まさかの笠間生活

三鷹に住む私が100㎞離れた笠間に月の半分住んで気づいた。平凡なはずの笠間は「まさか」が一杯の街。

まさかの話9>生物多様性を回復し「田んぼの生き物調査」する地域

2017-07-05 20:20:35 | まさかの笠間生活

私が勝手に「笠間アルプス」と呼ぶつくば山塊の支脈に囲まれた盆地。
笠間市・岩間上郷地区は山の御影石で磨かれた水が流れ、田圃を潤す。

ここ農地は全国と同じように、黒変米を作るカメムシ駆除の殺虫剤漬
だった。わずかな黒変米のために地域全体の生物を駆除してしまった。

(無農薬化のリーダー農家・生駒さん
この地の人たちは米栽培を、数十年かけて全面的に無農薬化した。

結果として、絶えていたホタル生育が実現できた。
黒変米対策は光学処理選別する機械を自力導入して対策している。

最近、この地区のコメのブランド化に寄与する動きが出てきた。
江戸時代からの製法を守る市内の酒蔵(磯蔵酒造)が参加して
「酒米オーナー制度」という市民の理解を奨める運動が始まった。

年間1万円の会費で「田植え」「田んぼの生き物調査」「稲刈り」
「酒の仕込み」を体験する「市民参加の酒米生産プロセス体験」の
活動である。

私もそれに参加している。最後に4合瓶新酒6本手に入るのが嬉しい。

7月2日(日)はその「田んぼの生き物調査」体験イベントだった。

田植えした酒米田んぼの近くのビオトープと水路、田んぼで各種の
水生生物を捕まえて「こんなに居る」というのを証明する活動。

今日小学校分校跡のグランドには、会員の家族連れが100人集まって
いた。なんと大人一人での参加は私一人であるらしい。
どうもこれは「小学校低学年児童家族の遊び」になっている。
 

(主催者であるコメ農家生駒祐一郎さんの趣旨説明が始まる)
無農薬化した農業により「生物多様性が確保されつつあり、地域
の環境が良くなってる。その確認イベントなのだ。

農水省やら、環境保護のNPOとの連携でイベントが実行される。

生駒さんの家の前の田んぼに移動して、専門家の林鷹央先生が、
「田んぼの周りで生物の捕まえ方」の説明をする。

子どもにゆっくり諄々と説く。
「小さい虫から見ると君は巨大なブロントザウルスより大きな
怪物なんだ。草を踏むと靴の下に何百匹の生物が踏みつぶされ
る。丁寧にあるくのだ」

何と、6,7歳の子どもたちがよく聞いている。
そしていよいよあぜ道にしゃがんで田んぼの中の生物を捕る。

子どもたちの体は柔らかく、機敏だ。
それに、水中生物の動きを見つける集中力がすごい。

子どもでもこういう動物的な捕獲能力は備わっているのかな。
大人よりも子供たちの捕獲がすごく進む。

林先生がどんどん、虫や魚の名前を上げ、カエルの声がすると
「絶滅危惧種の”トウキョウダルマガエル”の声がするな」など
と励ます。

先生は,畦に咲く草花にも注目を促す。

「シロツメクサの花が咲いている。これは江戸時代の鎖国の頃、
唯一オランダから入ってきて日本中に広まったクローバー」
「小さい白い花は『トキワハゼ』。日本中にある花で4-11月
まで咲くのでそう呼ばれる」
などと勉強になる。

水路ではアメリカザリガニを捕った人が出た。
配られたテキストによれば、この生物は外来種なので駆除対象。あとで
水路に戻さず処分するのだが、生物環境調査シート上は「減点」にする。

私は初めてで服装も不十分で捕魚網も水槽も持参せずで借りた。
実際の成果は、9点程度。子どもたちは100点ではなかろうか。

それにしてもアマガエル、アメンボの数が半端でない。1枚の田んぼで
万を超えるカエルがいる感じだ。それだけ餌の昆虫がいると言える。
もの凄い生物の数であり量だ。

環境シートのテキストには42種類を探せ、となっている。
種類もすごいのだ。

こんなに生物がいるのか、というのが実感。 

 小一時間虫取りをして、分校の教室に戻る。
林先生の解説と、個別判定(?)の時間だ。
 

私は暑さに負け、教室を出て木陰で休んだので個別判定の
結果を見ていないが、長時間かかった様だ。

100人で捕まえた生物は何種類あったのだろうか。
昨年の時より増えているのか、減っているのか。

 それにしても「生物多様性の確認」というテーマでこれだけの人が
参加するというのは大したもの。

 それには、こうして家の前の田んぼを「調査用に提供する」「ビオ
トープを作る」という取組をしている生駒さんたちの努力である。

 米をどんどん作って稼ぐ農業、という枠を超えて生物多様性の地域
環境を作る、という経営目標を掲げているのかもしれない。

 「まさか」こんな面白い体験に参加ができるとは。と思いながらお米
、野菜のおかずで美味しいカレーライスをお昼に頂いた。

 なお、ネットで調べてみたが、この活動の成果として「確認された
生物の種類数」は公表されていない。 
国や関連団体への報告にはあるのかもしれないが、参加者がわかる
ように一般向けに報告があると良い。

6月27日に行われた宮城県JAみどりの
「平成29年度田尻田んぼの生きもの調査」
では、下記のような報告がWeb上に記載されている。
=====
生きものをリストアップしていきました。

結果として久保純雄さんの圃場では32種(うち外来種3種)、
山村恭治さんの圃場は28種(同3種)、
中澤繁信さんの圃場(ここは無農薬田だそうです)は37種(うち2種)
が確認され、3か所合計としては全体で48種となりました。

また、中澤さんの圃場にはキクモという雑草が確認されましたが、
これはいわゆる「金魚藻」と呼ばれ観賞魚用に見かけたことがある有名な
草ですが、いまや多くの地区でレッドリスト
(絶滅危惧種や準絶滅危惧種)に指定されているのだそうです。
=====

こんなレポートを発信して欲しいと思う。
農業公社やそのスタッフの役割はイベントの準備作業や片づけなどの
協力だけでなく、こうしたツボを押さえる部分で発揮してもらいたい。
そうすると、農家さんも誇りになり次回の活動につながるのではないか。

今回は大変面白くお世話になった。来年も参加して100点を目指す。  


最新の画像もっと見る

コメントを投稿