青樹句会

主宰:高橋信之(花冠名誉主宰)

◆投句箱◆

2012-01-29 13:51:30 | 日記
■ご案内■
●参加者:花冠会員・同人。会員・同人以外の一般参加も許されますが、参加申込によって、花冠IDを取得してください。
●投句:一日一回、当季雑詠3句以内。ツィッターやフェイスブックに投句した句も許されます。
●投句場所:下の投句箱<コメント欄>にお書きください。投句箱<コメント欄>には、句評など投句以外のことを書き込まないでください。
●選者・選句:選者は高橋正子(花冠主宰)です。特別選者が招待されることがあります。選句・入賞発表は、随時行われます。
※ご投句は、ご本名でお願いします。ご本名以外の場合は、削除されます。

●伝言版
伝言、お問い合せなどがありましたら、下記アドレスの<伝言版>にお書き込みください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan100



■投句箱■
第5回句会のご投句(1月29日~2月11日/1日3句以内)は、下の<コメント欄>にお書き込みください。句評など投句以外のことを書き込まないでください。投句以外の伝言などは、上記の<伝言版>にお書きください。
※2月5日(日)には入賞発表はありませんが、2月4日(土)にフェイスブック立春句会を開催いたします。

ご挨拶

2012-01-29 13:50:24 | 日記

新年からはじめたきがるに句会も第4回の入賞発表となりました。大勢の皆さまにご参加いただいて驚いていますが、大変ありがたいことです。大寒もそろそろ終わり、日脚も伸びて寒いながらも明るい気分になります。冬の終わりから春へ微妙に変化する季節を詠んだ句がたくさんあって、楽しませていただきました。特別招待選者の皆さま選とコメントをありがとうございました。これで、第4回句会を終わります。次回第5回句会のご投句をお待ちしています。(主宰 高橋正子)

第4回句会入賞発表

2012-01-28 16:54:36 | 日記
◆入賞発表/2012年1月29日◆
(1月22日~28日投句)

【最優秀/2句】
★葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子
「枯れ尽くしても水の上」は、意表をついて、新しい発見。蓮や菖蒲などは、枯れると茎や葉が折れて水に浸かってしまう。葦原の葦は、枯れながらもまっすぐに立ち、水には影を落とすのみ。なるほど、枯れ尽くしても水の上ある。(高橋正子)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
「野に覚めし」によって、淡い蕗の董のみどりが目に強く焼きつく。初めて見つけた蕗の董であろう。驚きと嬉しさを隠せない。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★足跡にリズムのありて雪の山/安藤智久
雪山にリズミカルな動物の足跡。栗鼠でしょうか兎でしょうか、あるいは鹿かも。行ってみたいですね。(河野啓一)

★雪明かり車窓に過ぐる蒼き川/小川和子
車窓から見た川は雪明かりのせいで蒼い川だったと言われる句と思いますが 誰だって見たくなるような句です。(迫田和代)

★思い切り鴨羽のばし水しぶき/祝恵子
「思い切り」と詠む作者は、生きものの自由を見たのであり、それを見た作者の生きいきとして自由な心が嬉しい。(高橋信之)

★凍星の降る野を抜ける列車の灯/津本けい
★寒禽の食いこぼす実の赤点々/古田敬二

【多田有花特選/5句】
★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
早くも蕗の薹が姿を見せています。それを見つけられた喜び、春の喜びであり、生命の喜びでもあります。(多田有花)

★一切の音を閉ざして雪霏々と/今村征一
空は暗く雪がしきりに降っている。一切のもの音を包み込んで、水墨画のような静かな世界です。(河野啓一)

★うねりては鈍色深む冬の海/古賀一弘
冬の、それも北国、雪国の海の色ではないかと感じました。「鈍色」確かにあの色はそうです。お見事です。(多田有花)

★庭石に軽き音たて霰あそぶ/小西 宏
雪の降らない地方の明るい冬の景色です。霰の音を「あそぶ」と表現され、まるで霰が幼い子どものように生き生きと表現されています。(多田有花)

★新雪に轍くっきり天晴るる/小川和子
珍しく雪の降った朝、すでに雪は上がり真っ青な空が戻っています。新雪にはやくもタイヤの跡があります。新鮮な光に満ちた光景です。(多田有花)

【高橋秀之特選/5句】
★寒林の枝の先までみな空へ/桑本栄太郎
寒林の木々は冬木で葉も少なく遠くが見通せるのでしょう。そんな木々の枝先も春が近づき、天を指し、空に向かっているように感じられるようになってきました。(高橋秀之)

★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
葉を落とした冬木立の影がしっかり大地にあるという冬らしいいい句と思います。(迫田和代)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
今まで行ったことのない野原で淡いみどりの蕗の薹を春にさきがけ見つけられた喜び 夢中であたり一面お捜しになったなられたお姿が目に浮かびます。野に覚めし がいいですね。みどりのひらがなも素敵と思います。(迫田和代)

★葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子
正直に申しますとまだ葦原は見てないのですが枯れ尽くしたとおっしゃってるわりには 侘びしさを感じられないのです。真っ直ぐ枯れていくのでしょうのでしょうね。風情がありますね。(迫田和代)

★空晴れてミモザうす黄に蕾みけり/津本けい
ミモザがうす黄色の蕾を付けて開花の時を待っている。ミモザの黄と晴れ渡った青い空、春が待ちどうしく美しいミモザが見られるのももう直ぐですね。(佃 康水)

【小西 宏特選/5句】
★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
冬の日の大地に裸木が影を落す。冬木立の影はひとつひとつを見ても、またその連なりを見ても飽きることがありません。力があり、優しさがあり、柔らかさがある。影を受ける土からも温かみが伝わってきます。冬の景を詠って広がりを感じさせる、心休まる句です。(小西 宏)

★寒林の枝の先までみな空へ/桑本栄太郎
寂しげな寒林の枝の先が空に向いているといういい句です。冬も楽しいです。(迫田和代)

★凍星の降る野を抜ける列車の灯/津本けい
冬の星は鋭く明るい。その下に、冷たく暗い冬の野を貫いてゆく列車の窓の灯が共にあって、夜の広がりを躍動させている。夜の冷たさが明るい。(小西 宏)

★雪明かり車窓に過ぐる蒼き川/小川和子
一面の雪野をゆくと車窓に一筋の川が見える。川は雪明りに照らされ、静かに蒼く輝いて見える。夜汽車の薄明かり、明の中の暗、暗の中の輝きが捉えられていて、しんみりと惹かれます。(小西 宏)

★陽を浴びて冬芽冬芽の大きな木/迫田和代
見上げれば冬日が満ちており、枝枝にしっかりと冬芽が育っている。「冬芽冬芽」と繰り返されたところに空いっぱいの待春が感じられ、心が膨らむ。(小西 宏)

【黒谷光子特選/5句】
★野に覚めし淡きみどりや蕗の薹/佃 康水
今年はじめての蕗の薹を見つけたうれしさ、春を待つこころの弾みを感じます。 (黒谷光子)

★それぞれの影を大地に枯木立/多田有花
冬の日の大地に裸木が影を落す。冬木立の影はひとつひとつを見ても、またその連なりを見ても飽きることがありません。力があり、優しさがあり、柔らかさがある。影を受ける土からも温かみが伝わってきます。冬の景を詠って広がりを感じさせる、心休まる句です。(小西 宏)

★ほんのりと雪おく屋根に朝日さす/小西 宏
うれしい雪である。うれしい朝日である。読み手にもうれしい風景である。(高橋信之)

★新雪に轍くっきり天晴るる/小川和子
「新雪」に「天晴るる」と詠み、そのひろびろとした世界の焦点に「轍くっきり」と置く。焦点を絞って、限りのない天地を詠んだ。(高橋信之)

★凍星の降る野を抜ける列車の灯/津本けい

【祝 恵子特選/5句】
★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
蕗のとうを見つけた喜びが感じられます。「野に覚めし」素敵な表現ですね。 (祝恵子)

★庭石に軽き音たて霰あそぶ/小西 宏
雪の降らない地方の明るい冬の景色です。霰の音を「あそぶ」と表現され、まるで霰が幼い子どものように生き生きと表現されています。(多田有花)

★山々も湖も冬晴れ展望台/黒谷光子
展望台からの冬の晴天に、見渡す山々も湖も鮮やかに美しいかぎりです。眩いばかりの遠望に心も明るく広がります。(藤田洋子)

★日を乗せて白鳥湖へ急ぎけり/小口泰與
冬の日差しを受けて湖に急ぐように飛んでいく白鳥は、自然の美しさを物語りってくれる景色です。(高橋秀之)

★花苗に音なき小雪被る朝/小川和子
まだまだ小さな花の苗は、わずかの小雪でも被ると雪の白さが目に付きます。小さな自然をうまく 見つめられました。(高橋秀之)

【藤田洋子特選/5句】
★一切の音を閉ざして雪霏々と/今村征一
絶え間なく降りしきる雪の様子がありありと目に浮かびます。全ての音を断ち、いっせいに降る雪の迫力に、ひときわ厳しい冬の寒気を感じます。(藤田洋子)

★山々も湖も冬晴れ展望台/黒谷光子
展望台からの冬の晴天に、見渡す山々も湖も鮮やかに美しいかぎりです。眩いばかりの遠望に心も明るく広がります。(藤田洋子)

★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
冬の日の大地に裸木が影を落す。冬木立の影はひとつひとつを見ても、またその連なりを見ても飽きることがありません。力があり、優しさがあり、柔らかさがある。影を受ける土からも温かみが伝わってきます。冬の景を詠って広がりを感じさせる、心休まる句です。(小西 宏)

★新雪に轍くっきり天晴るる/小川和子
「新雪」に「天晴るる」と詠み、そのひろびろとした世界の焦点に「轍くっきり」と置く。焦点を絞って、限りのない天地を詠んだ。(高橋信之)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の菫/佃 康水

【迫田和代特選/5句】
★雪明かり車窓に過ぐる蒼き川/小川和子
雪明かりに見える蒼い川って是非見たいと思わせる素敵な句ですね。(迫田和代)

★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
葉を落とした冬木立の影がしっかり大地にあるという冬らしいいい句と思います。(迫田和代)

★寒林の枝の先までみな空へ/桑本栄太郎
枯れ枝が細かく分かれ空に向かって立っています。良く見る風景ですが、軽く素直な詠みに惹かれます。(河野啓一)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の薹/佃康水
★葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子

【入選/7句】
★冬桜咲きいて空の美しき/高橋信之
厳しい寒気の中にあって、可憐な冬桜と空の美しい出会いに、格別の感動を覚えます。冬桜の咲く、澄んだ大気と空の広がりに心洗われます。(藤田洋子)

★枝先の力強さや冬木立/高橋秀之
冬木立の枝はその自身の力で空に突き出ている。まさに「枝先の力強さ」。春へ向けて、命が張り詰めている。(高橋正子)
厳しい寒さの中に立ち尽くす冬木立。しかし御句からは差し交す小枝や梢にはこれから芽吹く前の力強い勢いと春の兆しが感じ取れます。(佃 康水)

★初詣太鼓の音に襟正す/足立 弘
初詣。神社の太鼓があたりを鎮めるように響き鳴る。思わず襟を正す。正直さが好ましい。(高橋正子)

★土交じり少し汚れた雪達磨/迫田和代
積雪が余り多く無い雪で作った雪達磨なので、少し土も交じってしまったのでしょう。でも雪を見ると雪達磨や雪合戦等の遠い昔を思い出しわくわくとした気持が湧いて参ります。少し汚れた雪達磨もその土地に相応しい冬の景色と侘しさと夢の有る御句と思います。(佃 康水)

★寒椿膨らみ嬉しわが門に/河野啓一
節分も近くなり、春が待たれる。わが門に寒椿の蕾が膨らむと嬉しさも増してくる。(高橋正子)

★鉢の梅莟めば独り座り込む/川名ますみ
鉢の梅が蕾をもった。独り座り込んでそれぞれに違う蕾を見て咲くときを楽しみにしている。待春の心持。(高橋正子)

★冬星座しばし降られる時楽し/藤田裕子
家事や仕事を終えたあと星空を仰ぐと、冬の星座が散らばり、小さな星々が降ってくる。星に降られているときの世事を忘れたひとときの楽しさがいい。(高橋正子)


▼コメントのない句にコメントをお願いします。

第4回句会全作品

2012-01-28 16:49:17 | 日記
◆第4回句会全作品/21名(1月22日~28日)◆

No.1 小口泰與
短日や飼葉に舌出す牛の群
鋤焼や大黒柱黒光り
塊りて反転せしや寒雀
満月の西に消えけり冬の朝
寒晴れや長き裾野の赤城山
山裾を風ごうごうと玉子酒
寄鍋や浅間に星の満々と
海鼠腸や今宵の客の長居なり
ごうごうと吹くや赤城は雪催
噴煙の流るる里や葱の里
おみくじの風になじみし懐手
日を乗せて白鳥湖へ急ぎけり
水仙花シャッター音の加わりぬ 
凍て空や大甕に来し尾長鳥
日脚伸ぶ鳶を襲いし鴉かな
水仙や赤城の襞のかくれなし
寒晴やピチピチと手に静電気
眼間の水を飲みけり寒鴉
寒暁のくれないに染む浅間かな 
上州の肌射す風や冬木の芽
白障子開けるや小犬跳びこみぬ

No.2 今村征一
雲居へと駆け上りゆく寒の滝
寒牡丹咲かせ浮世を離れ棲む
創業は文化味噌屋の鳥総松
雪原もまた碧落も極めたる
結露拭き大寒晴の空磨く
風花や灯ともし頃の茶屋の町
トンネルの間に間にスキー灯り飛ぶ
風花や懐紙で包む加賀銘菓
魑魅住む森とも飛雪また飛雪
待つてゐてくれしは風と雪をんな
煮凝の鮒に戦後を裏返す
着ぶくれて足湯し温泉たまご茹で
一切の音を閉ざして雪霏々と
老い耄れと言はれたくなし雪を掻く
なによりも暮雪に滲む島の灯に

No.3 黒谷光子
おみくじの白一月宮の松
列なして歩く湖岸や冬うらら
山々も湖も冬晴れ展望台
一本の畑の大根煮る下す
大根を飴色に煮て夕厨
寒の灯と机一つを分かち合う
薄雪の大地清めて宗祖の忌
湖も村も抱きて山眠る
投函を済ませ寒星仰ぎけり
雪の道誰かの靴の跡辿る
雪道を戻り一服茶の美味し
厨窓午後の日射して雪明り

No.4 多田有花
春隣る光の中を森歩く
春近き風と光が竹林に
それぞれの影を大地に冬木立
北風の今日は戻りし煙突に
竹林は静かに迎え旧正月
湯たんぽが先に入っている布団
遠山に降る雪を見て陽の中に
氷張るバケツの歪みそのままに
カーブ切る先の夕空日脚伸ぶ
法螺貝の音響きおり寒晴れに
よく晴れて風無き朝のよく冷えて
寒晴れや平野にぽつんと雲の影
針葉樹凍れる池に身を映す
暖かき色を持ちおり寒落暉
今日もまた一輪のみの冬の梅

No.5 小西 宏
どてら着て窓に初雪屈み見る
降る雨に一つ浮きゆく霙かな
庭石に軽き音たて霰あそぶ
雲晴れて親しき山に雪の筋
大寒に陽の差し帰り街賑わう
風邪癒えてまた人ごみを歩いてみる
町からも雪まとう山見え嬉し
灯を消して二人静かに雪を待つ
ほんのりと雪おく屋根に朝日さす
写生する鶴の噴水凍りいて
都会にも風花の舞い手を伸ばす
雪が降る小(ち)さき空より広き地に
低き陽に遠きとどろき冬の雷
土潤い朝日背伸びす霜柱
凪青し間近に雪の三原山
花アロエ黒船錨せし浜に

No.6 津本けい
水仙の暮れゆく影の香りけり
遠き木をより濃く染めて冬夕焼
凍星の降る野を抜ける列車の灯
寒風に押され鶺鴒畑走る
大寒の日に淡々と鳶舞えり
冬かもめ引き連れ帰る漁船団
ドアの風モビール揺らせて日脚伸ぶ
雲割れて零れ飛びくる寒雀
社の森冬鳥あまた鬩ぎ合い
冬燈ひとつの無人駅過ぎる
街灯に吹きあぐるごと雪が舞う
霰降る駅舎に薄き夕日影
バスの窓に冬野の空の広々と
空晴れてミモザうす黄に蕾みけり
空の色溶かして青き寒の川

No.7 古田敬二
黒々と木立ちの陰影冬落輝
掌に振れれば枯れ芝あたたかし
寒禽の食いこぼす実の赤点々
走り根を踏んで寒風の中をゆく
交差して走り根冬の土つかむ
寒禽の陽あたりながら枝を飛ぶ
朝の冷えまだ蓄えて竹林
暗き薮抜け出て句帳に冬陽射す
冬の陽のほのかに温し楢大樹
水平に突っ込む翡翠枯れ芦へ
寒林のコゲラのドラムの律動感
冬の森入れば真昼の日は温し
枯れ芦のまっすぐという美しさ
春隣キッチンへ射す陽の角度
水仙の言問いたげに揺れており
老夫婦蠟梅咲かせ恙無し
冬空に大鷹描く大円周
引き寄せて離れ難しや枇杷の花

No.8 小川和子
花苗に音なき小雪被る朝
霙るれば畑地のすべて潤えり
寒の水注して白菊瓶に栄ゆ
新雪に轍くっきり天晴るる
雪晴れの凍て道をシャリシャリと踏む
雪明かり車窓に過ぐる蒼き川

No.9 桑本栄太郎
露凝るや玻璃のしたたる厨窓
街の灯の早やも点りし寒雨かな
寒燈の橋を来る人帰るひと
人影のなき門扉かな八手の実
風花や遠き嶺より雲降りぬ
寒風を髪に掻き分け帰りけり
蝋梅の明かり取込む垣根かな
寒禽の驚き翔てる三羽かな
松籟となりし赤松寒の風
赤松の赤き地膚や寒きびし
寒林の枝の先までみな空へ
あかみどり尾灯の空の寒の夜
寒暁の明かり茜や寒鴉
戸惑いを見せて構えリ寒鴉
寒月の嶺の高みや鎌の月

No.10 古賀一弘
うねりては鈍色深む冬の海
交替で肩ほぐし合ふ炬燵かな
愛猫が顔すり寄せる寒さかな

No.11 河野啓一
温めて牛乳ぐっと冬の朝
全山に雪を被りて横たわる
箕面山白く霞みて眠る朝
寒椿膨らみ嬉しわが門に
山茶花の散り初め次は寒椿
初雪の消えたる朝の箕面山
寒晴れや朝日を含む雲も見え
海晴れて六甲颪肌寒く
氷点下凍結したる給湯器
さざ波に鴨を浮かべて園の池
青空に雲淡くして春近し
薄日差し妻と出かけるランチかな

No.12 川名ますみ
鉢の梅莟めば独り座り込む
凧揚ぐる男のひとり隅田川
番頭の毛先弾ませ初芝居
初芝居二列前にも見知る人
手を引かれ梅に花芽がついたよと
小正月フェイスブックに載る小豆

No.13 迫田和代
島影が明るくなって寒夜明け
仏壇の花も明るく春を待つ
陽の入りに真っ赤な空と雪山と
土交じり少し汚れた雪達磨
荒れ狂う海風に乗り風花よ
陽を浴びて冬芽冬芽の大きな木

No.14 祝恵子
吾が影を水輪に揺らし冬の鷺
思い切り鴨羽のばし水しぶき
祈る像平和の塔へ寒の晴れ
毛糸帽我が身映してショーウインドウー
草の群れ水にも群れて鴨動く
冬芽吹きあちこちありて空仰ぐ

No.15 高橋信之
冬芽しかとあり空青きところにあり
大寒の空仰ぐこといく度も
雪解けぬところあり思いだすことあり
冬桜咲きいて空の美しき
冬日さんさん里山の木が音を立てる
旅人が枯芝のやさしさを踏む
寒禽啼いて大空のますます青し
冬雲流れて白く見ゆ青く見ゆ
過ぎゆく時よ今日大寒の快晴に

No.16 佃 康水
野に覚めし淡きみどりや蕗の董
声援の波打つ安芸路初駅伝
弦締めて師のカウントに初稽古

No.17 安藤智久
足跡にリズムのありて雪の山
新雪の峰を朝日が露わにす
大根のシュッと削がれて煌めけり

No.18 藤田裕子
冬さくら思い出の中ほっと白
冬星座しばし降られる時楽し
この上なき紅色込めし寒椿
寒雀飛び立つ後に声弾む
遠山は雪にけぶりつ澄みし朝
着ぶくれし人みな足早裏通り

No.19 足立 弘
山寺の蕾膨らむ梅古木
初詣太鼓の音に襟正す
木の枝の鳥の囀り日向ぼこ

No.20 藤田洋子
川は音深く沈めて葦枯るる
葦原の枯れ尽くしても水の上
枯葦の水広々と濁りなき
寒椿目覚めの息の清々し
実千両ほろりと床に尚赤し
一月の朝日差しくる畳の目

No.21 高橋秀之
風吹けば右も左も雪の舞
寒き風遠くがくっきり生駒山
バスを待つ間の寒風首隠す
冬すみれ寄り添い競う花の色
冬月を背中に実家へ道急ぐ
枝先の力強さや冬木立

※選者の選は、下記の要領でお願いします。
①上記全作品からお選びください。
②特選5句をお選びください。その中の1句にコメントを付けてください。
③選句期間は、29日午前0時~午後6時ですが、出来れば、29日正午までに済ませていただければ、幸いです。
④選句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。選者名もお忘れなきよう、お願いします。

◆投句箱◆

2012-01-23 08:50:37 | 日記
■ご案内■
●参加者:花冠会員・同人。会員・同人以外の一般参加も許されますが、参加申込によって、花冠IDを取得してください。
●投句:一日一回、当季雑詠3句以内。ツィッターやフェイスブックに投句した句も許されます。
●投句場所:下の投句箱<コメント欄>にお書きください。投句箱<コメント欄>には、句評など投句以外のことを書き込まないでください。
●選者・選句:選者は高橋正子(花冠主宰)です。特別選者が招待されることがあります。選句・入賞発表は、随時行われます。
※ご投句は、ご本名でお願いします。ご本名以外の場合は、削除されます。

●次回(第4回)句会選者(8名)
○主宰選者:高橋正子
○招待選者:多田有花・高橋秀之・藤田洋子・小西宏・黒谷光子・祝恵子・迫田和代

●伝言版
伝言、お問い合せなどがありましたら、下記アドレスの<伝言版>にお書き込みください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan100



■投句箱■
第4回句会投句箱(1月22日~28日)は変更されました。
ご投句(1日3句以内)は、下の<コメント欄>にお書き込みください。句評など投句以外のことを書き込まないでください。投句以外の伝言などは、上記の<伝言版>にお書きください。

ご挨拶

2012-01-22 14:56:12 | 日記
昨日は大寒の入りでした。風邪も流行っているようですが、皆さまは大丈夫でしょうか。
「きがるに句会」も今回が第3回の入賞発表となりました。今回は特別招待選者に同人会長の小西宏さんに加わっていただきましたので、さらに充実した句会になりました。次回第4回は、きがるに句会の過去に最優秀句をつくられた皆さんに特別選者に加わっていただきますので、よろしくお願いいたします。ご投句をお待ちしています。特別招待選者のみなさま、選とコメントをありがとうございました。これで第3回句会を終わります。(高橋正子)

●俳句日記/高橋正子:
http://blog.goo.ne.jp/kakan02

第3回句会入賞発表

2012-01-21 07:14:54 | 日記
■第3回句会(1月15日~21日)

【最優秀/2句】
★銀杏みな冬芽整い街筋に/藤田洋子
「街筋に」がこの句のイメージを鮮明にしている。整然と並んだ街路樹のどの銀杏にも冬芽がしっかりとついて、つまり、冬芽が整い、きりっとした冬の景色となっている。(高橋正子)

★冬の虹土手道駈ける児の上に/迫田和代
冬枯れの土手を無邪気に走る児たちに、冬の虹が懸って、幸せな子どもの情景が目に浮かぶ。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★海苔洗う清冽な水に母の指/川名ますみ(正子添削)
海苔は、春に磯などで採取されて春の季語。寒中に採れたものも美味。磯で採れた海苔にはとくに砂が多く、水を幾度も変えて洗う。そういった水が清冽で、母の白い指が際立つ。(高橋正子)

★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
どんど焼きの炎があがる。誰かが、またあたらしく持ってきた締飾りなどをくべると、別の炎が立つ。炎だけを詠んでからっとしている。(高橋正子)

★春を待つ車窓の海の明るさに/津本けい
車窓から見える海は明るい。乗り物に揺られながら明るい海を見ると春はもうそこにやってきているように思える。春を待つ気持ちが優しい。(高橋正子)

★鈴の音や寒行僧の遠ざかる/藤田裕子
鈴を鳴らしながら寒行の僧が街をゆく。目の前から僧が遠ざかると、鈴の音が遠ざかる。鈴の音に重ねて、修行とはいえ、厳寒の中を行く僧を思いやる心がしのばれる。(高橋正子)

★ふるさとへの車窓に冬芽冬芽かな/安藤智久
ふるさとへ近づく山の木々の冬芽であろう。車窓に、冬芽の木々が次々過ぎる。「冬芽冬芽かな」に、詠み手の「明らかな目」を感じる。(高橋正子)

【藤田洋子特選/5句】
★朝夕にきりっとうまし寒の水/多田有花
冷気たっぷりの寒の水を飲み、清々しく身の引き締まる思いです。朝夕、体内を浄化してくれるような水のうまさに健康的な生活がうかがえます。(藤田洋子)

★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)

★日脚伸び父子直球バシと受く/小西 宏
直球を受け止める音が日脚伸びる一刻に明るく響きます。父子のあたたかく伸びやかな情景に、ふと春近づく思いを抱かせてくれます。 (藤田洋子)

★柿の木の根元寒肥を念入りに/河野啓一
寒肥を念入りに施す、その丁寧な作業に、樹木への慈しみがあふれているようです。季節を経て、やがて豊かな柿の実りも明るく想像されます。 (藤田洋子)

★冬の虹土手道駆ける児の上に/追田和代
冬枯れの土手を無邪気に走る児たちに、冬の虹が懸って、幸せな子どもの情景が目に浮かぶ。(高橋正子)

【多田有花特選/5句】
★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
「炎の中にまた炎」というのがシンプルであると同時にどんどらしさを感じさせます。情景が浮かぶと同時に、炎を見守る人々の心情も見えてくるようです。(多田有花)

★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)

★日脚伸ぶステンドグラスの青き色/津本けい
寒さも寒さながら、日脚が伸びて明るい日の光が嬉しいころになった。青いステンドグラスを透ける光ものびやかに美しい。(高橋正子)

★稜線の容ととのう寒の晴/桑本栄太郎
山の稜線が決まり、山容がととのう。きりっと晴れた空のもとの寒中の山である。(高橋正子)

★日脚伸ぶ同期の友と再会し/河野啓一
日脚が伸び、陽光にもあかるさが増してくる。そんな折昔なつかしい同期の友と再会し旧交を温める。これも明るい出来事。(高橋正子)

【高橋秀之特選/5句】
★寒の水音立て朝の厨ごと/藤田洋子
一段と冷え込みの厳しい寒の時期の朝、炊事のために使うであろう水を使う音が台所から聞こえてきます。気持ちのよい一日の始まりです。(高橋秀之)

★白菜のしろきを抱いてふり返る/川名ますみ
生活のある、美しい風景だ。「白菜のしろき」、「抱いて」、「ふり返る」、どれもが、そしてすべてが詩情のある言葉だ。(高橋信之)

★日脚伸ぶステンドグラスの青き色/津本けい
寒さも寒さながら、日脚が伸びて明るい日の光が嬉しいころになった。青いステンドグラスを透ける光ものびやかに美しい。(高橋正子)

★日脚伸ぶ同期の友と再会し/河野啓一
日脚が伸び、陽光にもあかるさが増してくる。そんな折昔なつかしい同期の友と再会し旧交を温める。これも明るい出来事。(高橋正子)

★ごみ出しの額に掌に受く新雪を/高橋信之

【小西 宏特選/5句】
★メロディーの報す風呂張り寒の夜/桑本栄太郎
近頃ではお風呂の沸いたことを短い音楽で知らせてくれるようになりました。軽やかなメロディーが聞こえると、もう体が温まってきたような気にさえなります。「寒の夜」という昔ながらの表現と現代的なシステムとの新しいコラボレーションです。(小西 宏)

★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)

★躍りだす風花海の見えてより/今村征一
海が見えてから、風花が踊りだす。海の近くは遮るものが少なく、風がよく吹いていることもあるだろう。動きのある風花と海の取り合わせがいい。(高橋正子)

★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
どんど焼きの炎があがる。誰かが、またあたらしく持ってきた締飾りなどをくべると、別の炎が立つ。炎だけを詠んでからっとしている。(高橋正子)

★枝先の揺れて春待つ庭の木々/河野啓一
まだまだ寒い日が続いていますが、庭の木々に目をやると、枝先の揺れにも生命力が感じられます。春を待ち望む心が、木々共々伝わって参ります。 (藤田裕子)

【入選/10句】
★初雪を降らして空の明るい朝/高橋信之
朝の空から初雪がひらひら舞う。雪雲が広がっているわけではなく、いつもより幾分か冷え込む空なので、明るさがある。初雪が軽やか。(高橋正子)

★満天の星降り注ぐ霜夜かな/佃 康水
美しい世界をそのまま、ためらわず句にしたストレートさに魅了される。霜夜という冷え切った美しい夜に、満天の星が降り注ぐこの美しさ。(高橋正子)

★冷え込みの厳しい朝のお味噌汁/高橋秀之
寒い朝、奥様の暖かいお味噌汁に心が温まります。今日も一日がんばろう、そういう気持ちになりますね。(多田有花)

★一両の吾妻線や雪野原/小口泰與
一両きりの列車というのは、懐かしい気持ちをかきたてます。それが一面の雪野原の中を走っていくとなればなおさらでしょう。(多田有花)

★こんもりと雪積む遠き小正月/小川和子
ふるさと、幼いころの思い出を詠んでおられます。今は都会で雪も小正月の行事も遠くなった、でも、心の中に幼いあのときの情景はずっと生きています。(多田有花)

★蒼天のライナー島へ寒の潮/桑本栄太郎
冬の海を横切って高速船が島へ到着する。空は青空。瀬戸内の爽快な風景を想像しました。明るく活気のある句と思います。(河野啓一)

★赤ん坊と冬菜積まるる乳母車/古賀一弘
乳母車に赤ちゃんと、同じくらいの大きさの冬菜ー多分白菜などを積んで買い物帰りの若いお母さん。微笑ましい市井の風景を詠まれました。(河野啓一)

★寒林に野外学習の声弾む/古田敬二
いつもは静かな寒林に、今日は野外学習をする子供達の元気な声がしています。寒く冷たい空気の中、子供達の弾む声に心温まる思いがいたします。 (藤田裕子)

★一もじをぶつ切りすれば香りかな/下地鉄
男の料理であろうか。厨の様子がありありと読み手に伝わる。まな板の上の葱、手に持つ包丁、何よりも葱の強い香りが読み手にも匂う。生きのいい句だ。(高橋信之)

★水仙の香り清らに朝が来る/河野啓一
「朝が来る」ことの嬉しさを詠んだ。「水仙の香り清らに」と詠んだ作者の思いは、読者も喜ばす。いい朝だ。(高橋信之)

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第3回句会全作品

2012-01-21 07:14:14 | 日記

◆第3回句会/21名(1月15日~21日)◆

●黒谷光子
光る葉のかげに一輪冬椿
瑠璃の濃く髯より覗く竜の玉
よく弾む艶や円みや竜の玉
裸木の影きわやかに朝の陽に
裸木の並木の影の平行に
水仙を活ける留守する玄関に
春待つに伊吹おろしの風すさぶ
蹲に昨夜の風あと氷張る
川音を聞きつ仰げば寒北斗
かがやかに空晴れ渡り小白鳥
イヤホーン外せば屋根打つ寒の雨
夕べには廂打つ音寒の雨

●高橋秀之
どんど炊く煙まっすぐ大空へ
妻も子もそれぞれの休日小正月
小正月生駒の山も静かなり
冷え込みの厳しい朝のお味噌汁
一椀の味噌汁を待つ冬の朝
暖房をつけて布団に舞い戻る

●古賀一弘
満を持す鎧兜の冬木の芽
日溜りに憩ふ老媼冬薔薇
赤ん坊と冬菜まるる乳母車
赤ん坊と冬菜積まるる乳母車

●川名ますみ
幾たびも桶を返して海苔洗う
清冽な海苔の中なる母の指
生海苔の炊ける匂いの風呂場まで
寒晴や母の母校の煉瓦門
白菜のしろきを抱いてふり返る
冬日和鳩の集まる弁当屋

●祝恵子
打ち鳴らす巫女の太鼓や宵えびす
どんど焼き炎の中にまた炎
のどごしを冷たく落ちて小豆粥

●津本けい
軒満たす大根あかりの夕暮かな
藪椿溢るる蕾のひとつ咲く
宿木をあまた宿せる冬木憂し
日脚伸ぶステンドグラスの青き色
木蓮の冬芽光れり空青く
冬鳥のばさと飛びたつ枯葛原
降りそそぐ蝋梅ころころ空に透き
ほの紅き梅の蕾の芯白く
春を待つ車窓の海の明るさに

●小西 宏
物言わぬ木々となりたる冬曇
日脚伸び父子直球バシと受く
枯蘆の折れ突き刺さる濁池
水仙よ喉を冷やすな風邪ひくぞ
西暮れて山稜淡き寒さかな
雲低く垂れて工場の煙寒し
薄雲に冬日差しきて鳥の声
冬ざれの崖を薄日の撫でてゆく
枯芝を犬駈けて行く土ぼこり
じんわりと前歯噛みしむ凍豆腐

●小川和子
足取りの軽く霜降る朝凛と
こんもりと雪積む遠き小正月
水回りよりしんしんと寒の冷え
冬草を足裏に踏み岸辺ゆく
鴨すべる水脈長く描きつつ
岸辺まで冬日を映す川まぶし

●佃 康水
葱摘むや敷藁白し霜の華
満天の星降り注ぐ霜夜かな
早梅の万の蕾に空の青

●桑本栄太郎
稜線の容ととのう寒の晴
街の灯の遮り足らず寒の星
セーターの脱ぐを厭えり静電気
天窓の陽射し明るく日脚伸ぶ
メロディーの報す風呂張り寒の夜
寒拆や夜のとばりの高階に
ともし火を竹に阪神震災忌
蒼天のライナー島へ寒の潮
航跡の泡の流離う寒の潮
寒星や街の明かりの妨げず
竹林の彼方は見えず時雨けり
足跡の千々の乱れや藪柑子
大寒の木々の雨滴の艶めけり
日脚伸ぶ枝の雨滴のしたたりぬ
つつがなく過ごす感謝や今日大寒

●下地鉄
一もじをぶつ切りすれば香りかな
荒芝に大の字になり初明かり
木枯しや水平線はしずかなる

●藤田洋子
一月のメタセコイアの琥珀色
メタセコイア冬も影濃くかく尖る
寒の水音立て朝の厨ごと
銀杏みな冬芽整い街筋に
高々と銀杏冬芽に空眩し
ことごとく雨粒光る冬木の芽

●藤田裕子
早暁の消えゆくまでの霜の花
青空へ蝋梅の黄を散りばめり
鈴の音や寒行僧の遠ざかる

●古田敬二
落ち葉道∞(無限大)という字思い出す
花枇杷を横切る森の往き還り
たくましき羽音突然寒鴉
手のひらで摩れば枯れ芝あたたかし
冬木立ち孤高ということ思いけり
冬落輝黒々木立ちのシルエット
春隣地球の軌道は楕円形
寒林に野外学習の声弾む
懐手に「伊吹颪」を口ずさむ

●今村征一
働く灯ビルに積み上げ寒の雨
冬草に生きる力を学びたる
樹氷して森は魑魅となりにけり
暁光に濡れて突つ立つ寒樹林
「ふ」と染めて加賀麩商ふ冬暖簾
待春の水琴窟の音色とも
躍りだす風花海の見えてより
翻へる瞬時大鷹手に獲物
雪の来ぬ不安どか雪降る不安
沖見せず宙に貼りつく波の花

●小口泰與
早梅や日の出したたる浅間山
一両の吾妻線や雪野原
風吹かぬ赤城の朝や霜の花
明日と言う日の鐘の音や冬の虹
車出づ着膨れの吾(ア)に静電気
ゆったりと長き裾野や雪赤城
空っ風からす電線鷲づかみ
雪雲に山すそ煙り北颪
黒雲の風と迫りぬ虎落笛
口つぐみ赤城颪へまむかえり
里山の放射冷却空っ風
白鳥と冬夕焼のもとにおり
電飾の橋点りたる寒暮かな
夕暮れの茜の雲や日脚伸ぶ
寒餅のひび割れしまま置かれけり
焼芋や山に色ある夕間暮れ
晩年は畳の部屋や福寿草
紅梅の冬芽や夜の地震かすか

●迫田和代
街の色明るくなって春を待ち
陽を浴びてのっそり動く冬らしさ
高い空貼りついたよう冬の月
寒々と流れる小川川藻揺れ
雪明かり総てをつつむ朝の雪
冬の虹土手道駈ける児の上に

●安藤智久
寒雀ビルの隙間に弾みけり
鈍行で帰るリュックに冬林檎
ふるさとへの車窓に冬芽冬芽かな

●高橋信之
初雪を降らして空の明るい朝
ごみ出しの額に掌に受く新雪を
軽きとも重きとも新雪舞えば

●河野啓一
春近し瀬戸のさざ波屋島浦
網走に流氷の報せ春遠からじ
枝先の揺れて春待つ庭の木々
森深し阿讃を跨ぎ山眠る
沖を行く船の霧笛や紀伊水道
柿の木の根元寒肥を念入りに
日脚伸ぶ同期の友と再会し
日向ぼこ眠気を覚ます鳥の声
庭草も揺れて喜ぶ小春風
パンくずにサッと群がる寒雀
冬ざれの庭にも雀次々と
冬薔薇色良くつぼみ育ちけり
水仙の香り清らに朝が来る
白い花高く掲げし庭水仙
白い花咲かせ水仙池の端

●多田有花
海沿いの公園山茶花咲きこぼれ
早梅のしべ震わせて風過ぎる
松過ぎの境内に響く鳥の声
ひっそりと雨を待ちたる冬の川
早梅の枝にみなぎる紅の色
冬帽子被りいつもの散歩道
寒の陽に今日の竹林動かざる
寒ぬくし頂に人と談笑す
マフラーに黙って顎を埋めている
田に畑に降りしきるなり寒の雨
新しきスケッチブック日脚伸ぶ
待つことと考えること冬深し
蟷螂の卵いくつも寒の枝
寒雀等間隔に並びおり
朝夕にきりっとうまし寒の水
大寒や麓で昼の鐘が鳴る
大寒の雨の静かに毘沙門堂
蕾日に日に春の近さを知らせおり


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第2回句会入賞発表

2012-01-13 09:29:11 | 日記
■入賞発表/2012年1月15日■
(1月8日~14日投句より)

【最優秀】
★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子
水仙が咲くのは、意外と遅い。12月ごろは、ほとんどは蕾が固くて、正月が過ぎたころから一花二花と咲き始める。一月半ばすぎからが見ごろであろうか。まず、一本咲いた水仙が少し傾いで咲いている。「清楚に傾ぎ」が咲き始めの水仙らしい。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子
水仙が咲くのは、意外と遅い。12月ごろは、ほとんどは蕾が固くて、正月が過ぎたころから一花二花と咲き始める。一月半ばすぎからが見ごろであろうか。まず、一本咲いた水仙が少し傾いで咲いている。「清楚に傾ぎ」が咲き始めの水仙らしい。(高橋正子)

★寒中の沖はまぶしく晴れており/多田有花
寒の晴である。一気に詠まれた句は、すべてが明らかで、作者の内面が明らかなので嬉しい。(高橋信之)

★飯桐の実を突き出して森静か/川名ますみ
高木に葡萄の房のように赤い実を付ける飯桐。枯色深める森に、いっそう鮮やかに目を引きます。冬の森の静寂に、ふっと心灯されるような明るさを感じます。(藤田洋子)

★富士見える町の明るさ凧揚がる/安藤智久
この句の主眼は、「明るさ」であるが、その良し悪しは、読み手によって分かれる。この「明るさ」を素直なものと捉えるか、平凡なものと捉えるか、であり、素直な感動の良さを私は、高く評価したい。(高橋信之)

★青麦の田を分け列車南進す/黒谷光子
「南進す」に勢いをつけて晴れやかに走る列車が想像できる。行き先は春も隣りの明るいところか。明るくて元気が湧く。(高橋正子)

【藤田洋子特選/5句】
★一月の万年青の生花線の美を/藤田裕子
正月花として特別な生け方をする万年青、生ける方の心構えを感じ取れる「線の美」です。年の始めの一月に、祝意をこめて生けられた万年青が、葉も青々と美しく清々しいかぎりです。(藤田洋子)
「万年青」が活けられ、そこに「線の美」を見た。「万年青」の葉の力強さに「一月」という年のはじまりに当たっての作者の気持ちを託した。(高橋信之)

★蝋梅や空の青さに香の零る/佃 康水
寒中の空は澄んで青い。青空と蝋梅の黄色の対比は色彩的に美しい。その上に芳しい香りがこぼれていれば、至福の時間が味わえる。(高橋正子)

★清浄に暮れて高野の冬銀河/今村征一
星月夜や銀河は、秋の季語となって、秋の夜空の美しさを詠むが、大気が透明となって一年で最も美しい季節は実は冬である。そこを詠んで作者は、「清浄に」とした。「清浄」、「高野」、「冬銀河」と続く言葉の取り合わせがいい。(高橋信之)

★せいけつな色して落葉日の中に/高橋信之
落ち葉にもいろいろな色がありますが、せいけつな色と感じるのがいいですね。暖かい日の中であればこその感覚かと思います。(高橋秀之)

★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子

【多田有花特選/5句】
★初稽古まず聴音に始まれり/小川和子
賛美歌を歌われるのでしょうか。初稽古という特別な場所でまず音に耳を澄ます、厳かで清潔な空気が伝わってきます。(多田有花)

★伊吹嶺も連なる山も雪光る/黒谷光子
雪嶺となる伊吹山、続く連山も眩いばかりの景観です。湖国近江の冬の厳しさを感じつつも、明るく輝く雪嶺に、作者の郷土への思いが感じられます。(藤田洋子)

★凍雲の青き影ゆく向う岸/津本けい
凍てつくような空も雲が青空の中流れてゆく様子が影にも表れます。向こう岸がいいですね。(高橋秀之)

★ちりぢりと赤き葎の枯野かな/桑本栄太郎
枯野の枯れがきわまっているという印象を受けます。なにもかもが枯れてそこからまた新しい何かが生まれることへの希望です。 (多田有花)

★山風にガス灯ゆれる達磨市/小口泰與
上州は風で有名な場所、その風にゆれるガス灯の下で達磨市が開かれています。風の音と寒気と活気が感じられます。 (多田有花)

【高橋秀之特選/5句】
★寒中の沖はまぶしく晴れており/多田有花
 寒い冬の気持ちいい晴れの日。海も日差しを受けて輝いている。とても気持ちのいい光景です。(高橋秀之)

★寒中の硝子のくもり拭いて空/藤田洋子
寒い中部屋の中から外を見ようとしてもガラスは曇っています。そのくもりを拭くと外には空がいっぱいに広がっています。ほっと一息ついた様子がうかがい知れます。(高橋秀之)

★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子
★清浄に暮れて高野の冬銀河/今村征一
★せいけつな色して落葉日の中に/高橋信之

【入選/6句】
★延々と冬の朝焼け機上から/高橋秀之
夜空にきらめく星の数よりも、岬に灯る冬燈のほうが少ない。それだけに星がよくきらめき、岬に灯る燈にも人なつかしさが湧く。(高橋正子)

★冬満月たゆたいつつも山の端に/河野啓一
空に浮かぶ冬満月をとらえて、ユニークな句。(高橋正子)

★冬日さし膨れた雀元気だし/迫田和代
寒さの中羽毛をふくらませた雀に、冬の日差しがとりわけ温かく優しく感じます。その温もりに、作者自身も明るく元気付けられたのでしょうね。(藤田洋子)

★年賀状郵便受けの大き音/古賀一弘
お正月の楽しみの一つの年賀状。届けられる賀状を心待ちに、郵便受けに入る「大きな音」が耳に響き、新年を迎えての喜び、心明るさが感じられます。(藤田洋子)

★山風に重たげにゆれ実南天/古田敬二
山風はそんなに強い風ではないのでしょう。それでも揺れる実南天。重たげに、がその風情を際立たせて感じさせてくれます。(高橋秀之)

★丘まるく夕日孕みし冬木立/小西 宏
なだからな丘の冬木立ちがいま夕日を孕んでシルエットのように美しく立っている。ずっと留めておきたいような冬景色。(高橋正子)

第2回句会全作品

2012-01-13 09:28:07 | 日記
◆1月8日~14日/20名◆

●高橋信之
大いなるものよ冬空仰ぎ見る
冬空の拡がりに今駅裏は
せいけつな色して落葉日の中に
ごみ出しの朝の一歩に冬の晴れ
許されて枯芝のやさしさを踏む
寒天の今日ためらいの無き青に

●高橋秀之
延々と冬の朝焼け機上から
小寒のニュース映像異国の地
冬服をかばんに搭乗国際線
夜が明けて西空の冬月白く
白菜が溢れんばかり大皿に
北風の吹く朝港は波高し

●今村征一
寒灯下憤怒の仁王立ち上がる
遠くとも待春の情分かちたく
清浄に暮れて高野の冬銀河
行間に悴むこころ垣間見る
息白く大極拳の足上がる
餅を焼き昭和二桁裏返す
目で描く絆の一字寒晴るる
龍描く千鳥破風にもある淑気

●藤田洋子
水くぐり刻む七草青々と
七草のほのかな香り椀の中
水仙の香り残して灯り消す
切り揃え置く水仙の厨窓
寒中の硝子のくもり拭いて空
海の香の海鼠真水で洗いおり

●古田敬二
木漏れ日を受けて実一つ藪こうじ
山風に重たげにゆれ実南天
梅林の奥より剪定鋏音
温室の蘭が聴いてるソナタ「春」
窓越しの冬の日温しお茶饅頭
雪嶺は太古の高さに御嶽山

●古賀一弘
お互ひの長寿言祝ぐ年始酒
三陸に生まれ育ちて成人式
年賀状郵便受けの大き音

●迫田和代
雪道をよぎる黄色の遮断機よ
冬日さし膨れた雀元気だし
僅かだが緑を残し枯れ山に
群れて咲く水仙の香り海風に
陽を浴びて輝く蝋梅黄金色
冬の朝窓開け部屋をシンとして

●津本けい
かたまって流れの底の寒の鯉
星よりも少なき岬の冬燈
鳶舞える送電塔より霰降る
戸締りに出づれば冬満月凛と
間近より雉子鳴き発ちて野を揺らす
幾度か雉子降り発ちぬ草の原
夕映えの水に流れて浮き寝鳥
椋の実を高く散りばめ空広し
紅茶葉のジャンピング楽しき冬暁
川に出て寒風どっと攻め来たる
凍雲の青き影ゆく向う岸
寒夕焼束の間燃えて昏れにけり

●黒谷光子
面影は少年のまま賀状読む
伊吹嶺も連なる山も雪光る
実千両たわわなる枝を供花に添え
鐘撞きに蝋梅匂う段上がる
蝋梅にやわき日の射し黄の透ける
鶴亀のあとはおしゃべり謡い初め
北風の連れきし小雪闇に舞う
街灯の明かりの中を小雪舞う
蜜柑おく夜のテーブルの真ん中に
久に会う友どち寒の駅頭に
麦の田を分け列車南進す
鴨川に沿い南座へ冬柳
鳶一羽舞う空の下蕪を引く
鳶よりも烏すばやく冬空へ
冬草の青き野川や蕪洗う

●小口泰與
山風にガス灯ゆれし達磨市
次々に出そろう星や北颪
まむかえる赤城颪や冬菫
一条の夕日に浮ぶ大白鳥
古沼や鴨にまじえる大白鳥
寒釣や波の上なる榛名富士

●小川和子
紅色の濃く差す椿まだ固き
陽のさんさん降り水仙の二輪咲く
光射す水仙の香を知らんとす
鉱泉の湯気ほのぼのと石蕗の花
初稽古まず聴音に始まれり
去年に見し冬木並木のいよよ伸ぶ

●多田有花
山眠る下を流れし川もまた
遠き野に寒の光の差しており
春を待つ木々の枝先足の先
山路ゆく春遠からじと思いつつ
播磨灘包む真昼の寒霞
瑠璃色の蝶に出会いし寒真昼
地に伏してさらに水仙咲き続く
いっせいに小鳥飛び立つ枯葎
両脇に枯田したがえ高速路
寒中の沖はまぶしく晴れており
寒暁や列車の音に明けてくる
しんしんと午後より冷えて寒波くる
寒風に日ごと日差しの明るくて
裸木の枝を離れし雲一辺
待春の木々青空に枝広げ

●川名ますみ
乗初に馴染みとなりし運転手
賀状に触れ絵の具の厚み確かむる
椀物の具をすみに書き初日記
松明の洋蘭つぎつぎほどけゆく
飯桐の実を突き出して森静か
枯木山いいぎりの実のいろ激し

●桑本栄太郎
ちりぢりと赤き葎の枯野かな
蒼天の後光の射しぬ冬の雲
信貴生駒嶺の遥けき寒の晴

●佃 康水
蝋梅や空の青さに香の零る
黒々と小枝尖らせ寒満月
音違え海辺に爆す大とんど

●祝恵子
まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙
七草の一草の根っこつまみあげ
缶の温み手に転がして冬の駅

●河野啓一
冬の瀬戸並びて白き大吊橋
小寒の吉野川越え阿波に入る
冬満月たゆたいつつも山の端に

●藤田裕子
冬満月木々を鎮めていよよ満つ
一月の万年青の生花線の美を
杵つきの黍餅ふくらみ至福の時

●安藤智久
富士見える町の明るさ凧揚がる
ピザ窯の炎が揺れる寒の夜
初競りへ山葵きりりと箱詰めす

●小西 宏
梅が枝に連なる小さき春隣
枯枝に鴉うごかず怒り肩
丘まるく夕日孕みし冬木立