の2兆2300億円、営業利益は47%減の899億円になった。従来発表に比べそれぞれ127億円、101億円下振れした。
グループ間の取引を伴う売上高などの連結調整の一部で誤認があったという。5月に入り、会計監査人であるPwC Japanと連結調整にかかわる処理を再確認するなかで発覚した。」
「ニデックは23年、分配可能額を超えた配当を22年4〜9月期に実施していたと発表した。内部統制に課題が残るとみられがちな中で、今回の事案が判明した。信頼回復へ実効性のある対策が求められる。」