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中国迂回上場「VIE」、米で膨張180兆円 対立再燃で波乱も(日経より)

中国迂回上場「VIE」、米で膨張180兆円 対立再燃で波乱も(記事冒頭のみ)

中国企業の海外上場に使われている「変動持ち分事業体(VIE)」の仕組みを解説した記事。今後中国でその適法性が否定されるなどのリスクがあるといっています。

「米国に上場する中国企業が中国政府の規制強化に揺れている。データ安全と並ぶもうひとつの焦点が、中国企業が規制を迂回して海外に上場するための「変動持ち分事業体(VIE)」と呼ぶ仕組みだ。アリババ集団をはじめ巨大企業が軒並み採用し、時価総額は計約1兆6200億ドル(約180兆円)に達する。中国政府がその適法性に疑義を唱えれば、世界の金融市場の混乱は必至だ。」

どのような仕組みか..

「米国に上場するケイマン籍などの「仮想外資企業」が、中国内につくった子会社(外国資本会社)を通じ、中国国内で実際に営業する中国企業と「協議支配契約」と呼ばれる特殊な契約を結ぶ。この契約によって直接の出資関係がなくても中国企業を実質的に支配し、利益を吸い上げることが可能になる。外国人でも外資規制下にある中国企業の実質的な株主となれるわけだ。

アリババを例にすると、まず米上場の「箱」となる会社をケイマンに設立登記する。次にケイマン籍の上場会社が中国国内に100%の「外資」子会社を設立。その後、その子会社が、ネット通販事業などを営む中国のアリババおよびその株主と協議支配契約を結び、中国アリババの本体がVIEに衣替えする。契約によってケイマン籍の上場会社が中国アリババの支配権を握り、そこから生まれる収益がケイマン籍の上場会社に流れる仕組みだ。」

2016年に中国・最高人民法院は、VIEを適法と認めましたが、別の裁判所が違う判断をする可能性もあり、また、中国当局が今後規制強化することもありうるそうです。

「中国国内でもVIEを規制する可能性がある。国務院(政府)は1994年に株式会社の海外株式発行と海外上場に関する特別規定を定め、海外に上場する際、国務院の認可を得ることを求めた。ただこの規定は中国国内の株式会社を前提にしており、VIEの仕組みを使って中国国外で法人登記された会社の海外上場を想定していない

米通信社はこの特別規定について「変更する取り組みが証券監督管理委員会を中心に進められている」と報じている。海外上場規制の強化の流れのなか、中国国外で法人登記したVIE採用企業も今後は海外上場に際して、中国当局の認可を求められる可能性がある。」

この特別規定というのは、中国企業の海外資金調達や上場を規制するというものなのですから、中国企業を実質支配しているケイマン籍企業の海外上場をチェックなしで認めたのでは、規定の抜け穴になってしまいます。それを防ぐためだといえば、規制強化の理屈は立ちそうです。
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