今に至るまで痛みも伴っている。涌井には、身を削ってまで得た教訓があった。
「そこに気づくのに、10年くらいかかってしまって。そういう後悔もしながら、今があるのかなって思います」
その「後悔」とは、ウエートトレーニングを指している。涌井は2010年あたりから、それを導入した。その年でいえば5年連続で2桁勝利を挙げており、いわば「絶頂期」と表現してもおかしくないほど、ハイパフォーマンスを披露していた時期だ。
「イチローさんも体形があまり変わらないじゃないですか。自分もそっち側だなって。結局、体を大きくしても、ダルビッシュみたいに扱えなかったら意味がないんで」
ウエートを断ち切った涌井は、原点回帰した。高校時代からの、いわば“習慣”であるランニングを多く取り入れる。持久系だけでなく、チームのメニューに組み込まれているダッシュなどの瞬発系も精力的にこなす。筋力アップを図る場合は、器具を使わず腹筋などで補っているのだという。
「本当に昭和のトレーニングなんですよね。自分にはそっちのほうが合ってるんで」
「若い子とかにトレーニングのことを聞かれたら、イチローさんの言葉を使うんですよ。『ライオンがトレーニングをして、あんなすごい筋肉を身に付けましたか?』って。結局は、自分の体に合ったトレーニングをすることが大事なんで、こういう表現で伝えたほうがわかりやすいかなって思うんですよね」
「去年の夏くらいに、ダルビッシュから『真っすぐの握りを変えたらよくなった』ってメールがきて。それを取り入れたら、自分もよくなったんですよね。そういうのも、今年にちょっとつながっている部分はありますね」
このとき、涌井はダルビッシュと交わした「約束」がある。
「あと5年くらい、しっかり投げられるように頑張ろうな」
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