麻生太郎金融担当相が記者会見で、「市場ワーキング・グループ」報告書を正式な報告書として受け取らないと述べたという記事。
「麻生太郎金融担当相は11日の閣議後会見で、夫婦が95歳まで生きるには2000万円を蓄える必要があると試算した金融庁の報告書について、「世間に著しい不安と誤解を与えており、これまでの政府の政策スタンスとも異なっているので、正式な報告書として受け取らない」と言明した。金融庁の作業部会が取りまとめた報告書を、金融相が受理しないのは異例。」
「麻生金融相は、報告書はまだ金融審の総会を経ておらず、正式な文書ではないと述べた。」
「「公的年金は、老後の生活をある程度賄うことができるようにするのが政策スタンス」と述べた。」
金融庁はいつも、金融機関や監査法人・会計士、開示書類を提出する一般企業など、自分たちの監督対象としか接触がないので、一般国民向けのメッセージ発信になれていないのでしょう。だから、どうしても上から目線になって反発を買うのでしょう。
当サイトの関連記事(「市場ワーキング・グループ」報告書について)←報告書はこちらから。なかったことにするため金融庁ウェブサイトから削除したりはしないとは思いますが、興味のある方はどうぞ。
金融庁「老後2000万円」の議事録発見! 厚労省年金局課長が年金削減認め「厚労省も職員に資産運用サポートしてます」(リテラ)
「議事録発見」といっていますが、金融庁トップページ→「審議会・研究会等」→ 「金融審議会」→ 「議事録・資料等」、とたどっていけば、だれでも会議資料や議事録を「発見」できます。
それはともかく、4月の会議の議事録を見ると、たしかに、厚生労働省の役人が、私的年金などについて説明しています。
「その後、年金局企業年金・個人年金課の吉田課長はさまざまなデータを持ち出し、年金だけでは老後は暮らせないということを強調し始める。
「23ページ、寿命の延伸により65歳時点の平均余命は長期化する一方、公的年金の給付水準は今後、マクロ経済スライドによって調整されていくことが見込まれています。つまり、若い人ほど65歳時点になった時点の平均寿命は長くなりますが、公的年金の所得代替率は低下するわけです」
「現在、高齢夫婦無職世帯の実収入20万9198円と家計支出26万3718円との差は月5.5万円程度となっております」。
「今後、実収入の社会保障給付は低下することから、取り崩す金額が多くなり、さらに余命も延びることで取り崩す期間も長くなるわけで、今からどう準備していくかが大事なことになります」」
金融庁は厚労省の情報をアレンジしただけだったのでしょう。
報告書を擁護する意見。もっともだと思える点もあります。
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炎上する「老後2000万円」報告書問題、最悪なのは麻生大臣だ(DOL)
「報告書で問題の「約2000万円が必要」に至る箇所を見ると、「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると」(報告書P.10)、毎月5万円程度を保有資産から取り崩しており、これを基に「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取り崩しが必要となる」(P.16)と試算してみたにすぎない。
事実に基づく単なる計算であって、これに文句を言うこと自体が奇妙だ。」
「それにしても、委員の意見をまとめて表現を調整して報告書をまとめた事務方の担当者は、上司筋である大臣に「表現が不適切」と言われては立つ瀬がない。こんな上司の下で働くのではたまらないだろうと、ご同情申し上げる。」
「そもそも、大臣は、審議会の有識者とされる人々に対して、専門的識見に基づく意見の提出を依頼している立場だ。その報告書を、都合が悪いから「受け取らない」と言う麻生氏は一体どこまで失礼にできた人物なのか。」
これは別の観点からの意見。
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「老後に2000万円不足」騒動、金融庁の欺瞞とマスコミの大間違い(現代ビジネス)
「あらためて報告書案の内容を見ると――その既視感に驚いた。それが投資勧誘パンフレットの定番手法、しかもあまりに使い古された質の悪い勧誘資料とそっくりだったからだ。」
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