「日本100名城」が平成18年に選定されたのに続き、平成22年に「ヨーロッパ100名城」が選定されました。近年ヨーロッパを訪問する日本人が増えるにしたがい、城郭を見学する機会も多くなりました。しかし華麗な宮殿は脚光を浴びますが、古代から発展した城郭都市や堅固な中世城郭は見逃されがちです。この選定を機にヨーロッパを代表する歴史的文化財としての名城を訪問することで、各国の歴史、建築文化に触れていただきたいと思います。
イタリア「カステル・デル・モンテ」
口語短歌
「皇帝の造詣表す黄金比 八角形で美しい城」
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丘の上に立つ美しい城で、皇帝フリードリヒ2世の造詣を表す黄金比を用いた八角形を多用しています。八角形の中庭の周りに八角形の塔を8つ配したカステル・デル・モンテ(デルモンテ城)の堂々とした姿は、その形から「丘の上の王冠」とも称されます。皇帝フリードリヒ2世は、イスラム文化への造詣も深く、カステル・デル・モンテ(デルモンテ城)はイスラムと北ヨーロッパ建築が見事に調和された特徴を持っています。また、城の位置も、当時のキリスト教の拠点であるシャルトルとイスラム教の中心メッカの2点を結ぶ直線上に立地しています。このカステル・デル・モンテ(デルモンテ城)は1ユーロセントの裏面にも刻まれています。
ナポリ「カステル・ヌォーヴォ」
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ナポリを代表する城のひとつであるカルテルヌオーヴォ(マスキオ・アンジョイーノ)は1279年にナポリを治めたシャルル・アンジューの手により王宮として建てられたお城です。"新しい城"という意味を持つこの城は、以前からナポリに存在していた卵城、カプアーナ城と区別するためにこの名がつけられました。城を建設したシャルルアンジューですが、実際には彼は城に住むことなくこの世を去り、息子のシャルル2世より王宮としてつかわれ始めました。当初の城はシンプルで質素なものであったと言われ、現在のような姿になったのは1442年アラゴン家がナポリに到来した後に行われた大規模な改修によるものです。城には特徴的な5つの塔があります。
ヴェローナ「カステルヴェッキオ」
口語短歌
「堀と河水に囲まれた要塞は 古城の貫録今に伝える」
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カステルが英語で言うキャッスル、つまり城を意味し、ヴェッキオが古いという意味なので、カステルヴェッキオは古城を意味するようです。敷地は、お城らしく、掘(現在は水が無い)とヴェローナの町を大きく流れる河に囲まれています。その敷地の中に、ロの字の建物が中庭を囲む構成です。交通量の多い道路から、堀を越える橋を渡り、門をくぐり、中庭に出ます。メイン建物の外観に挿入されている要素からも、それを感じることができます。点在された彫刻があちこち向いています。立ち止まったり振りかえったりしながら進んでいくように計画されていて、中庭側に設けられた窓からの光が彫刻を照らし、陰影を作り出しています。
イタリア「サンタンジェロ城」
口語短歌
「天使像頂上にそびえ城砦は 一望できる絶景スポット」
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聖天使城という意味の名前の城砦。14世紀以降は牢獄や避難所としても使われていました。サンタンジェロ(聖天使)の名称の由来は、590年にローマでペストが大流行したときに遡ります。教皇グレゴリウス1世がこの城の頂上で剣を鞘に収める大天使ミカエルを見て、ペスト流行の終焉を宣言したという言い伝えから名づけられたとか。その言い伝えを表し、現在も天使像が頂上にそびえています。城の頂上はバチカンのサン・ピエトロ大聖堂を望む絶景スポット。美しい彫刻が左右に建ち並ぶサンタンジェロ橋はもちろん、ヴェネツィア広場やパンテオンの屋根を望むローマ中心街を一望できます。
参照
http://jokaku.jp/europ-100/