ショートステイで発熱事件があってから夫と色々考えました。
兄は恐らく将来、施設で過ごす事になるだろう
それは、介護者である私達と歳が近いし
排泄介助が必要になったら自宅での介護は限界だろう
そう考えると、今利用している施設への入所は家族としては心配が多すぎる。
何処か他に信頼できる施設はないのだろうか?
しかし、いかんせん施設の数が少なすぎる。
介護保険の施設は沢山あるのに・・・
どうした物かと担当の相談支援専門員さんに相談しました。
「他のショートステイを探して見ましょう」と言って下さる。
そして後日「少し遠いですが見つかったので一緒に見学しませんか」と
お誘い頂き私が同行しました。
施設長さん自ら施設内を案内して下さって
生活介護(デイサービス)やショートステイ利用中に行う作業も見せてもらいました。
もちろん入所されている方も参加されていました。
機織りをする人・糸巻をする人
リサイクルの為の段ボールについているテープや紙を剥がす人
牛乳パックで紙すきをする為にパックを小さく契る人
色んな作業が沢山ありました。
一番驚いたのは絵を書いている人達がいた事です。
水彩画や油絵、ちぎり絵など色々な作品に取りかかっていました。
個展を開いたり売ったりするそうで、かなりの金額になるとの事。
施設にお金が入る訳ではなくて作家個人の収入だそうです。
絵の先生もボランティアで長く関わっておられると話していました。
どの作業も皆さん、楽しそうに参加されていました。
施設内の移動中、職員さんは皆ニコニコと「こんにちは」と挨拶してくださいますし
職員さんの声につられるように入所者や利用者の方達も
「こんにちは」と大きな声で挨拶をしてくれました。
職員さんの多くが重度の方の手を引いて
常に一緒に行動しておられましたがその姿には愛情を感じました。
見学を終え、談話室で施設長さんと3人でお話をした時の事ですが
相談支援専門員さんが「素晴らしい施設ですね、私が入りたいくらいです」と言われ
思わず「私もです」と言いました。
運営についての話も出て、施設長さんが厳しいと話され
相談支援専門員さんが「うちの施設も大変です。
上手に儲けてどんどん新しい施設を建てている所もありますけど、
私達のように馬鹿正直だと難しいですね」と話が盛り上がっていました。
なるほどね、介護施設もそうだけど
福祉心のある施設は運営が厳しい・・・悲しいけれどそれが現実です。
そして、兄はここのショートステイも利用する様になりました。
しかも2泊3日での利用ができました。もちろん特別扱いではありません。
兄はここのショートステイが一番好きでした。
少し高台にあって「今日は山に行くんか」と楽しそうでした。
兄の作業は糸巻です。帰宅すると「今日は仕事で疲れた」と言いながらも
嬉しそうでした。
施設の食事も大好きで「うまいよ~」と喜んでいました。
職員さんの配慮が家族としてはとても嬉しかったです。
映画鑑賞をするのでお迎えを1時間遅くしてもらってもいいですか?
そうすれば最後まで見てもらえるので、お兄さんの好きな寅さんだし・・・とか
今日は作業が長引いて、おやつの時間が遅くなって・・・と
おやつを袋に入れて持たせて下さったり
お出かけでカラオケにも連れて行ってもらいました。
兄にとっては初カラオケです。
あぁ兄が楽しんでいた思い出はつきません。
取り留めもなく思い出を書き連ねましたが
兄にも家族にとっても有難い施設でした。
福祉心のある施設は儲からない、これは障がい福祉も介護保険も同じです。
悲しい事です。