先日、実験的な実験の授業を行なってみました。
対象は、中1。教科は理科です。
学習課題は、「白い粉を区別せよ」です。
A、B、Cと記号だけ記された白い粉が3種類用意されていて、子どもたちは、これらの正体を知らされません。
そして、教師から、これらは砂糖または食塩またはデンプンであると知らされます。
どうやったら区別できるでしょうか?というものです。
昔からある題材なので、「あー何か昔やったわ」と思い出してくださる読者の方も多いのでは。
従来の自分の授業方式は、こうです。
実験の目的や手順、結果や考察を記す欄が印刷された、ワークシートを用意します。
このワークシートには、できるだけ教科書通りに手順を記すように努めます。
実験をやった後、復習として教科書を読み返す生徒が、混乱しないようにするためです。
「じゃ、教科書を読みながらやらせれば良いじゃん?」と思われるかも知れませんが
教科書を出した状態で実験をさせると、教科書を汚損してしまう生徒が出るリスクが生じるので、私は避けます。
教科書の手順が結構な文章量なので、必然的に、私の作るワークシートも文章が多くなります。
で、前から思っていたのですけど、最近の子どもは、文章を読む力が弱い。
自分は、その原因は娯楽の変化にあると考えています。
一昔前なら、遊ぶにも、文章読解が必要でした。
プラモデルを作るにも、組み立て説明書を読んで理解する必要があるし
テレビゲームをやるにも、ゲームソフトの説明書を読み、勇者などのキャラクターをどう動かすのか、ゲーム画面中の表示は何を意味するのかなどを知るところから始まりました。
ところが今の子どもたちは違います。
直感的に操作できるスマホが好まれ
ゲームも親切なチュートリアルが存在し、説明書なんて消え失せた。
もちろん、時代の変化の影響を受けない、読書好きな少年少女は高い文章読解力を持っていますが
平均値としては低下していると思います。
1学期、授業をしていて
「ワークシートを正しく読解できない子どもが結構いる」
という問題に私は直面しました。
しかしながら、先ほども述べたように、教科書準拠で作っているので、私のワークシートが特別難解というわけでは無いはずなのです。
どうしたものか。
そこで、私は、大胆なことをやってみました。
ワークシートに、手順を書かない。
ワークシートには、まず今日の目標を書きます。
「3種類の謎の粉の正体を突き止めよ」です。
口頭で、A、B、Cはそれぞれ異なる物質であり、砂糖または食塩またはデンプンである。実は全部デンプンでした、なんて事は無いと補足説明します。
また、食塩、砂糖、デンプンの特徴も、ワークシートに記します。
最後に、ヤケドなどの事故・ケガに関して、ワークシート・口頭両方を用いて注意喚起します。
そして、道具を与え
「さ、あとは好きにやりたまえ。ケガするなよ」
と丸投げ。
すると、すごいことが起きました。
私の従来のやり方だと
「ねー、どうやるの?」というとてもネガティブな発言が生徒から出ました。
つまり、手順の説明を聞けない・ワークシートを読めない(聞く気が無い、読む気が無い)生徒が、他力本願で実験を行なおうとするのです。
(困難な状況にある学校の先生からは、他力本願でも、やろうとするだけマシじゃないか、と言われるかも知れませんが)
ところが、この新方式では
「ねー、どうやるの?」がすごくポジティブな発言になったのです。
すなわち、班員とどうするべきかを話し合い、協力して行なおうという姿勢の生徒ばかりになりました。
もちろん、うまくいかない班も出てきますが、そこは机間指導の腕の見せ所です。
プラスチックの薬さじを与えたのですが、それを誤って溶かしてしまった生徒も出ました。
しかしその失敗は、かえって、次のプラスチックの性質の授業につなげる材料となりました。
つまり、今の子どもたちの特性を把握し
「最近の子どもたちは文章を読む力が弱く、いかん」
ではなく
「文章をあまり読まなくても、前向きに理科の授業に参加できるようになるにはどうしたらいいだろうか?」
という、発想の転換で、授業が良くなった気がします。
ただ、これはこれで問題はやはり残ります。
まず、文章読解力が低いと、入試で困ります。
ですから、この新方式と、従来方式を混ぜ合わせて今後は授業を展開していこうと思います。
また、この子らの今後の人生を考えると、追々社会から要求される文章読解力は、昔とそう変わらないでしょう。
どこかの工場に就職し、上司から「このマニュアル通りにやれば大丈夫だから」と言われ
「マニュアルが読めません」では上司はぶち切れること間違いなしです。
英語の教科化とかプログラミング教育とかよりも、国語教育を強化した方が良いんじゃ無いですかね?
対象は、中1。教科は理科です。
学習課題は、「白い粉を区別せよ」です。
A、B、Cと記号だけ記された白い粉が3種類用意されていて、子どもたちは、これらの正体を知らされません。
そして、教師から、これらは砂糖または食塩またはデンプンであると知らされます。
どうやったら区別できるでしょうか?というものです。
昔からある題材なので、「あー何か昔やったわ」と思い出してくださる読者の方も多いのでは。
従来の自分の授業方式は、こうです。
実験の目的や手順、結果や考察を記す欄が印刷された、ワークシートを用意します。
このワークシートには、できるだけ教科書通りに手順を記すように努めます。
実験をやった後、復習として教科書を読み返す生徒が、混乱しないようにするためです。
「じゃ、教科書を読みながらやらせれば良いじゃん?」と思われるかも知れませんが
教科書を出した状態で実験をさせると、教科書を汚損してしまう生徒が出るリスクが生じるので、私は避けます。
教科書の手順が結構な文章量なので、必然的に、私の作るワークシートも文章が多くなります。
で、前から思っていたのですけど、最近の子どもは、文章を読む力が弱い。
自分は、その原因は娯楽の変化にあると考えています。
一昔前なら、遊ぶにも、文章読解が必要でした。
プラモデルを作るにも、組み立て説明書を読んで理解する必要があるし
テレビゲームをやるにも、ゲームソフトの説明書を読み、勇者などのキャラクターをどう動かすのか、ゲーム画面中の表示は何を意味するのかなどを知るところから始まりました。
ところが今の子どもたちは違います。
直感的に操作できるスマホが好まれ
ゲームも親切なチュートリアルが存在し、説明書なんて消え失せた。
もちろん、時代の変化の影響を受けない、読書好きな少年少女は高い文章読解力を持っていますが
平均値としては低下していると思います。
1学期、授業をしていて
「ワークシートを正しく読解できない子どもが結構いる」
という問題に私は直面しました。
しかしながら、先ほども述べたように、教科書準拠で作っているので、私のワークシートが特別難解というわけでは無いはずなのです。
どうしたものか。
そこで、私は、大胆なことをやってみました。
ワークシートに、手順を書かない。
ワークシートには、まず今日の目標を書きます。
「3種類の謎の粉の正体を突き止めよ」です。
口頭で、A、B、Cはそれぞれ異なる物質であり、砂糖または食塩またはデンプンである。実は全部デンプンでした、なんて事は無いと補足説明します。
また、食塩、砂糖、デンプンの特徴も、ワークシートに記します。
最後に、ヤケドなどの事故・ケガに関して、ワークシート・口頭両方を用いて注意喚起します。
そして、道具を与え
「さ、あとは好きにやりたまえ。ケガするなよ」
と丸投げ。
すると、すごいことが起きました。
私の従来のやり方だと
「ねー、どうやるの?」というとてもネガティブな発言が生徒から出ました。
つまり、手順の説明を聞けない・ワークシートを読めない(聞く気が無い、読む気が無い)生徒が、他力本願で実験を行なおうとするのです。
(困難な状況にある学校の先生からは、他力本願でも、やろうとするだけマシじゃないか、と言われるかも知れませんが)
ところが、この新方式では
「ねー、どうやるの?」がすごくポジティブな発言になったのです。
すなわち、班員とどうするべきかを話し合い、協力して行なおうという姿勢の生徒ばかりになりました。
もちろん、うまくいかない班も出てきますが、そこは机間指導の腕の見せ所です。
プラスチックの薬さじを与えたのですが、それを誤って溶かしてしまった生徒も出ました。
しかしその失敗は、かえって、次のプラスチックの性質の授業につなげる材料となりました。
つまり、今の子どもたちの特性を把握し
「最近の子どもたちは文章を読む力が弱く、いかん」
ではなく
「文章をあまり読まなくても、前向きに理科の授業に参加できるようになるにはどうしたらいいだろうか?」
という、発想の転換で、授業が良くなった気がします。
ただ、これはこれで問題はやはり残ります。
まず、文章読解力が低いと、入試で困ります。
ですから、この新方式と、従来方式を混ぜ合わせて今後は授業を展開していこうと思います。
また、この子らの今後の人生を考えると、追々社会から要求される文章読解力は、昔とそう変わらないでしょう。
どこかの工場に就職し、上司から「このマニュアル通りにやれば大丈夫だから」と言われ
「マニュアルが読めません」では上司はぶち切れること間違いなしです。
英語の教科化とかプログラミング教育とかよりも、国語教育を強化した方が良いんじゃ無いですかね?