両者の剣が当たると、そのまま力比べになった。ややテオの方が上回り、たまらず後ろに引き下がった。それをテオは見逃さず、更に押し込んできた。必死の思いで振り払い、テオから遠ざかった。
「甘いんだよ」
「くそっ……」
やはり力勝負を真っ向からやっていては勝ち目がない。落とし穴だらけだった森とは違うが、ここもぬかるみやすい所はいつも決まっている。
「そんなに悔しがることない……。すぐに終わりにしてやるよ!」
そう言い放つと、速攻でテオが向かってきた。すぐさま受け止めたが、切り替えされ連続攻撃を繰り出された。耐え抜いて、とにかく耐え抜いて、チャンスを探した。
テオも結局生身の人間。息継ぎで手を休めた僅かな瞬間を見逃さず、押し込むように斬りかかった。
「うぅ……!」
「……避けたな!」
体勢を崩しながらも避けられた。でも、それでいい。なぜならその先には深めのぬかるみが……!
「……っぶね!」
「な……!」
ビーフォンだったら確実に填まっていたはずなのに、素早く回避し体制を整えきた。
「だから。ビーフォンと同じ手で、やられるか」
本当にこの辺りの細かい部分まで把握しているみたいだ。あんなの、その場の判断だけで避けきれない。どうするか……。
「お手上げか? 今だったら、降参しても受け付けるぞ」
「誰がだよ!」
いかにも余裕そうな表情を作ったが、テオが見抜いたとおりお手上げに近い。スピードは向こうの方が上。トリッキーなことをやっても読まれている。けど、まだ作戦はある!
猶も、テオの剣は休むことなく振りまわった。時折見せる隙を狙いつつ交わして耐えた。あいつだって、そのうち……いずれ……。
朝は晴れていたのに、少しずつ辺りが薄暗くなってきた。気づくと小雨が降ったり止んだりの繰り返しだった。
「しめた!」
隙ができた上、体勢を崩した。これだったら避けられないだろう!
「残念」
それは、あっさりと避けられてしまった。
「あーあ。チャンスだったのに……。パスクは気づいていないのかな……?」
振った瞬間、自分でも気づいた。あっさり避けたんじゃない。簡単に交わせる程度の力しか出せなくなってきたからことに。持久戦に持ち込んで、体力が切れるのを待った。しかし、受け身になりペース配分が狂わされ、体力を奪われたのはオレの方か……。この作戦すら読まれてしまったか。
「これが最後にしてやるよ。降参するなら」
――なんでいつもテオに勝てないんだ!
テオが全力で向かってきた。まだ向こうは体力があるのに、オレは……。よろけて尻を地につけたが、その時なにか左手にぬめっとした感触があった。一瞬手を引っ込めたがすぐさま正体に気づいた。大きさも手頃、片手で持つにはギリギリのジャストサイズ。
少々ずるいかもしれないが、これに全てを賭けるしかない!
それをテオ目掛けて投げてみたら、予想通りの展開で慌てふためいた。
「地形は把握していたみたいだが、カエルは想定外だったみたいだな!」
残る力を振り絞り、全力で愛剣を振り抜いた。
≪ 第16話-[目次]-第18話 ≫
------------------------------
↓今後の展開に期待を込めて!
にほんブログ村
「甘いんだよ」
「くそっ……」
やはり力勝負を真っ向からやっていては勝ち目がない。落とし穴だらけだった森とは違うが、ここもぬかるみやすい所はいつも決まっている。
「そんなに悔しがることない……。すぐに終わりにしてやるよ!」
そう言い放つと、速攻でテオが向かってきた。すぐさま受け止めたが、切り替えされ連続攻撃を繰り出された。耐え抜いて、とにかく耐え抜いて、チャンスを探した。
テオも結局生身の人間。息継ぎで手を休めた僅かな瞬間を見逃さず、押し込むように斬りかかった。
「うぅ……!」
「……避けたな!」
体勢を崩しながらも避けられた。でも、それでいい。なぜならその先には深めのぬかるみが……!
「……っぶね!」
「な……!」
ビーフォンだったら確実に填まっていたはずなのに、素早く回避し体制を整えきた。
「だから。ビーフォンと同じ手で、やられるか」
本当にこの辺りの細かい部分まで把握しているみたいだ。あんなの、その場の判断だけで避けきれない。どうするか……。
「お手上げか? 今だったら、降参しても受け付けるぞ」
「誰がだよ!」
いかにも余裕そうな表情を作ったが、テオが見抜いたとおりお手上げに近い。スピードは向こうの方が上。トリッキーなことをやっても読まれている。けど、まだ作戦はある!
猶も、テオの剣は休むことなく振りまわった。時折見せる隙を狙いつつ交わして耐えた。あいつだって、そのうち……いずれ……。
朝は晴れていたのに、少しずつ辺りが薄暗くなってきた。気づくと小雨が降ったり止んだりの繰り返しだった。
「しめた!」
隙ができた上、体勢を崩した。これだったら避けられないだろう!
「残念」
それは、あっさりと避けられてしまった。
「あーあ。チャンスだったのに……。パスクは気づいていないのかな……?」
振った瞬間、自分でも気づいた。あっさり避けたんじゃない。簡単に交わせる程度の力しか出せなくなってきたからことに。持久戦に持ち込んで、体力が切れるのを待った。しかし、受け身になりペース配分が狂わされ、体力を奪われたのはオレの方か……。この作戦すら読まれてしまったか。
「これが最後にしてやるよ。降参するなら」
――なんでいつもテオに勝てないんだ!
テオが全力で向かってきた。まだ向こうは体力があるのに、オレは……。よろけて尻を地につけたが、その時なにか左手にぬめっとした感触があった。一瞬手を引っ込めたがすぐさま正体に気づいた。大きさも手頃、片手で持つにはギリギリのジャストサイズ。
少々ずるいかもしれないが、これに全てを賭けるしかない!
それをテオ目掛けて投げてみたら、予想通りの展開で慌てふためいた。
「地形は把握していたみたいだが、カエルは想定外だったみたいだな!」
残る力を振り絞り、全力で愛剣を振り抜いた。
≪ 第16話-[目次]-第18話 ≫
------------------------------
↓今後の展開に期待を込めて!
にほんブログ村
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます