流行とは作られるもの 冒険心のない私

　服装の流行りは生まれるのではなく、作られる、という感覚が最近ある。
　流行色はこれと言ったり、服飾のトップランナーがこれと言って生じるのはすでにわかっていること。そう考えると流行ってなんだろうと思ってしまったりする。しかし、その中でも「これがいいんじゃないか」と生み出してはやらせることもあるだろうから、一概に一文目のことは言えないわけである。
　さて、私は流行に基本乗らない、乗れない性格。
　一時期は「はっ、流行に乗るってバカみたい」と思ったこともある。長いスカート好きなのにミニスカートやズボンしかないという事態のやっかみだ。
　そんな中「流行に乗れる人ってすごい」と気づいたのだった。だって、自分の好みでなくてもそれを取り入れようという冒険心があるわけでしょ？　それできちんと似合うようにするって偉いなって。流行の物が好みなのかもしれない……卵が先か鶏が先かになっているが。
　冒険心と言えば、私はひらひらな服好きだ。試着だけならいいんだよね、挑戦して……。近所の店でスカーフ調の大きな襟のブラウス、ハイウエストでフリルも付いたふわりとしたスカートという組み合わせで秋の新作が出てて「いいなぁ」とつい入ってしまった。その日、雨で、客もいなかったので試着できたのだ！　しかし、荷物もあったし、ぼさぼさ頭の私には勇気はなく。あれ２０代くらいでしょ、着ていいの……でも、試着だけなら……と後で思った。
　一度くらい着てみたい……。そして、店の名前が覚えられない。
　結局、流行ってなんだろう。あ、振り出しに戻った。