酔いどれ烏の夢物語

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酔いどれ烏の夢物語 芝桜

2023-05-16 19:12:53 | ポエム

   

     芝桜

窓から差し込む暖かな日差しに

ウトウトとしてしまった時

ふと懐かしい情景が蘇った

辺り一面のピンク色の芝桜

その中を二人で歩いた思い出

 

とても懐かしい子供の頃の記憶

二人ともはしゃいでいたっけ

今でも君には笑顔が似合う

僕がどんなに大人ぶっても

君の笑顔にはつられて笑う

 

いつか時間が出来たら行ってみよう

あの公園に君と二人で

今でもまだあの光景は忘れない

僕の後をついて歩く君の姿

振り返るとそこに笑顔の君が居る


酔いどれ烏の夢物語 終焉

2023-05-15 20:26:24 | ポエム

       

        終焉

もしも僕の人生が森の中を流れる川だとしたら

君は気まぐれな風に飛ばされてきた木葉だろうか

ゆっくりと大海に向って流れる川の上に

ひらりと舞い落ちてくるくると回りながら浮かぶ

何の変哲もない僕の人生に一片の小さな希望

それとも木々の隙間から時おり差し込む陽光

君はモノクロームの僕の心に色をつけてくれた

 

もしも君に出逢わなければどんな風に生きたかな

ただ毎日を同じように繰り返すつまらない人生

さしたる夢もなくただ凡庸に終焉を目指す

何かを求めることもなく何も失うこともない

そんな僕に君がくれた太陽のような眩しさ

本当は解っていた僕は心に蓋をしてしまった

あの日傷つくのが怖くて自分に嘘をついていた

 

もしも君を知らなければ僕は心を閉ざしたまま

感情すらも表せずに人形のように生きていた

君と出逢えてから季節さえも愛おしい

春の喜び、夏の暑さ、深け行く秋、冬の静寂

何もかも君が思い出させてくれたから

歩いて行ける君となら自分自身を認めよう

いつかたどり着く終焉まで君と手を繋いで行こう

 

 

 

 

 


酔いどれ烏の夢物語 休日

2023-05-14 15:53:26 | ポエム

    

     休日

昨日までの寒さが嘘のように

唐突に夏がやって来た

じりじりと肌を焼く太陽

良い天気だからと遠出をした

信号待ちの僕の腿に

容赦なく太陽は照りつける

走っている間は気持ち良いのだが

止まると途端に汗が噴き出る

それでも乗りたくなるのは

バイクが好きだからかな

 

普段はあまり遠出をしない

と言うより通勤手段だ

それでも休みの日には

やはり何処かへ行きたくなる

近場の温泉地とか

山に囲まれた湖なんか

僕は年中無休の仕事場だから

平日の休みが多くて助かる

渋滞だけはごめん被る

次の休みはどこに行こうか

 


酔いどれ烏の夢物語 君の居ない夏

2023-05-14 15:18:10 | ポエム

    

   君の居ない夏

何気なく見渡した風景の空の彼方

雲のもっとその上に君は居た

あの日別れたままの少し寂しそうな笑顔

この目に焼き付いて離れない君の顔

多分このままずっと僕の中で

生き続けるのだろう

 

気まぐれに吹く風は潮の香がする

水平線の向こうで君が笑う

僕の心に沢山の思い出と後悔を残して

君は独り旅立ったあの日を忘れない

君と二人で過ごした日々は

僕と共に生きて行く

 

春の嵐が通り過ぎて初夏が訪れた

一緒に苦しみを背負いたかった

君のか細い手を離したくは無かった

君を独りで逝かせたく無かった

最後まで君は笑っていた

僕に生きろと言い残して

 

暑い夏がやって来たとても暑い夏

何事も無かったように時は流れ

悲しみは薄らいでいくのだろうか

君の居ない人生を生きて行く

寂しくても頑張ってみるよ

いつか君に逢える時まで

 

 

 

 

 

 

 


酔いどれ烏の夢物語 僕と悪魔

2023-05-13 11:49:56 | ポエム

      

     僕と悪魔

昼下がりの公園 何時もの風景

休日の何気ない日常 そこにいる人々

楽しそうな家族連れ 微笑ましい姿

けれどその笑顔の向こうには

いくつもの苦しみと悲しみがあったのだろう

皆それを乗り越えて 逞しく生きる

かつて僕は僕のすべてを拒絶した

悲しみ 辛さ 息苦しさすべてを

目を閉じて 耳を塞いで 絶望を受け入れた

果てに望んだのは 静かな暗闇

時が止まり 何もない空間の彷徨い人

 

救われたかった 逃れたかった

そんな愚かな僕の前に 君が現れた

僕が僕を必要としない そんな世界

そこに君が現れてこう言った

辛かったんだね 苦しかったんだね君は

今はただ眠るといい 何も考えず

君の身体と心が休息をとれるよう

目を閉じ 今は 眠るといいんだ

何かが消え 僕の中で 何かが弾け飛んだ

あの夏の日の午後 光の中で

僕の心が 解放されていくそんな気がした

 

目を覚ましたのは 優しい風の中

いい香りがしていた ここはどこだろう

天国というところか? そんな筈はない

僕は自ら死を望んだ愚か者だ

そんな僕が天国になど行けるはずもない

ふと見渡すとそこに 笑顔の君が居た

やあ気が付いた?ゆっくり眠れたかい

君は 誰? 僕は彼に尋ねた

君にとっては 天使かな それとも悪魔かな

僕は君を助け 生かそうとする奴

そうかやはり 簡単には救われないのか

 

彼は何も訊かず ただこう言った

一緒に生きてみないか これからの人生

僕が君の手を引くから 新しい人生を

新しい人生なんてあるのだろうか

君は本当にこんな僕と一緒に生きてくれるの

ぐっすり眠れたなら 次は食べる事

なぜか心がとても軽くなった気がする

僕は 彼に 甘えてばかりだ

それすらも 容認して 受け入れてくれる

悪魔なら良かった 僕の魂ごと

喰らいつくす 悪魔だったら良かったのに

 

彼の事は知っていた 有名だったから

見た目も性格も良く 人気があった

誰からも信頼される そんな彼がなぜ

日陰に咲く雑草のような僕を

こうして助けて守ってくれるのか解らない

でも訊くのは怖かった 本当のことを

そして僕は名前以外をすべて捨てた

新しい 人生を 生きると決めた

彼は僕に 嘘を言わない だから彼を信じる

たとえ彼が悪魔でも 信徒になろう

こうして今 彼が僕を愛してくれるなら