宮沢賢治の作品の多くは私にとっては難解で作者は何を読者に伝えようとしているのだろうと思うことが多いです。唯一「セロ弾きのゴーシュ」だけは理屈抜きで楽しめます。何回読んでも、何回DVDを見ても、楽しくて愉快で笑ってしまって、最後は温かい気持ちになります。夜になるとゴーシュの家にやってくる三毛猫・かっこう・こだぬき・野ネズミの母と子たちは個性豊かで、さながらゴーシュの音楽のセンスのなさを指導する音楽講師のような役割を果たしています。彼らの指導のかいあって、観客からはアンコールの拍手!楽長や仲間からは努力(三毛猫たちの訪問者のおかげ)が認められました。だんだんうまくなっていくゴーシュのセロの音が聞こえてくるようで、宮沢賢治の作品の中で一番好きです。