旅先で迎える
気持ち良い 朝の目覚め
トントントン コツコツコツ
宿泊している宿の外から
どうやら隣の家のよう
トタン屋根を 叩いているような
軽く リズミカルな音で トントントン
時々外す 間抜けなテンポが面白い
トントントン
小さな音が 次第に近づいてくる
どうにも気になる 窓の外
そ~っと覗くと 目の前に
ちょこんと 小さなお客様
トタン屋根を 蹴って歩いて トントントン
なぁんだ 音の主は 君だったのね
朝いちばんの ごあいさつ
交わした相手は 羽根の生えた 可愛いお客様
もしかしたら
空からの お客様かもしれないね
* * *
源泉かけ流しの温泉宿
早朝、湯の華小路の散歩から戻って、この日2度目の入浴(笑)
入り口には「男湯」となっているのですが、
女将さんが鍵をかけてどうぞと言ってくださっていたので、
大きな男湯の方に・・・
滞在中は合わせて5回ほど入ったのですが、
結局「女湯」には一度も入りませんでした^^;
そんな至福の時を過ごしたのですが、
それまでがちょっと大変だったのです。
今回は前日になってのお宿探し。
正直どこも空いているところがなくて困りました。
何しろシルバーウィーク真っ最中でしたから。
何でそんなギリギリに?って思われますよね。
それには訳がありまして・・・
実は、敬老の日の親孝行とお墓参り目的で実家に向かう途中、
電車の中で友人のお父様が亡くなられたと連絡が入りました。
友人の住んでいる場所は、ペリーが黒船でやってきた事で有名なあの下田です。
実家からなら距離的には日帰りもできるのですが、
何しろ伊豆急行は電車の本数が少ないのです。
せっかく行くのに、慌ただしくお線香だけでさよならなんて悲し過ぎます。
お通夜の時にゆっくりお話しもしたいし・・・
取りあえず泊まれるかどうか調べてみようと、
インターネットでいろいろな旅行会社で検索しましたが全て「みつかりません」の表示。
どこも満室です。
ところが、ネット社会の盲点とでも言いましょうか。
半ば諦めていたのですが、
ダメ元でネット申し込みではなく電話で直接探したら、素泊まりですがあったのです。
路地を入ったところにある小さなお宿。
やっととれたお宿の名前は「さくらや」さん。
老夫婦で細々営んでいる様子でした。
でも、それがとてもホッとできるのです。
不思議な何かを感じました。
ちょっとここで、
このような機会をくださった(私は、友人のお父様が力を貸してくださったような気がするのです)故人について少し触れたいと思います。
享年87歳だったそうです。
とても温厚で、誰からも好かれる方でした。
そしてとてもマメな方でもありました。
私は数回しかお会いしたことがなかったのですが、
初対面の時から違和感なく楽しいおしゃべりで弾んだものです。
友人の話では、
その日、普通に車を運転して買い物にも行き、いつものように家族で夕食を済ませての入浴。
その入浴が少し長いなぁと思って、声をかけたところ返事がなく・・・
浴槽の中で意識が無くなっていたそうです。
すぐに救急車を呼び・・・
それっきりだったのだそうです。
状況から判断して、ご本人はほとんど苦しむ事がなかったそうです。
(お医者さまからの説明)
これこそ正に、天寿を全うしての大往生と言うのでしょう。
その人生の閉じ方は、さすがだと誰もが納得できるものでした。
お通夜の席に流れる空気は、不思議なくらい穏やかでした。
決して派手なものでは無いのですが、
とても清らかな気持ちになれたことに感謝でした。
― 合掌 ―
ということで、
今回の旅では、日々の生き方などをちょっと考えながら、
静かに自分をみつめるのに良い機会を与えていただきました。
そういう意味では、
泊まったお宿もぴったりだったような気がします。
え?
何がピッタリなのって?
では、そろそろ説明いたしましょう。
お通夜の後に移動してきたタクシーから降りた時、
玄関横の「さくらや」と書かれた外灯の灯りは、
初めて訪ねた私に「おかえり」と迎えてくれているようでした。
ホッとした瞬間です。
ガラガラっと、開ける瞬間が懐かしいガラスの引き戸。
玄関を入るとすぐにあるフロント。
と言ってもそこに常駐しているわけではなく、
たいていは、奥で何か仕事をしてるんですよね。
大声で呼ぶと、
奥からぎこちなさそうな、
だけど人の良さそうなご主人が出ていらっしゃいます(笑)
お客さん(私)を確認すると、
「ちょっとお待ちください」と言って、また奥へ入って行きます。
少し待っていると・・・
今度はお母さんみたいにやさしそうな女将さんが、
にこにこしながら「いらっしゃいませ、よくおいでくださいましたね~。」
「こちらへどうぞ」と言ってお部屋に案内してくれました。
この流れは、懐かしい昔の小さな家族旅館でよく見る光景ではないですか。
いえ、旅館と言うよりお宿ですね・・・。
看板にも「お宿」ってなっていましたもの。
玄関入ってすぐのロビーです。
チラッとしか写っていませんが、
きっと昔お子さんが習っていたのでしょう、
アップライトのピアノが置いてありました。
この階段を上った先に「男湯」があります。
「女湯」はさほど広くないので、
中から鍵をかけて「男湯」の方にゆっくりどうぞと言われました。
完全に貸し切り風呂です(^.^)
思いもよらぬ、個室風呂!
もう私の脳裏には、お風呂のことしかありませんでした(笑)
通されたお部屋は、ごく普通の和室。
もうお布団も敷かれていました。
テーブルの向うに、小さな鏡台がありました。
そうそう、和室にはこれです。
湯上りに鏡台のカバーをめくってその前に座った瞬間。
思わず「はぁ~、いいお湯だった」とため息が出るのですよ。
これがすっごくいいんだなぁ・・・。
な~んてことが瞬時に頭の中を駆け巡りました(笑)
お風呂の前に、もう一つ。
テーブルの上に置かれた宿帳・・・?
到着早々フロントで書くのではなくて、
お部屋で書くのも残された昭和の日本だなぁ~って感じ。
(高級旅館は今でもそうかもしれないけど、高すぎて泊まれないからわかりません(笑))
お茶?
そんなの飲んでるどころではありませんよ。
お風呂ですっ!
うふふ、ここには私一人の貸し切り風呂です。
お湯の色は透明なのですが、どこか奥深さを感じます。
これが当時吉田松陰が浸かっていたのと同じ泉質の温泉なんですね。
この深みのある透明色はそんな深い歴史の色かも・・・な~んちゃって。
お湯が流れています。
かけ流しの温泉って、いいですね~。
もったいないくらい、常にお湯が湯船の淵から流れていきます。
常に・・・、エンドレスです。
そして、ここには誰もいません。
静かにお湯の流れる様子を見ながら入るお風呂。
1日をふり返り、いろんな事を瞑想しながら・・・
こんなに贅沢なことはありません。
これもみんな、
友人のお父さまが引き合わせてくださったのだと思いました。
そんな感謝の気持ちを抱きながら、その夜に入ったお風呂は3回。
お布団に入ったらもう何も考える間もなく即!夢の国でした(笑)
そして翌朝、
目覚めてから先ず温泉に浸かり、お散歩に出かけたわけです。
戻ってからもう一度入り、
さすがにもう帰らなくては・・・
本数の少ない伊豆急行の時刻表を見ると、
ゆっくり歩いて行っても運よく「リゾート21」に乗れそうです。
この車両は数十年前に子供たちと乗った思い出の電車です。
この「リゾート21」は、普通の車両とはちょっと違うのです。
でもそれは・・・・
また次回ですね。
今日も長くなってしまいました。
ありがとうございます。
― 25日のToday's sky ―
2015.9.25 朝 @つくば市
「 柿の実も色づく季節となりました 」
― Today's sky ―
2015.9.26 夜 @かすみがうら市
「 明日は十五夜 」
ご訪問ありがとうございます。
ポチポチっと応援していただけると励みになって嬉しいです。
更に左上のおきてがみも残していただけたら、
もっと嬉しくなっちゃって後ほどお伺いいたします。
ポチポチっと応援していただけると励みになって嬉しいです。
更に左上のおきてがみも残していただけたら、
もっと嬉しくなっちゃって後ほどお伺いいたします。
拝見していて何故かうるるとしてしまいました、何故かと言うと私も実父と義母をお風呂で亡くしていますので
実父は旅先で義母は自宅のお風呂で凄い義母でした尊敬していました3年前でした
蓮台寺温泉1~3今朝はゆっくりと拝見させて頂きましたどの章も素敵ですね
流石夏雪草さんの詩と写真です芙蓉の花が素敵映っていますね大好きなんです芙蓉
一つご報告させて頂きます、私のブログで先日アップした黄色の彼岸花は鍾馗水仙でした
訂正してお詫び申し上げます、昨日行って確認してきました
お友達の御父上様のお導きですね、
お宿の様子の暖かさが伝わってきます。
文章もお上手だから読み進んでいくのが
楽しみでした。
2~3日滞在したい思いです。
MOTOMMZさんにとって大切な方々の最期もそうでしたか。
3年前ではまだついこの前・・・ですね。
悲しい思い出を呼び起こしてしまって、ごめんなさい。
ある人のお話しでは、高齢になってお風呂の中で生涯を閉じられるのって大往生なんだそうですよ。
お父さまやお義母さまは、やはり尊敬されるだけの方に相応しい最期だったのですね。
安らかな眠りをお祈りいたします。
蓮台寺温泉のお話し、長くてすみません^^;
全部読んでくださって、嬉しいです。
芙蓉のお花も良かったぁ~。
あら、あれは水仙だったのですか?
まぁ、どう見ても彼岸花でしたよねぇ(笑)
流石です、確認されたのですね。
訂正してもらえて、お花も安心して喜んでいますね。
いつも嬉しいコメントをありがとうございます。
覚えておこう。
吉田松陰と同じ泉質の温泉に浸かってきたのですか。
いい思い出になりましたね~。
お友達のお父様が そういうリラックスタイムをくれたのだと思います。
お風呂まで カメラを持って行かれたのですか?
さすがです。
写真に湯気が写ってないのも さすがです。
人生いつも旅の途中。私のブログのタイトルにもなりました。
人の命には終わりがある。そしてそれをまた人との出会いの場にもできる。
あなたな旅はそんなことを教えてくれました。
なかなか見つけられない宿です。出来れば私もそんな宿に泊まってみたい。
寅さんの世界。でも寅さんの宿より大変美しい宿でしたね。
今日も優しい気持ちをありがとうございました。
宿をとるのに必死でした(笑)
今どき電話予約というのは盲点でしたね。
お風呂の写真、
実を言いますと、
湯気も写ってしまって、
何枚も撮ったのですよ。
いつもありがとうございます。
人生いつも旅の途中。
ほんと、良い言葉だと思います。
何がきっかけになるかわからないものですね。
設備が整っていなくても、満足できるお宿。
あるものですね。
寅さん、懐かしい・・・・
ほんとまるで寅さんの世界だったかもしれません。
いつもありがとうございます。
ごめんなさい、お返事が抜けてしまっていました。
なるべく簡潔にと思うのですが、
ついつい長文になってしまって、読むのが大変になってしまいましたね。
最期まで読んでくださり、ありがとうございました。
私も久々に良い旅でした。
日本の良さを感じましたね。
私ももう少し滞在したかったです。
いつもありがとうございます。