名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

算数のかけ算の順序問題の根源はこれか!?

2020-02-02 12:38:02 | 日記(学校)
1個100円のクッキーを5個買いました。いくらになるでしょうか?

小学校で良くある、初歩的なかけ算の問題です。

小学生の算数ですから、消費税は考えないものとし、

100×5=500 答えは500円

となります。

さて、この問題を

5×100=500 答えは500円

と答えたらどうなるか?


私は別に○だろう、と思うのですが、しばしば、×にする小学校教師がいると言うことで、話題になります

(ちなみに筆者は、中学校の勤務経験しかありません)

最近では、Twitter等に

「なんでこれを×にするの?うちの小学校の先生おかしいんじゃないの?」

と保護者の方が小学校教師を批判するような投稿もあるようです。

・5×100=500を×とする根拠は何か?
・なぜそのような判断をする小学校教師が生まれたのか?


ずっと不思議だったんですけども

「もしかして、コイツが根源か!?」と思われる資料を発見しましたので紹介します。

国立教育政策研究所(https://www.nier.go.jp/)内にある資料

Ⅳ.算数についての学習指導法(https://www.nier.go.jp/guideline/s26em/chap4-1.htm)です。

ちなみにこれは、小学校学習指導要領 算数科編(試案) 昭和26年(1951)改訂版の一部です。

全部読みたい方はこちら(https://www.nier.go.jp/guideline/s26em/)をどうぞ。



これには、このように記されています。

「一冊5円のノートを,6冊買ったら,いくら支払えばよいでしょう。」という問題を解くときには,「5円×6」として,その結果を求めるのが普通である。ところが,この問題を,「ノートを6冊買いました。どれも1冊5円でした。ぜんぶでいくら支払ったらよいでしょう。」とすると,「6×5=30(円)」として結果を求めるこどもがでてくるであろう。
こどもが,このような誤った解決をするのは,かけ算の意味をひととおり理解しているにしても,その理解が形式的になっていることを示しているといえる。
問題が,どんな形式で出されようとも また,いくつかの条件がどんな順序で書いてあろうとも,かけ算を式で示すとすれば,(グループの大きさ)×(グループの個数)=(量全体の大きさ)であることが,こどもにじゅうぶん理解されておらなければならない。この一般化がふじゅうぶんなために,6×5=30(円)というような式を書くのである。
とにかく,形式的な練習に移るにさきだって,技能などについての理解をじゅうぶんに伸ばすことを忘れたのでは,反復練習したものを有効に用いることができないであろう。


なるほどこれによれば、先ほどのクッキー問題は、100×5=500 答えは500円としないと、「誤った解決をしている」といえるでしょうね。

ただ、この文章、「何も考えずに出てきた数字を出てきた順にかけて答えを出す児童が出てくる可能性があるから、それには気をつけようね」というニュアンスな気もしますがね……



というわけで、かけ算の順序問題の根源と思われる資料の紹介でした。

ここからは私の推測ですが

これに当時の小学校教師たちが従う
(学習指導要領に従うのは当然だからこれを批判するのは間違い)
→かけ算の順序にこだわる指導が行われるようになる
→学習指導要領が変わってからも、その指導が受け継がれる
→長い年月がたち、指導の根拠が失われ、「順番を守らせること」ばかりを重視する小学校教師が現る
→保護者の高学歴化や、インターネットツールの発達により、小学校教師への批判が目立つようになる(今ここ)


といったところではないでしょうか。



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