経営コンサルなんて役に立つんですか?! -経営現場の本当の話-

神戸の経営コンサルティングファーム代表である水野敦之が、生々しい経営の現場を語らせて頂きます。

会社における民主主義とは?(特別無料公開リニューアルシリーズ)  -必ず役立つ経営現場の本当の話(395)-

2020年08月20日 14時38分02秒 | 経営
書くと言いながら他に案件が出てきたので、保留になっていたこの問題について書かせて頂きます。
NPOの活動についてはどんどん話が進んできましたから、ご希望の方があれば、お金を頂かずに協力させて頂きます。

私が、まだ20代の頃ですが、会社での教育研修か何かでフリートークのような場面があって、ある先輩社員が「会社においてもちゃんと民主主義を実現しなければならない。」というような主旨の発言をしたことがありました。
私は、「会社で民主主義?」ととても違和感を覚えた記憶があります。

この先輩社員の発言は間違っています。
会社において、民主主義などあり得ないからです。
国家と株式会社ではその最も根本的な部分が全く違うのです。
国家や株式会社のことは、書き始めると憲法や会社法といった専門的な話になりますので、詳しくは書きませんが、会社の典型形態である株式会社については、少しだけ触れておかなければなりません。

株式会社は、株式を発行することにより存在します。
株式は、会社の「所有権」を分割したものです。
発行済み株式が100株あって、50株所有している方がいらっしゃったら、その方は、会社の2分の1を所有していることなります。
日本の場合は、株式会社のほとんどが中小企業なので、このことを勘違いされておられる方が多いです。
代表取締役や取締役は、会社の経営を株主から任された経営のプロフェッショナルです。
会社の所有者ではありません。
ただ、中小企業の場合は、代表取締役である社長が、ご本人やご家族の株式を合わせて、ほとんどの株式を所有しているので、会社の所有者として、自分自身や家族を取締役に選任しているのに過ぎません。

上場している大企業は、サラリーマンが経営陣に入ることがほとんどですが、それは、優秀で競争に勝ち抜いてきたサラリーマンを株主が株主総会で取締役に選任しているのです。
ただ、私がかつて社長を務めた会社のように、上場していなくても、オーナーが自分以外の人間を社長にする場合もあります。
親族以外を社長にするのは、とても稀なことですが、何らかの意図で、たまにそのようなこともあります。

さて、会社の所有者である株主は、株式を購入することにより多額のお金を出資します。
株主によって選任された経営者である取締役は、会社法などにより、かなり重い経済的、法的な責任が課されています。
大変なリスクを背負っているのです。

日本が政治形態において、民主主義を採用しているのは、国のあり方そのものが国民の生命、財産、人生に多大な影響を与える上に、生まれる国を選ぶことが出来なので、そのようなリスクを背負う人、すなわち国民に、国の政治のあり方を決めさせようと考えているからです。
一番リスクを負う人が、その組織の根本的な部分の決定権を持つべきだという考え方です。

ところが、会社において最もリスクを背負っているのは、株主であり、次は経営を任された取締役、次は取締役の監督義務がある監査役です。
国であれば、国民にあたる従業員には、最もリスクがありません。
まして、働く会社を自由に選ぶ権利があります。
生まれる国が選べない、国民の場合とは本質的な部分が全く異なります。

確かに、より従業員の言葉に耳を傾けて、より働きやすい環境を作ることは会社経営において極めて重要なことです。
結局、仕事は「人」がやるものだからです。
しかし、それと民主主義とはつながりません。
会社経営の意思決定に、従業員が関与するというのは、仕組み的にあり得ないからです。
リスクの最も少ない人間が、最もリスクを持つ人間の財産に関する決定権を持つなんて話は世の中にはないのです。
このように、従業員の意見をくみ上げることと、意思決定に関与することは、全く違う話なのです。

会社役員は偉いわけではありませんし、人格者が会社役員になるわけではありません。
単に、彼らは大きなリスクを背負っている見返りとして、従業員よりも高い給料をもらっているのです。
よく、同族会社で、何も仕事をしない社長の弟の専務が従業員から批判されることがあります。
しかし、会社経営の実質的な話は別として、株主がそんな「ごくつぶし」に給料を払っても良いと決定しているのですから、本来、文句を言われる筋合いの話ではないのです。
そのような会社が良い会社かどうかの問題は別次元の話です。
そして、従業員は、雇用契約で法的にかなり保護されていますが、取締役は委任契約なので、憲法や法律で労働者としての保護は受けません。

ただ、今の時代、そのことを正面から従業員にぶつけるとパワハラだのなんだのという話になります。

よって、今の時代に合わせた、経営者が従業員の良い意見はどんどん採用していって、採用しない場合はその理由を明確に話して理解をしてもらうということをしなければなりません。
12年前の記事では会社においては民主主義などありゃしないという説明だけをさせて頂きました。
それだけでは、今は通用しません。

会社において民主主義など構造的に有り得ませんが、従業員の方々が民主主義のようなものがある風通しの良い会社だと感じてもらう必要はあります。

経営環境が激変する中で、経営者は人という問題がどんどんややこしくなっていくのを正面から受け止めなければならない時代になったのです。

だからこそ、私個人は自分自身が働く場合も誰かに働いてもらう場合も業務委託契約を結ぶのです。
労働者の権利があまりにも強いので雇用はしないのですが、自分が働く場合も時間や場所が拘束される雇用関係は結びません。
労働者としての権利を私が持ったら、法的にあらゆることができますが、そもそも相手にお金がなければ、絵に書いた餅ですし、雇用関係でトラブルような経営者は関係を持ってはいけない相手なので、リスクヘッジとしてそもそも雇用関係を結ばないのです。

水野敦之 略歴

早稲田大学商学部卒

代表取締役 1社(現職)
非常勤取締役 8社(現職)
クリニック 事務長兼経営顧問(現職)
「神戸きしだクリニック」
法律事務所 事務長兼パラリーガルリーダー(元)※パラリーガルリーダーとは法律事務所における看護師長のような立場を言います。
「東京第一法律事務所」
飲食店 個人経営
「築地和光神戸元町店」

-主な経歴-

株式会社日本スタディ
経営管理室長

東京第一法律事務所
事務長兼パラリーガルリーダー

司法試験短答式合格

株式会社ダック(「ダック引越センター」現アートコーポレーション株式会社(「アート引越センター」)連結子会社アートバンライン株式会社)
取締役社長

ハンズオン(経営参加)に特化した経営コンサルタントとして起業

株式会社BCS(再生医療培養皮膚バイオベンチャー)
取締役管理本部長

レカム株式会社(JASDAQスタンダード上場企業)
常務執行役員 情報機器事業部本部長 営業統括

京都アイネット株式会社(インターネットプロバイダー)
取締役

関西ブロードバンド株式会社(インターネットプロバイダー IPO準備中)
取締役総合管理本部長

他数社の代表取締役を歴任後、現職。

飛び込み営業から新規事業立ち上げ、TVCM制作、IPO、上場企業の予算策定、IR、法務、人事、財務、社長まで極めて幅広い職務を経験。

2004年7月よりハンズオン(直接経営参加)に特化した経営コンサルタントとして独立。後に、経営母体を特定社会保険労務士 経営管理労務事務所に移行。

常勤の委任契約により数社の取締役を歴任後、現在は、人材紹介会社、資産運用会社、自動車販売大手企業、クレジットカード決済代行会社等の取締役、相談役を務め、ハンズオンによる実務も行っている。

また、代表取締役副社長として「渚プロポーザル株式会社」を共同経営し、築地和光の店舗展開事業を担っている。

さらに、神戸大学附属病院と連携している「神戸きしだクリニック」の事務長兼経営顧問に就任して、オンライン診療など、アフターコロナの新しい世界の新しい分野での経営にも携わっている。

-告知-

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MLLAコンサルティングファーム
私どもは、企業様にてハンズオンで実務を行う経営コンサルタントです。 
現在の非常に難しい経済状況に際して経営の舵取りをどのようにすべきかについて、座学ではなく営業戦略から経営管理まで幅広く現場の経営にも携わりながらコンサルティングさせて頂いております。また、講演も承っております。
神戸だけでなく全国どちらの地域でも対応させて頂いておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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なお、MLLAコンサルティングファームは、特定社会保険労務士 経営管理労務事務所(登録番号28080030号)の経営コンサルティング部門の名称です。
現在、経営管理労務事務所は大企業様から飲食店様に至るまで幅広い分野でのハンズオン(直接経営参加)による経営コンサルティングに特化して業務を行っております。

and
渚プロポーザル株式会社
築地和光は、これまで、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等のマスコミに何十回と取り上げられながらも、誰も真似することが出来なかった唯一無二の飲食店です。
丹羽徳多郎が創出した築地和光の飲食店経営ノウハウを上場企業の役員経験者である水野敦之がビジネスモデルとして実用化しました。
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丹羽と水野のコラボにより実現した究極の飲食店経営ノウハウを今、皆さまにお届け致します。


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