私が記憶している最初の物語は小川未明の童話「赤い蝋燭と人魚」です。私はまだひらがなも読めませんでしたから4歳か5歳のころだったでしょう。高校生の兄が読んでくれました。まったく挿絵のない文字だけの文庫本でした。なぜ絵のない文字だけの本から美しい人魚や海辺の風景そして赤い蝋燭が目の前に飛び出してくるのか不思議でたまりませんでした。私はこの物語がずっと好きでした。でもよく考えてみると最初に読んでもらった時にはこの童話の内容はわかってなかったのだと思います。人魚や海辺、赤い蝋燭を想像していただけだったかもしれません。心優しい老夫婦が言葉たくみな香具師にそそのかされて人魚を売ってします悲しい話は、その後自分で本が読めるようになってから学校の図書館か町の図書館で借りて読んだのだと思います。
最新の画像[もっと見る]
私は兄が3人いましたが誰にも、一度も本を読んでもらった覚えはありません。
戦後すぐに小学校に入学しましたから、
時代的にそれどころでは無かったということもありますけど。