『半落ち』横山秀夫著

アルツハイマーを患った妻を殺した現職警察官が自首した。
動機、経過は素直に自白するものの
殺害から自首までの空白の2日間の事だけは
頑なに話そうとしない、
完全に落ちない、そこにある事情は…

と言った話です。
以下ネタバレあり。





















病気の妻がかわいそうで
殺してくれと頼むので
殺してしまった警察官の話。
息子も白血病で亡くしており
家族と呼べるのは妻の姉のみ。
罪は認めているものの
殺害から自首するまで2日かかっており
その2日間の事は絶対に話さない。
その事で警察、検事、記者、弁護士、裁判官、刑務官が
それぞれの立場でいろいろと振り回される。

警察の内部の対立や記者とのやりとりを見ていて
ん？これ64に似てるな…と思ったら
同じ作者さんでしたｗ
ミステリーというよりは人間ドラマですね。
到底人を殺すような男ではない梶が自首する事で
話が始まるのですが
空白の2日間の間にどうも新宿歌舞伎町の方に行った形跡が。
それによってあらぬ想像をした面々が
警察の面目を保つために保身に走ったり
真実を知りたがったり
スクープを狙ったり
いろいろ考えて悶々としたりしてます。

まぁ、事件を起こし、刑務所に入るまでの流れで
それぞれ立場の違う登場人物によって
梶の事が語られるのですが
読み終わってみると別にこの章はなくてもいいよね
みたいなのもあるような気がｗ

ラストの章で真相が分かるんですが
電車で読んでて『あ、これ泣くわ』と思って
途中で読むのやめましたｗ
家で読んだら案の定泣いたわｗｗｗ

ネタバレですが
結局のところ梶は息子の事がきっかけで骨髄移植のドナー登録をしており
骨髄移植のドナー登録ができる年齢の間は生きようと決めていたようです。
骨髄移植で救った青年が新宿で働いているので顔を見に行ったという訳です。
なら多分奥さんもドナー登録をしていると推察しますが
それを理由になんとか頑張って生きなさいよ、と言う訳にはいかなかったのでしょうかね。
きれい事ですけど。それだと話にならんけど。

盛り上がりには欠けますが
渋い味わいがあります。
でも個人的には64の方が好きかなｗ
星は3.5で。