「世界のガーデン・シェーンブルン宮殿・オーストリア」~口語短歌と写真で綴る「世界文化紀行」
2022-03-11 06:27:41
中世のヨーロッパは、西半分はパリのブルボン王朝が、東半分はウィーンのハプスブルク家が富と文化の中心として君臨していました。ブルボン王朝はフランス革命により終わりを告げましたが、ウィーンのハプスブルク家は第一次世界大戦まで東ヨーロッパの富と文化の中心として、また音楽の都の頂として長く繁栄していました。
東ヨーロッパの富と文化の中心地
口語短歌
「テレジアの 女帝の居城 夏離宮は 憧れの的の フランス式庭園」
当時、フランスの貴族文化の象徴であるヴェルサイユ宮殿(17世紀〜)はヨーロッパ中の憧れの的でした。その頃、ヨーロッパの東半分の富をある意味独占していたハプスブルク家も例外ではありませんでした。広大なフランス式庭園を持つ憧れのヴェルサイユ宮殿を手本に、このシェーンブルン宮殿がつくられたのです。ハプスブルク家の夏の離宮としてウィーンの郊外につくられたこの宮殿には、1,441室もの部屋があり、さらには、ベルサイユ宮殿に勝るとも劣らない素敵なフランス式庭園がつくられて、それらは現在まで残っています。この宮殿は、女帝マリア・テレジアの居城として、そしてその娘マリー・アントワネットの数奇な運命とともに現在まで語り継がれています。
原色の植物が緑に浮かび上がる平面的な花壇
口語短歌
「鮮やかで 原色系の 庭園は 模様描かれ 気持ち和らぐ」
ウィーンはパリに比べるとかなり寒い場所なので、この庭を楽しむには、やはり夏から秋が一番でしょう。何も遮るものがないこの庭園は陽射しが強烈です。この花壇は芝生の緑をベースに原色系の植物を、おもに線状に並べて模様を描くことによって、はるか遠くに見えるグロリエッテまでの距離感をより強調しています。鮮やかな色と人工的な幾何学模様を際立たせるために、平面的な花壇の横には、小高く刈り込まれた濃い緑の生け垣が巡らされ、大理石の真っ白な彫刻が気持ちを和らげてくれます。
世界で2番目に古い温室「パルメンハウス」
口語短歌
「温室の 技術革新 目覚ましく 世界の植物 一望のもとに」
有名なパルメンハウスとその前の線描花壇。パルメンハウスは1882年に建てられた世界で2番目に古い温室です。世界最古の温室は、これより4年前に建てられたイギリスのキューガーデンのパームハウスです。さて、パルメンとはドイツ語で手のひらを意味し、ヤシの木を指します。このような大規模な温室ができたことにより、世界中の植物がプラントハンターによって集められ、寒いウィーンでもさまざまな植物が栽培されるようになりました。これは、産業革命と技術革新により曲面ガラスの製造が可能になったことも大きく影響しています。
巨大な生け垣と彫刻を配置する効果
口語短歌
「彫刻は 深い緑と 赤い屋根 白さ強調が まとまった空間に」
視線を遮る西洋シデの刈り込みが高く幾重にもつながり、正面はるか彼方にある大理石の彫刻に視線を集めています。訪れた人に、この庭の奥行きと重厚感を伝えるデザインです。この手法は、後のイングリッシュガーデンにも多く取り入れられています。こちらは緑の芝生に立ち並ぶ直線的なトピアリーと、生け垣に埋め込まれた大理石の彫刻。 補色関係にある赤い屋根と深い緑が白い彫刻をアクセントとして上手にまとまった空間をつくりだしています。
参照
https://gardenstory.jp/gardens-shops/12343
「2021年軽井沢レイクガーデンに咲いた薔薇たち」
「シャリファアスマ」2021年10月7日撮影
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