ついに最終回です。では、どうぞ。
「これは・・・?」
俺たちはその光景に圧倒されその場に立ち尽くした。そこにあったのは黄金に輝く巨大な凱旋門だった。その先にはどこまでも階段が続いている。階段の終わりは見えなかった。
「これが幸界・・・?」
建樹が呟く。
「この階段登ればゴールじゃない?行こうよ!」鈴望の顔が明るくなった。
俺たちは輝く階段を登っていった。かなり疲れてはいたが、ゴールがもう目の前に迫っているのだ。そう思うと自然と体が動いた。
果てしない階段を登りきり、俺たちは雲を突き抜けた。そこにあった光景に俺たちは目を見張った。
一面の青空の中浮かぶ巨大な雲の上に、水晶のように輝く宮殿が建っていた。入口には虹色に輝く宝石で作られた狛犬が立派に立っている。まさに、「幸界」と呼ぶにふさわしい場所だった。
俺たちがその場から動けずにいると、宮殿から1人の男がでてきた。立派な白ひげを伸ばし、真っ白な衣服に身をつつむその姿は、まるで神さまのようだ。
「ようこそ、幸界へ。」
優しい声で男が言った。
「あなた方は、4人で力を合わせ、各人の個性を十分に発揮し、また尊重し、数々の困難に打ち勝ち、そしてここまでやってくることができました。その栄誉を称え、これを賞する。」
男は俺たち1人1人に賞状のようなものを渡した。俺たちはわけの分からないまま受け取った。
「あの、あなたは・・・?」
俺は恐る恐る聞いた。
「私はこの幸界の住人です。住人と言っても
私1人ですけどね。」
男は微笑んだ。そして続けた。
「あなた方は本当によく頑張った。この幸界に辿り着いたのはあなた方だけですよ。」
「!!」
俺たちは顔を見合わせた。それって、俺たちが1位ってことか?
「じゃあ、願いを叶えてもらえるんですか!?」
華日の目が輝く。
「・・・その必要はあるかね?」
男が静かに言った。
「あなた方はこの幸界に1番に辿り着きました。それは、あなた方が仲間を信じる力が誰よりも強かったからです。」
男は続けた。
「この冬烈火、もしあなた方が1人で挑むことになっていたとしたら、ここまで辿り着けていたと思いますか?」
俺たちは4人揃って首を振った。
「あなた方はこの冬烈火で仲間というものの大切さ、素晴らしさを改めて感じたでしょう。もうだめだと諦めかけたこともあったでしょう。しかし、仲間と一緒だったから、乗り越えて来れた。どんなことでも諦めず、仲間を信じていれば、必ず道は開けるのです。あなた方の願いを叶える必要は無いはずです。もう、それだけ素晴らしい仲間を持っているのですからね。」
「それに、そもそも私に願いを叶える力なんてありませんしね。」
俺たちは顔を見合わせた。そして、男は笑いだした。
俺たちは、今一度仲間たちの顔を見つめ合った。そして、これまでにないくらい笑った。誰1人として、男を恨む者はいなかった。
~完~
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