想定は現実へ

先日、交通機関は麻痺し、通信回線も切断され、家族の安否確認が取れないという状況を想定して、溜池山王駅から自宅のある新川崎まで歩いてみたのだが、それが現実の出来事となった。

仕事をしていると職場全体が揺れ始めた。
ユラユラからグラグラとなり、ガタガタと更に激く揺れ、誰かのデスクのフォトスタンドがパタリと倒れた。
3階のオフィスから階段で1階まで避難すると、目の前の大きなビルが左右に揺れている。

ケータイ電話も固定電話もつながり難かったが、何とか実家の父、娘2・3号と話をすることができ、女房と1号にはメールで安否確認を行なった。
オフィスに戻りパソコンで状況を確認すると仙台で震度７という激しい地震が発生し、津波が押し寄せていた。その地震が関東地方にも影響を及ぼし、JRはじめ首都圏の交通機関はほぼ壊滅状態となった。

ここで先日の経験が活きた。
まさかこんなに直ぐ現実になるとは思わなかったが、会社から自宅まで歩いて帰らなければならない状況になってしまった。
横浜まで向かう友人と2人で会社を出たのは午後7時も近かった。
歩道は自宅へ向かう人で溢れ、まるで「東京歩け歩け大会」というイベントでも開催されているかのようで、東京国際マラソンの参加者を優に超えている。

とにかく前へ前へと歩き続け、多摩川を越えると我が家も近い。
遠藤町の交差点で友人と別れた後、遅い夕食を摂ろうと思いコンビニに寄るも、弁当もおにぎりもパンもすべて空っぽで、スーパーもまったく同じ状況であり、牛丼屋も早い店じまいとなっていたが、JR鹿島田駅前の立喰い蕎麦屋で何とか空腹を満たすことができた。



自宅に戻ると家族が不安気な表情でTVのニュースを見ている。東北・北関東の地震による被害も相当なものだが、今回の地震で発生した津波の脅威は凄まじいものがある。
おやじは約4時間かけ何とか家に帰ることができたが、帰らぬ人となってしまった多くの被災者のご冥福を心からお祈りする。