心拍変動値に影響を及ぼす因子について

2021年02月02日 | run

とりあえず、吾輩自身のことはさっさと記載しておきます。

【身体データ】赤字は7日間移動平均値)

体重: 61.20 kg / 60.83 kg

安静時心拍数: 47.3 拍/分(σ=1.44)

 

【ラン寒稽古】Jog(WC/TI:3.3℃)

59分51秒/9.04km(→6分37秒/km)

心拍数:(平均)111拍/分、(最高)123拍/分

消費エネルギー量:455 kcal

 

※※※※※※※※※※※※※※※※

標記の件、そのような記事がTraining Peaksのサイトに掲載されていました。引用元はこちらです。

心拍変動(Heart Rate Valiability , HRV)の値に影響を及ぼす因子について

by Simon Wegerif on Training Peaks

 

 筆者がアスリート達からよく尋ねられる質問は「私のHRV値は良いのか悪いのか、どう評価すれば良いのですか?」というものである。そして、それに対する答えは「人によりけり」である。本稿では、HRV値を解釈する際に考慮すべき幾つかの因子について述べる。

 

1.年齢

 HRV値は加齢に伴い低下する。下図は、被験者数=300人である調査結果を纏めたものだが、その事実を如実に示している。また、同年齢におけるHRV値のバラツキが大きいことも読み取れる。

(訳者注:平均値は青線、緑線と赤線は平均値±2σを示す。統計学では平均値±2σに全体の95%が含まれるとされる)

 

 この図から見ると、実年齢が40歳の人の場合、HRV値の平均は65である。有酸素運動能力が高い人の場合、HRV値も高くなる傾向が見られるので、HRV値は65以上(場合によっては緑線を超える80以上)という人が多い。

 

 なお、注意したいのは、HRV値は測定時の姿勢によって変化するという点である。一般的には、仰臥位では座位より35高くなるし、座位では立位より35高くなる。

 

2.安静時心拍数との関係

 アスリートのHRV値を評価する際、筆者が注目するのは、HRV値/安静時心拍値の7日間移動平均値とトレーニング量の変化を一枚のグラフに示したものである(下図参照)。なお、下図は50歳のスポーツ愛好者のデータを基に作成している。

このグラフから読み取れるのは以下の点である。

 

1. HRV値(青線)は(年齢にしては)高い(8590

2. 安静時心拍数(赤点線)は低い(50bpm台前半)

3. トレーニング量が変動している割には、HRV値及び安静時心拍数の日間変動が比較的小さい。これは

  身体が回復する能力が高いことを示している。

4. 緩やかではあるが、HRV値と安静時心拍数の差が広がりつつある。これは運動能力の向上を示している。

 

 このようにHRV値を評価する際は、日々の数値を見るより、その時系列の変化を見る方がより様々な情報が得られる。

 

 一方、エリートレベルの自転車競技選手のデータ(下図)を見ると、幾つかの望ましくない特徴が読み取れる。

1. HRV値のベースラインが比較的低い(7075)一方、安静時心拍数のベースラインが高い(5065bpm

2. 強度の高いトレーニング(棒グラフ)が数日続いた後、HRV値が低下している

3. HRV値と安静時心拍数の差が次第に縮まっている。これは何らかの疾患が発生した可能性を示している

4. HRV値の日間変動が大きいのも懸念材料である。これはトレーニング量の僅かな変化が身体に有意な影響を及ぼしていることを示している。

 

3.トレーニング内容

 

トレーニング量を漸増させている段階

 この段階に於いては、HRV値は低くなる傾向にある。これは、身体にストレス(負荷)がかかっていて、適応能力を刺激していることを示している。ただ、低くなる程度は比較的緩やか(約510%減)な筈であり、トレーニング量を減らす回復期になるとHRV値はすぐに元通りになる筈である。

 

トレーニング量の多くし、基礎的な有酸素運動能力を養成する段階

 この段階に於いては、HRV値は若干(約5%程度)増加する一方、安静時心拍数は若干減少する。このことは、身体がトレーニング量に適応していることを示している。

 

レース前の調整段階

 この段階に於いては、HRV値はトレーニング量の減少に伴って増加するが、すぐに一定→微減となる。同時に、安静時心拍数は若干増加する。これは交感神経が優位となっていることを示す、望ましい変化である。

 

4.生活習慣

 トレーニング量(の変化)だけでHRV値の全ての変化が説明出来ると考えるのは大きな誤りである。というのは、HRV値は、トレーニングを含めた生活全体で身体が被るストレスの総量を反映したものだからである。具体的には、

 

ストレスの総量=①トレーニングetc.で身体が被るストレス+②食事に伴うストレス+③心理面で被るストレス

 

である。なお、①を細分化すると

 

=①-1:トレーニングによるストレス+①-2:トレーニング以外の日常生活によるストレス

 

と言える。

 

 ここで、①-1を最大にしようとすれば、(①-2+②+③)を最小にする必要がある。その点に最新の注意を払うことによってトレーニング量は増やせ、その結果としてHRV値のベースライン(≒7日間移動平均値)が上昇する。

 

 見方を変えると、HRV値はトレーニング以外の生活習慣の変化を定量的に表し得るものとも言える。ならば、HRV値を経時的に見ることで、より望ましい生活習慣の受容が促されるであろう。

 

まとめ

 

1. HRV値が年齢相応の範囲内に収まっていることに留意すること。

2. トレーニング量が多い期間に於いては、

  ・HRV値が日間で大きく減少すること

  ・7日間移動平均値のグラフが510%程度下降傾向を示すこと

  はあり得る。但し、そのような期間が終了した後/調整段階に於いては元に戻っているのを確認する。

3. HRV値の7日間移動平均値のグラフが僅かでも上昇傾向を示すよう、生活習慣の改善に務める。それによってトレーニング量が増やせると共に、身体の回復力は向上する。

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