ユダの裏切り
(マタイ26:14-16)
「そのとき,十二弟子のひとりで,
イスカリオテ・ユダという者が,
祭司長たちのところへ行って,
こう言った。
『彼をあなたがたに売るとしたら,
いったいいくらくれますか。』
すると,
彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。
そのときから,
彼はイエスを引き渡す機会を
ねらっていた。」
「引き渡す」は,
「裏切る」とも訳されています。
イエスの受難の予告です。
ユダが裏切った理由については
多くの推測がなされてきました。
ガリラヤ出身者の中で唯一ユダヤ
(「イスカリオテ」[14]は「ケリオテの人」と訳せます。
ケリオテはユダヤにある)の出である彼は孤立していて,
ガリラヤ人が重用されるのに嫉妬したようです。
なかなかメシヤとして旗揚げしないイエスに
決起を促そうと思い切った手段に出たと考える人がいます。
自分の身を守るには敵方に鞍替えするのがよいと判断し,
偽メシヤだから当局に渡さなければならないと考えた,
といった具合です。
こうしたことのどれかと,
福音書が示唆する金銭問題が絡んでいたのかもしれませ。
会計係の彼は共有の財布から着服していたと
ヨハネは記しています。(12:6).
「銀貨30枚」(15)は
シェケル貨30枚であるとすれば奴隷の代金です。(出21:32).
こうして祭司長たちは願ってもない内通者を得ました。
○
(出エジプト21:32)
「もしその牛が,男奴隷,
あるいは女奴隷を突いたなら,
牛の持ち主はその奴隷の主人に
銀貨三十シェケルを支払い,
その牛は石で
打ち殺されなければならない。」
2021-04-28