元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

「地球幼稚園」:kipple

2010-09-28 21:44:00 | kipple小説

「地球幼稚園」


昔々あるところに地球幼稚園がありました。

地球幼稚園は絶えず学級崩壊状態で喧嘩が耐えませんでした。

それはこっちのモノだ、いや、こっちのモノだ、お前むかつくから死んじゃえ、お前の神は間違ってる死ね、いやこっちの神が正しいんだ死ね、お前の考えは間違ってる死ね、そっちの考えこそ間違ってる死ね、、、

と絶えず争いが絶えませんでした。バカばかりでした。

それでも何とか少しは仲良しになれないものかと様々な約束事を作ったりしましたが、どうしても力の強い狡猾な暴れん坊の都合の良いように約束は曲げられたり破られたりしてしまうのでした。

そこで園児たちは外交と言う取り引きで、これをやるから、あれよこせ、こうしてやるから、ああしてくれ、と無い知恵を振り絞って、何とか自分を守ろうとしました。

外交とはとても恐ろしい取り引きで、我が身を守りつつも何かの利益を得るために何かを差し出しなるべく少ない損をする、ほんのちょっとの失敗で集団リンチにあったり殺されたりする遣り取りでした。

殺し合いのような取り引きでした。

園児たちの中に一人だけ常識外れで風変わりな日本ちゃんという幼児がおりました。

全ての園児が大小、強弱、何らかの武器を持ち、構え合っている中で、日本ちゃんだけが何も武器を持たずにニコニコ笑ってぼんやりほんわかしておりました。

無謀にも、日本ちゃんは武器を構えずに、一丁前のような顔をしてお金を儲けてバラまいていました。

他の全ての園児が武器を相手の顔面に突きつけたまま外交と言う取り引きを命懸けでしていたにも関わらず、日本ちゃんはのほほんとお金で取り引きをしていました。

日本ちゃんはちょっとオツムが足りないので自分が一流の人間だと傲慢たれておりました。

手先は器用でしたが、恐ろしい殺し合いのような外交で何の武器も構えずに、それなりの取り引きができてお金持ちになれたのは、園児たちの中でも最も兇暴で強力な武器をたくさん持っている最強園児のアメリカちゃんの子分になっていたからでした。

他の園児はアメリカちゃんが恐くて、しばらく子分の日本ちゃんとは本気の殺し合いの外交を控えていました。

しかし、隣の支那ちゃんが着々とお金を儲け、強力な武器を増やしていきました。

かつて、アメリカちゃんに匹敵するくらいの強い武器をいっぱい持って兇暴で強かったロシアちゃんも、復活してきました。

その頃、アメリカちゃんは弱い園児を殺したり、半殺しにしたりしてるうちに、ちょっと疲れて弱くなってきてしまい、かつてのように他の園児全員に強力な武器を突きつけて恫喝し、強引に言う事をきかせる事がなかなか難しくなってきてしまいました。
日本ちゃんの隣の支那ちゃんが怖くなってきました。いくら強力な武器を突きつけて外交してもアメリカちゃんの言う事をなかなか聞いてくれません。

それでも日本ちゃんは、のほほんと何も武器を持たずゲタゲタ笑ってぼんやりほんわり呑気にお金の事ばかり考えておりました。

ある日、隣の支那ちゃんが強力な武器を背景に日本ちゃんを恫喝して、お前の持ちものをよこせと言ってきました。

アメリカちゃんは、ただでさえ弱くなっていましたし、他の園児たちとの殺し合いが続いていましたので、子分の日本ちゃんの揉め事になかなかかまっていられません。それどころか、今、支那ちゃんと喧嘩になったら負けちゃうかもしれません。

そんな状況の中で、日本ちゃんは丸腰で支那ちゃんと丸腰のまんまで、のほほん外交を始めてしまいました。

支那ちゃんは日本ちゃんの眉間に54式拳銃をつきつけ、足元を支那製アサルトライフルで威嚇射撃しながら背中に核兵器を背負って、ごく普通の外交取り引きをしてきました。

日本ちゃんはニコニコしてましたが、ビックリしてしまいました。

そして、支那ちゃんは、ボケきった日本ちゃんの持ちものをあっさり奪っていきました。

日本ちゃんは、それでもボケきっていて、友愛だの友好だのという妄言を吐きながら仲のよいお友だちになって下さいと丸腰で外交を続け、ますますお金を儲けさせてくれるので、支那ちゃんは嘲けり、大笑いが止まらず、さらなる強力な武器を作り大金持ちになり、アメリカちゃんより強くなりました。

日本ちゃんは外交というものはお互いの眉間に銃を突き付け合ってやるものだという事がまだ分かりません。

しばらくして、再び支那ちゃんが準備万端整えて、ロシアちゃんと一緒にやってきて、こう言いました。

“お前の上半身はロシアちゃんのモノだ。お前の下半身はオレのモノだ。もともとオレたちのモノなんだよ。返してもらおうか。”

それでも日本ちゃんはニコニコして、丸腰で外交しようとしましたが、今度は身体中に核兵器・プラズマ兵器等の最強の武器を2人に突きつけられ、やっと本当にヤバイと気づき、卑屈な笑顔を浮かべたまんま、相変わらず丸腰で、“お金なら全てやるから勘弁してくれぇぇ~”と泣き出しました。

支那ちゃんとロシアちゃんは、ゲラゲラ笑いながら、日本ちゃんの身体を真っ二つにして、上半身をロシアちゃんが、下半身を支那ちゃんが、たらふく一片も残さずに食べてしまいました。

そして、支那ちゃんとロシアちゃんはますます図体のでかい強力な暴れん坊になり、大金持になりました。

アメリカちゃんは、さっさと逃げていきました。でも、やっかいな子分がいなくなり、少しホッとしました。

そうして、地球幼稚園の園児たちの中から、日本ちゃんがいなくなりました。

それから、しばらくの間、地球幼稚園の園児たちの間で変な噂が広がりました。

真夜中の地球幼稚園に薄気味悪い幽霊が出る、というものでした。

その幽霊は武器も金も何も持っておらず、素っ裸の上半身と、素っ裸の下半身がバラバラになって浮いていて、青白い顔で、
“金~金~平和~友好~アメリカちゃ~ん~金~萌え~ビジネスチャ~ンス~観光ビジネス~支那人の皆様ようこそ日本へ~いらっしゃいませ~どんどん、お金を落としてってぇ~マニフェストは小さい政府~地域主権~民主主義~専守防衛~北方領土を返せ~尖閣諸島を返せ~竹島を返せ~うらめしやぁ~・・・”
と何やら訳の分からない事をつぶやきながら、口をパクパクさせて彷徨い続けているそうでした。

しかし、すぐにその薄気味悪い幽霊の噂も消え、日本ちゃんがいた事もすっかり忘れ去られました。

でも、何の役にも立たないので誰も読まない教科書には「バカの見本」として日本ちゃんの下品満面な笑顔の写真が最後の方に載っていました。

その後も相変わらず地球幼稚園は喧嘩が絶えず、学級崩壊状態で、核兵器・等を突きつけあった殺し合い外交合戦が、園児全員が死ぬまで延々と続きましたとさ。





                  おしまい。


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「尖閣ガイセン」:kipple

2010-09-22 20:20:00 | kipple小説

「尖閣ガイセン」 尖閣諸島くれてやるのか攻め込むか


赤紙を下さい!

支那のチャンコロたちが、又もや、五月蝿く、頭に来るので、ございます!ちなみに支那と言うのは中国の本来の国名でございます!蔑称でも何でもありません!本当の国名でございます!中国などと言う国名は絶対に認めてはいけません!認めてしまえば尖閣諸島のみならず日本列島も中国になってしまいます!それどころか世界中が中国になってしまいます!絶対に認めてはいけません!あそこは支那という国なのです!ちゃんころは蔑称です!差別には差別をでございます!差別は絶対になくなりません!一つの差別を無くすためにはより巨大な差別を叩き付ける事であります!しかるに、我が日本民族を差別用語で罵る支那人ちゃんころに対してはさらなる大きな差別で対抗するしかございません!このぉ~田舎者の成金ちゃんころ国家がぁあああ~っ!いい気になりやがってよぉっ!調子ブッこいてんじゃねぇーよ!
ってか、しかしだなぁー、“ちゃんころと同じ次元になるから粛々と・・・”と、どいつもこいつも言いやがるが、なぁ~にが一つの中国だぁ?なぁ~にが中華思想だぁ?支那の格差による鬱憤がちゃんころ人民に広がり、鬱憤の矛先を日本に向けてるんだからね、日本人は粛々と冷静な外交でのぞみましょう・・・ってよぉっ、じゃぁ、日本人の鬱憤の矛先はどこ行ったらええんじゃー!政府に向かうぞぉー!今だぁぁああ~っ!チャンスだ!クーデターの大チャンスだぁぁああ~っ!支那によるストレスは政府民主党に向かわざるを得ません!今、支那のちゃんころどもと本気で遣り合うのは得策ではございません!65年経っても、未だにアメリカ製のニューディーラーの息のかかったオモチャの憲法を護り続ける政府には何の期待も出来ません!現憲法を即時、破棄し、ちゃんと日本人の手により、今すぐに正式な日本国憲法を作るのであります!三島草案で充分でございます!君側の奸を今すぐに排除しましょう!社会保険庁職員は旧職員ともども全財産没収でございます!国賊社会保険庁職員は一親等まで含めて全員死刑でございます!年金なんて全て軍事費の財源に致しましょう!いいですかぁ!私欲を捨てましょう!“欲しがりません!勝つまでは!”で、ございます!いいですかぁー!今すぐ日本がするべき事はドイツと組む事であります!かつて、ドイツだけは我国を裏切っておりません!ドイツ側からのアプローチもございます!大日本帝国復活でございます!大国家神道復活でございます!今すぐに公明党をぶっ潰し、創価学会員を皆殺しにするのであります!幸福の科学も統一教会・他、カルト宗教団体も蜂の巣にいたしやしょう!日本の国教は神道でございます!となりのトトロでございます!いいですかー!今すぐにドイツと組むのです!東京大空襲をはじめとする日本全土に及んだ無差別空襲、原爆2発で人類史上類例を見ない一般市民大虐殺を行なったアメ公と、未だに組んでいるなんてのは、“恥を知れ!”でございます!世界で一番優秀なのはドイツと日本でございます!ドイツと日本が力を合わせれば世界最強の核兵器を作れます!“ジーク、ハイル!”でございます!あの時、ヒューラー・ヒトラー率いるナチス・ドイツがソ連に挑んだ時は、本当にすまなかったと思うのです!ごめんね、ドイツ。あの時、南方から日本軍が援軍としてソ連に攻め込めば事態は一変していたでありましょう!もう一度、やりましょう!ドイツの皆様!今こそ過去の大敗の恨みを晴らすのであります!即時に最強の大量破壊兵器を共同で作りあげ、支那に雨嵐とブチ込んでやりやしょう!民族浄化でございます!今度は、ちゃんころをガス室送りにして14億人を虐殺いたしましょう!次はアメリカ本土に無差別爆撃でございます!ひとしきり一般市民を大虐殺した後は、最強の原爆を一万発くらいブチ込んでやりやしょう!なぁ~にがグローバリズムだぁ!世界は日本とドイツが支配するんだよ!だから勝てばいいのです!正義のための戦争でございます!平和のために原爆を落としてやったと言えばよいのでございます!ひととおり世界征服が終わったら、すいません、今度は、ドイツに滅んでいただきやす!今までご協力有難うってなぁ!いいですかぁ~!ちゃんころが中華思想だの一つの中国だの言うなら、こっちは竹内文書を持ち出してやらぁ!聴けー!ちゃんころどもぉぉおー!この地球はなぁ!全部、天皇陛下の所有物だったんだよ!元々は全部、日本のものなんだよ!天皇陛下はお優しいものだから、一時的にお譲りになっていらっしゃいますが、阿南中佐がお優しい天皇陛下のために本土決戦をとりやめ、部下たちをおさえ自決を致したのも、ひとえに天皇陛下のお優しい御心を尊重するためでございます!本当は、地球全体は海も陸も空も全て、天皇陛下の所有物だったのでございます!だから元々、地球は天皇陛下のモノなのです!2千万年ほど、昔の事ではございますが!さぁ~そろそろ地球を取り返しましょう!地球は神道国家日本の所有物なのですから!天皇陛下、ばんざぁ~い!ってか、隣の北朝鮮の世継ぎの話をしてる場合ですか!天皇家がこのままでは無くなっちまいます!今すぐやること!最重要課題は、側室を作って、ヒロノミヤ様に若い女をあてがってヤりまくってもらい、男系のお世継ぎをガンガン作って頂く事であります!天皇家が滅びてしまっては地球全部奪還が空しゅうなりやす!何をしとるか君側の奸どもめ!経済なんぞ後回しで良い!天皇家存続を最優先事項とするのだぁあああ!そして修身復活だぁ!徴兵制度復活だぁ!それだけで、敗戦後の現代日本が抱えてきた殆んどの問題は無くなっちまわぁ!ビシッ!っとするぜぇー!もののふの魂を取り戻すんじゃぁー!・・・・・・・・・・・
今、日本はアメリカの本土防衛の前線基地として、即ち、アメリカの盾として存在しているに過ぎません。日本人の!人間の盾でございます!支那が日本に総攻撃をかけてきても、アメリカは遠方作戦でございます!それ以前に、日米安保にのっとって国連決議です!その間に日本は支那により殲滅させられてしまうでしょう!アメリカが動き出すとしたら日本を殲滅して少々、支那が疲弊している時に決っています!
こんなに暑いのもゴロツキ成金国家支那のせいだ!支那は元々日本の領土なんだよっ!奪還だぁ!今に見ていろ、いつの日か、何百年かかるか知らんが、準備万端整ったら、徹底的に焼き尽くしてやるぅぅぅぅぅぅ!

欲しがりません勝つまでは!

天皇陛下、ばんざぁぁぁあああ~いっ!




                   


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)


「暗闇の旅人」:kipple

2010-09-22 13:35:00 | kipple小説

「暗闇の旅人」


暗闇の中で、暗闇が産まれた

暗闇は、暗闇の中で産まれたので暗闇の母以外は誰も気づかなかった

暗闇の母は暗闇役場に暗闇出生届けを出した

暗闇の母は暗闇届け出用紙に暗闇の子の名を記した

しかし、その暗闇の母も暗闇役場も暗闇届け出用紙も暗闇ボールペンで記載した暗闇の子の名前も全て暗闇の中だったため、誰も気づかなかった

暗闇の中で、暗闇はすくすくと育った

暗闇の中で、暗闇朝食を食べ、暗闇昼食を食べ、暗闇夕食を食べ、暗闇ベッドで寝た

暗闇は、暗闇幼稚園、暗闇小学校、暗闇中学校、暗闇高校、暗闇大学、に通い全て優秀な成績で卒業した

しかし、暗闇の中だったため、やはり誰にも気づかれなかった

暗闇は暗闇社会人になり、暗闇会社に就職し、毎日真面目に暗闇電車で通い続けた

暗闇は一生懸命、仕事をこなし続け、暗闇会社に大きな貢献をしたが、暗闇の中だったため誰にも気づかれなかった

暗闇の父も兄弟姉妹も暗闇の中だったため暗闇に気づかなかった

暗闇の母もやはり暗闇の中だったため、暗闇出生届けを出してから、すぐに暗闇の事を忘れてしまい、気づかなくなっていたが、何となく暗闇の食事だけは用意し続けていた

しかし、その暗闇の母も、いつしか暗闇の中に溶けて消えていった

歳月は容赦なく過ぎ去り、暗闇は暗闇の中で老いていった

そして、ひとりぼっちで暗闇は暗闇の中で死んでいった

もちろん、暗闇の中で死んでいった暗闇に気づく人はいなかった

結局、暗闇が産まれて生きて死んでいった事を知る者はいなかった

暗闇の名前?

そんな事は誰も知らないし、分からない

しかし、あの日、暗闇の母は暗闇役所の暗闇出生届けに、こう書いた、こう名づけた

「光」

暗闇の中を誰も知らない「光」と言う名の暗闇が生きていたらしい

別にどうって事無い

いつしか、きっと、全てを飲み込む巨大な津波のような暗闇がやってきて何もかも圧倒的な真っ暗闇に溶けて消えちまうんだし、無くなるんだし




                   


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「雨族」 断片73-雨族の王様:kipple

2010-09-19 08:06:00 | 雨族(不連続kipple小説)

ようこそRAIN PEOPLES!超バラバラ妄想小説『雨族』の世界へ! since1970年代


               「雨族」
        断片73- 雨族の王様


実は、君以外に誰もいないんだ

この世には君しかいないんだ あの世にも君しかいないんだ

君だけしか、いないんだ 君だけが、いるんだ

君の周りにいる人も、実は、いないんだ

君が見てる人も、実は、いないんだ

君が喋ってる人も、実は、いないんだ

君が触っている人も、実は、いないんだ

君が好きな人も、実は、いないんだ

君が嫌いな人も、実は、いないんだ

どうでも良くて、知らない人も、実は、いないんだ

実は、君以外に誰もいないんだ

この世で君は、ずっと、ひとりぼっち あの世でも君は、ずっと、ひとりぼっち

最初から、君以外、誰もいないんだ

君、一人で泣いてるんだ 君、一人で悲しんでるんだ

君、一人で苦しんでるんだ 君、一人で悩んでるんだ

君、一人で悔しがってるんだ 君、一人で怒ってるんだ

君、一人で怨んでるんだ 君、一人で憎んでるんだ

君、一人で笑ってるんだ 君、一人で喜んでるんだ

君、一人で恋してるんだ 君、一人でじたたら踏んでるんだ

君、一人で心配してるんだ 君、一人で憂いてるんだ

君、一人でがんばってるんだ 君、一人で競争してるんだ

実は、この世界にいるのは、君だけなんだ

寝ても、起きても、君、一人 痛みも、不条理も、君、一人

元気も、病気も、君、一人 生きるも、死ぬも、君、一人

船、去りて、船の影 人、去りて、人の影

実は、君以外に誰もいないんだ

実は、君以外に誰もいないんだ

実は、君以外に誰もいないんだ

君は、ずっと、ひとりぼっちで、雨にうたれてるんだ

だから、君は、雨族の王様






断片73     終


This novel was written by kipple
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「占いPod」:kipple

2010-09-08 01:12:00 | kipple小説

「占いPod」


真夜中の男と日なたの女が夕暮れの街を歩いていた。

日なたの女が言った。

「ねぇ、お腹空かない?」

真夜中の男が言った。

「空いた。あそこのソバ屋のカツ丼が喰いたい。」

日なたの女が言った。

「そば屋かぁ。たまにはいいか、じゃ、あたし暑いから冷やしタヌキ食べる」

真夜中の男と日なたの女は近くにあったソバ屋に入り、テーブル席について注文をすませた。

テーブルの上に占いPodがあった。

日なたの女が言った。

「占いPodだって。やってみる?」

その占いPodのモニターに『ひもを引いてください。一回、100円』と表示されていて、天辺に赤い紐がついていた。

真夜中の男が言った。

「いいけど。一回、100円?高くね?で、100円、どこに入れんだ?」

日なたの女が言った。

「あとで精算するんじゃない?あたしやるよ」

そう言うと、日なたの女は占いPodの上に付いてる赤いひもを引っぱった。

チンと音がして、一瞬、モニターの文字がグニャグニャになり、すぐに真赤な文章が大きくハッキリと表示された。


“あなたは、5分後に死にます”


「何、これ。あたし、5分後に死ぬって。感じわりぃ。」

と日なたの女は、ぷぅっと頬を膨らませて極彩色の爪で占いPodをガリガリひっかいた。

店はひっそりしていた。客は彼ら2人だけだった。

日なたの女が言った。

「あんたも、やんなよ。」

「だよな。」

そう言うと、真夜中の男も占いPodの上に付いてる赤いひもを引っぱった。


“あなたは、3分後に死にます”


「・・・だってよ。」

と、ちょっと口もとを引きつらせて真夜中の男は言った。

日なたの女は、再び、極彩色の爪で占いPodをガリガリひっかきながら言った。

「ってことは、もうすぐあたしとあんたは一緒にお陀仏って事ね」

真夜中の男が言った。

「100円でこれかよ。何かのギャグ?何かムカツクな。」

日なたの女が言った。

「二人とも、食中毒で死んだりして。」

真夜中の男が言った。

「そりゃ無いな。ほら、暖簾の奥でまだ作ってるぜ。ええと、占いPod通りだと、、、あと1分くれぇか。絶対に間に合わねぇー。」

日なたの女が言った。

「ま、暇つぶしって事かぁ。じゃさじゃさ、二人で同時に引いてみない?」

真夜中の男が言った。

「いいよ。」

そして、真夜中の男と日なたの女は、一緒に占いPodの上に付いてる赤い紐を摑み、“せぇ~の!”と同時に引いた。


“あなたたちは、今、死にます”




どっかぁぁぁぁああああああ~~んっ!

占いPodは爆発し、二人もソバ屋も跡形なく消え去った。

夕暮れから夜が滲み出し、街にきのこ雲が立ちのぼった。

その頃、南極で異常な現象が観測されていた。

南極のど真ん中、地球の地軸の南端から赤いひも状の物体が突き出しているのが確認されたのだ。

衛星から捉えたその映像は、あらゆるメディアを通して世界中に送信された。

そして、それを見た全ての人は思った。


・・・引っぱってみたい・・・




                   


This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)