はるくんとお月さま
こぐまじゅんこ
ここのところ、毎日あめふり。
今日も雨がふっています。
はるくんは、お月さまがみえなくて、ちょっぴりさみしいです。
はるくんは、お月さまがすきなんです。
なかでも、まんまる満月がだいすきです。
保育園の先生が、
「明日は、十五夜。お月さまがいちばんきれいにみえる日です。夜、みれるといいですね」
と言いました。
はるくんは、お月さまにあいたくてしかたがありません。
「てるてる坊主をつくりたい!」
おかあさんに言います。
「じゃあ、いっしょにつくろうね」
おかあさんとはるくんは、しんぶんしをまるめて、白いハンカチでくるむと、てるてる坊主をつくりました。
そして、ふたりで、軒下に、てるてる坊主をつるします。
「明日、はれますように」
つぎのあさ、はるくんは、おひさまの光がまぶしくて、目がさめました。
「わーい、はれたね。お月さま、みえるかな」
はるくんは、元気に保育園に行きました。
すなばでお山をつくっているときも、給食を食べているときも、はるくんはお月さまのことばかり考えていました。
保育園から帰っても、はるくんは、(お月さまにあえるかなぁ……)と、そわそわしています。
夜になりました。
おかあさんが、外に出て空を見上げました。
「はるくん、お月さま、でてるよ!」
はるくんは、いそいで外に出ました。
まっくらな空を見上げると、きいろくてまんまるのお月さまが出ていました。
「わぁい。お月さま、みえた!」
はるくんは、大喜び。
「ぴっかぴかの金メダルみたいだね」
おかあさんがわらいながら言います。
まあるい金メダルみたいなお月さまは、空からふたりをやさしくみまもってくれています。