恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。



サイトマップ






人気ブログランキングへ

ひとつ屋根の下・もう一つの結末~その4~その5

2014-12-07 09:09:39 | ひとつ屋根の下

ひとつ屋根の下・金木犀or蟻地獄の後、もうひとつ別の結末になるストーリーを思いついたのでupします。
しつこくてすみません。

☆☆☆☆☆

俺:茶倉譲二
その妻
:茶倉宏子
その娘:森田友梨花
友梨花の同僚:八田竜蔵

☆☆☆☆☆
ひとつ屋根の下・もう一つの結末~その4

〈譲二〉

マナーモードにしてあった携帯を確かめる。

仕事の連絡事項ばかりか…。

この頃、友梨花からのメールはほとんど入らなくなった。

もちろん、俺がメールを出せば返信はくるのだが…。

彼女からの発信はほとんどない。


とうとう、愛想を尽かされたか…。

そりゃそうだよな。

ロコと離婚すると言いながらいつまでたっても離婚できないし、仕事が忙しくてほとんど恋人らしいことはできない。


それに…八田とかいうあの男の存在。

あいつとは職場が同じだから、友梨花は毎日顔を会わせている。

しかも友梨花のひとつ上で年も近い。


こんなんじゃ、あいつに勝てるわけはないな…。

ため息をついたとき、メールの着信音がした。友梨花からだ。


『今度の日曜日、できれば予定を空けてもらえませんか?
大切なお話があります

                           友梨花』


大切な話ってなんだろう? デートの誘い?

 なわけないか…それならそうと書くだろう。



俺は予定を調べてOKの返信をした。



☆☆☆☆☆

夜、ロコと夕食後の片付けをしていた。

宏子「ねぇ、友梨花から日曜日を空けろってメールが来た?」

譲二「え?」


なんで、ロコがそのことを知っているんだろう?


宏子「ふふっ、私にも来たのよ。同じメールが」


ロコは嬉しそうだ。


譲二「なんでだか知っているの?」

宏子「聞きたい?」

譲二「もったいぶらないでよ」

宏子「あのね。多分なんだけど…リュウくんも一緒よ」

譲二「それって…」

宏子「友梨花、リュウくんにプロポーズされたんだと思うの」


 その後はロコが何を言っているのかほとんど頭に入らなかった。




☆☆☆☆☆

次の日曜日、パリッとした背広姿のあの男が現れた。

いつもはジャージ姿だから、見違えるような男ぶりだ。

ニコニコと上機嫌なロコがアイツを家に上げた。

俺が入れたコーヒーは少し苦いものになってしまった。




ヤツはリビングのソファに友梨花と並んで座る。

恐縮しているのだろう…大きな身体が気の毒なくらい縮こまっている。

友梨花と年が近いだけあって並んだ姿はお似合いだったが、それは意地でも認めたくなかった。


宏子「リュウくん、そんなに緊張しないで…」

竜蔵「はあ、すみません。初めてなものですから…」

(プロポーズの挨拶に何度も来るヤツなんかいるわけないだろ)


友梨花「竜蔵さん?」


友梨花が目配せする。


竜蔵「お父さん! お母さん!」

突然の大声にロコが飛び上がる。

(だから、俺はお前の父親じゃないって)


竜蔵「ゆ、友梨花さんをオレ…じゃない…私にください!
 一生幸せにします。お願いします」

アイツがぺこりと頭を下げる。

友梨花も真っ赤になりながら一緒に頭をさげた。


宏子「きっと、そうだろうと思ってたのよ。ジョージとも話していたんだけど」

ロコはますます上機嫌だ。

友梨花がそっと上目遣いに俺を見つめた。

譲二「…二人が決めたことなら…、俺が言うことは何も無いよ」


自分で言いながら、顔が強ばっているのがわかる。

二人の結婚話はトントン拍子に進んだ。式の日取りは三ヶ月後の吉日に決まった。



☆☆☆☆☆

俺:茶倉譲二
その妻
:茶倉宏子
その娘:森田友梨花
友梨花の同僚:八田竜蔵

☆☆☆☆☆
ひとつ屋根の下・もう一つの結末~その5

〈譲二〉

今日は久しぶりに友梨花と二人だけで過ごす休日だ。

ロコを仕事に送り出した後、何となくまったり過ごしている。


譲二「友梨花ちゃん、今日はあの男とは会わないの?」

友梨花「竜蔵さん、今日は幼なじみの友達数人と遊びに行くんですって。独身最後だから色々連れ回されるみたい」

譲二「そっか…。こんな風に二人だけで過ごすのは久しぶりだね…」

友梨花「この頃お休みの日はいつも竜蔵さんと出かけていたから…」


 最後に友梨花と二人だけで過ごしたのはいつだっただろう?

 少なくともその時には友梨花を他の男に取られてしまうとは思ってなかった。


譲二「友梨花ちゃん…。その…あの男とはもう寝たのか?」


 友梨花は頬を少し染めて頷いた。


友梨花「うん…。三回目のデートの時に…」

譲二「そっか…」


 本当の父親もこんな気持ちなんだろうか?

 あの野郎、一発殴ってやりたい。


友梨花「譲二さん…」

譲二「何?」

友梨花「怒ってる?」

譲二「…なんで?」

友梨花「だって…。私はずっと前に譲二さんのものだって約束したのに…」

譲二「そんなの…。俺は最初から友梨花ちゃんを守る資格はなかったんだから…」


 二人で見つめ合う。


譲二「友梨花ちゃんが幸せになるのが一番大切だろ?」

友梨花「譲二さん…」

譲二「ん?」


 友梨花が俺に抱きついた。


譲二「こらこら、婚約者のいる女の子が他の男にそんなことしちゃだめだろ?」


掠れた声で友梨花が呟く。


友梨花「…いて、」

譲二「え?」

友梨花「抱いて…。最後にもう一度だけ…」


 俺は驚いて友梨花を見つめた。


譲二「そんなこと…。本気にしちゃうよ」

友梨花「本気だもん。譲二さんにもう一度だけ抱いて欲しい」



☆☆☆☆☆

彼女の全身、身体の一つ一つにキスをしていく。

それは友梨花の身体への別れのキス。丹念に…、優しく。

友梨花は潤んだ瞳で俺を見つめた。


友梨花「譲二さん…、お願い。あなたが欲しいの…」


 俺はじらすように優しく彼女の腰に口づけをふらせた。


譲二「これが…最後だから…。ゆっくりと…楽しみたい」


 友梨花は身悶えした。


友梨花「…譲二さんの意地悪」

友梨花は美しかった。

初めて彼女を抱いた時、他の男には絶対に渡すまいと誓ったことを悲しく思い出した。



(愛しているよ)

そう言いそうになっては、唇を噛み締める。

今更そんなことを言われても、友梨花が困るだけだろう。




☆☆☆☆☆


涙を浮かべて横たわる友梨花にそっとキスした。


友梨花「私、今日のことずっと忘れない…」


そう言ってもらえるのは嬉しいけど…。


譲二「そんなこと言っても、あの男と二人で暮らし始めたら俺のことなんか直ぐに忘れられるさ…。それに…それでいいんだ」

友梨花「譲二さん…」


二人でしっかりと抱き合った。


友梨花「譲二さんは…竜蔵さんのことを『あの男』としか呼ばないんだね」

譲二「憎い恋敵だからね」


 ちょっとおどけたように言った。


譲二「俺から友梨花ちゃんを搔っ攫っていったヤツだから」

 友梨花は俺の胸に顔を埋めた。その髪を優しく撫でる。

 できることなら、いつまでもそうしていたかった。




☆☆☆☆☆


 結婚式も披露宴もどんどん進んであっという間に終わった。

 花嫁の両親というのは、しなければならないことがたくさんあって、悲しみに浸る余裕はなかった。

 スーツに着替えた友梨花は俺たちに挨拶するとあの男と一緒に二次会に出かけた。

 一日休んだ後は学校があるから、ハネムーンは春休みに行くことになるという。




☆☆☆☆☆



 バスローブを着たロコが風呂上がりの髪を拭いている。


宏子「ジョージ、お先に。あなたもお風呂に入って来たら?」

譲二「ああ、ありがとう。でも、これを飲んでからね」


 焼酎のお湯割りのグラスを持ち上げる。


宏子「わぁ、梅干し入り? 私ももらおうかな」


 ロコは勝手に俺のグラスに口をつける。


譲二「おい、俺用だからきついぞ」

宏子「いいの、いいの。今夜は酔いたい気分だから…ジョージもでしょ?」

譲二「ああ…」

宏子「いい式だったわね…」

譲二「そうだね…」

宏子「…ジョージ、ごめんなさい」

譲二「なにが?」

宏子「最初にリュウくんがうちに来た時、家に上げたのはこうなって欲しかったからなんだ…」

譲二「そっか…」

宏子「他にも…、二人をくっつけるために色々した…」

譲二「うん…知ってるよ」

宏子「え? うそ?」

譲二「それぐらいわかるさ…」

 ロコを抱き寄せ、耳元で囁いた。

譲二「俺たち夫婦なんだぜ」

宏子「私、あなたと友梨花の…」

譲二「ロコ!」


 ロコの言葉を遮った。


譲二「それは言わない約束だったろ」


 ロコは俺と友梨花の仲を知っている。だけど、それをはっきり口に出して言ったことはなかった。


譲二「友梨花ちゃんはもう…竜蔵くんの妻なんだ…」

宏子「それでいいの?」

譲二「いいもなにも…。俺は彼女の義理の父親でしかない」

宏子「ジョージ…」

譲二「ロコ…、泣くなよ…」

 ロコの目から溢れる涙をそっと口づけで吸った。


☆☆☆☆☆


安らかな寝息をたてるロコの隣で、俺は目が冴えて眠れなかった。

寝返りをうって目をつむる。




さようなら、友梨花。

俺の永遠の恋人。



ひとつ屋根の下・もう一つの結末』おわり


ひとつ屋根の下・もう一つの結末~その1~その3

2014-12-06 09:48:35 | ひとつ屋根の下

ひとつ屋根の下・金木犀or蟻地獄の後、もうひとつ別の結末になるストーリーを思いついたのでupします。
しつこくてすみません。

☆☆☆☆☆

私:森田友梨花
母:茶倉宏子
その夫:茶倉
譲二


☆☆☆☆☆
ひとつ屋根の下・もう一つの結末~その1

〈友梨花〉

スタッフ「式場内に入るタイミングは合図を出しますので、少々お待ちください」


 譲二さんがとても愛しい目でウエディングドレス姿の私を見つめる。


譲二「友梨花ちゃん…とてもきれいだよ…」

友梨花「惚れ直した?」


 ちょっと意地悪な質問だったかもしれない。

 譲二さんは少し悲しそうに微笑んだ。


譲二「ああ…。だから…ちゃんと友梨花ちゃんを花婿のところに届けないとね」

スタッフ「どうぞお入りください」

譲二「さあ、どうぞお嬢さん」


 譲二さんが腕を出してくれる。

 私はその腕に掴まった。


 式場のドアが開き、大きな祝福の拍手が起こる。


 私は譲二さんと一緒にバージンロードを歩いていく…。




 その先に待っていたのは、誇らしげに頬を染めて立つ竜蔵さんだ。



☆☆☆☆☆

譲二さんと結ばれた後…。

譲二
「こうなった以上、きちんとケジメをつけるようにする」

 譲二さんはそういってくれたけど…。お母さんとの離婚の話し合いは上手くいっていないみたいだ…。

 むしろ、前より二人は仲良くなっているように見える。

 私たちの間のことを隠すため? とも思ったけど、二人でいるときのお母さんも譲二さんも本当に楽しそう。

 もちろん、私と二人だけで過ごす時間には、譲二さんは甘く優しく私を扱ってくれる。

 そして…、ベッドの中でも…。

 思い出しただけで真っ赤になってしまう。

 それは週に一度だけのことだけど…、譲二さんに少しずついろんなことを教えてもらってる。



☆☆☆☆☆

 それから3年が経った。

 大学卒業後、私は養護教諭として働くようになった。今年は地元の高校に通っている。

 その高校は普通科で、ほとんどの教諭は男性だ。女性はほんの数人で私以外はみんな既婚者だ。

 だからなのか男性教諭みんなから優しくされている気がする。特に保健体育の八田先生は私のひとつ上なんだけど、何かと言っては保健室に現れる。

 そんな八田先生のことは嫌いではない。

 嫌いではないけど…。

 私は今、譲二さんとのことで悩んでいて、八田先生のことを考える余裕はなかった。

 譲二さんとは、この頃あまり話せていない。

 もちろん一緒に住んでいるのだから毎日顔を合わせている。

 挨拶や通り一遍の話はいつもしているけど、恋人らしいことはほとんどできていない。

 これはお母さんの職場に人が足りて、お母さんが夜勤をしなくなったためだ。

 朝は私が一番早く出るし、譲二さんも仕事が忙しいみたいで、夜は帰って来るのが遅い。

 土日はお母さんが出勤の日もあるけど、譲二さんも忙しくて土日に休めないことの方が多い。

 だから今は一緒に暮らしているのに、メールでの愛の囁きが唯一のつながりになっている。


 今も譲二さんからのメールが入った。

『大好きな友梨花ちゃん



来週の月曜日は学校行事の振替で休みだって言ってたね?

俺も休みがなんとか取れそうだから、久しぶりにデートしない?

外で待ち合わせて、夕方、いや夜まで二人でゆっくり過ごそう。

                    譲二』


譲二さんとのデート。一月半ぶりだ。

私は喜々としてOKの返信を送った。




☆☆☆☆☆

譲二さんと一緒に映画を観て、食事をして、今はホテルのベッドの上だ。


譲二「友梨花ちゃんのこと、ずっと相手にしてあげられてなくてごめんね」

友梨花「ちょっと寂しかった」

 私は譲二さんの胸にしがみついた。

譲二「こら…。そんなことしたら、また欲しくなっちゃうだろ? 帰る時間がまた遅くなってしまう…」

 譲二さんは深く何度もキスしてくれた。

譲二「だけど…、本当に俺たち、このままじゃだめだな」

友梨花「どういうこと?」

譲二「ロコと離婚しない限り、友梨花ちゃんと本当の恋人になることはできない…」

友梨花「お母さんには…切り出せないの?」

譲二「ああ…。というより、ごめん。ロコは俺たちのことを薄々知っている」

友梨花「うそ! だって、そんなそぶりは…」

譲二「最初に離婚を切り出そうとした時に言われた…『あなたたちのことなんて、全てお見通しよ!』って…」

友梨花「それじゃあ、お母さんは私たちのことを知ってるくせに知らんぷりしてるってこと?」

譲二「ああ。そして、俺の話もまともに聞いてはもらえてない…。
俺は以前ロコに『一生君を守る』って誓ってしまってるからね…。
いつもそこを突かれて何も言えなくなってしまう…」

友梨花「そんな…。それじゃ絶対にお母さんとは離婚できないんじゃ」

譲二「ごめん…。ちょっ…、友梨花ちゃん泣かないで…」

譲二さんが私を抱きしめて慰めてくれる…。

ここ最近ずっと苛まれて来た不安もあって、涙は後から後から溢れてくる…。

優しい譲二さんの腕に抱かれながら、私は激しく泣きじゃくった。



その2へ続く


☆☆☆☆☆

吉恋の結婚式の場合、新郎としての譲二さんとメンバーを祝う客としての譲二さん、二つのパターンがありますよね。

でも、この「もしもの話」のルートを考えてたら、もう一つの譲二さんのストーリーが浮かんで来たんです。
すなわち、新婦の父親としての譲二さん。もちろん義理で、ヒロインの恋人なんだけど、悲しい気持ちを抑えたまま、新郎にヒロインを手渡す父親役としての譲二さんというのがありうるな…と。

だから、時計の針を戻して、ヒロインと結ばれた後にヒロインに求婚する相手が現れたら…というところから話を作りました。


なぜ、リュウ兄かというと、他のメンバーだとヒロインと譲二さんが恋人同士だってことを遅かれ早かれ気づくと思うんですよね。
それをふまえてのストーリーでもよかったんですが、今回は二人が恋人同士というのはバレないままの展開にしてみました。
リュウ兄なら茶倉家の事情なんかお構いなしにガンガンヒロインに迫ってもらえると思うんですよね。
『ハートを守れ! 大作戦』の八田刑事をイメージしてみました。
愚直でおっちょこちょいだけど、ヒロインへの好意をストレートに出してくる男性というような。


☆☆☆☆☆

私:森田友梨花
母:茶倉宏子
その夫:茶倉
譲二
私の同僚:八田竜蔵

☆☆☆☆☆
ひとつ屋根の下・もう一つの結末~その2

〈友梨花〉

文化祭の準備に学校全体が謀殺されている。

浮かれた生徒が羽目を外さないように先生方は気を配っている。

準備中思わぬ怪我をする生徒もいるので、私も帰るのが遅くなってしまう。


竜蔵「森田先生。送っていくよ」

友梨花「大丈夫ですよ、八田先生。慣れていますから」

竜蔵「その…、なんだ。暗い夜道は危険だからな。俺にまかせとけ」


 夏場だから暗い夜道とは程遠いのに、ちょっと強引な八田先生に送られて家に帰る。


八田先生は気取りがなくて一緒にいると落ち着ける。

並んで歩くと、とても背が高いので上から声がふってくる。

(そう言えば、八田先生って譲二さんと同じくらいの身長だよね)



☆☆☆☆☆

 結局、玄関先まで送ってもらうことになった。


友梨花「ありがとうございました」

竜蔵「おう。大した手間じゃないから…。その…森田先生…、よかったら俺と…」

宏子「あら、友梨花。男の人と一緒なんて珍しいわね」

友梨花「お母さん…」


 私は八田先生を紹介した。


宏子「あらまあ、わざわざ送ってくださるなんてありがとうございます。
よかったらお茶でも飲んでいきません? 」

竜蔵「いや、俺は…その…」


 お母さんは恐縮する八田先生を強引に家の中に引き入れた。


譲二「おかえり、ロコ。遅かったね。ご飯はもうできてるよ。すぐに用意するから待ってて…。
あ、友梨花ちゃんもお帰り…。ってその人は…」


 譲二さんは八田先生を訝しげな表情でみた。


宏子「友梨花の同僚の八田先生。保健体育の先生なんですって…。
仕事が遅くなったからって、わざわざ友梨花を送ってくださったの…」


☆☆☆☆☆

 結局、4人で晩ご飯を食べることになった。



 いったいお母さんはどういうつもりなんだろう?

困惑しながらもそつなく会話をこなす譲二さん。

戸惑いながらも豪快に料理を平らげていく八田先生。

八田先生を調子に乗せて色々と先生のことを聞き出している上機嫌なお母さん。

私は、そんな三人を観察しながら黙々とご飯を食べた。


 その日から、私を送るという名目で八田先生はうちを訪れて、週に2、3回は晩ご飯を一緒に食べるようになった。



☆☆☆☆☆

 今日は土曜日。珍しくお母さんだけが仕事で、私と譲二さんは休みで家にいる。

二人で朝食の後片付けをしながらおしゃべりをしている。
 
こんな風に過ごすのも久しぶりだ。


譲二「友梨花ちゃん、コーヒーを入れるから座って待ってて」

友梨花「それじゃ、マグカップを用意するね」


 譲二さんの入れたコーヒーを前に二人で座る。どちらからともなくキスを求め合った。


譲二「ねぇ…、あの八田先生のことなんだけど…」


 意を決したように譲二さんが話を切り出した。


友梨花「気になる?」

譲二「うん…。彼は…友梨花ちゃんのことが大好きみたいだから…」

友梨花「…そうみたいだね」

譲二「…友梨花ちゃんも彼のことが好きなの?」

友梨花「嫌いじゃないよ…。元気で明るくて…。気を使わなくてもいいし。
時々意表をつくようなことを言ったりしたりして、びっくりするけど…」

譲二「…そっかぁ…。とうとう現れたか…」

友梨花「何?」

譲二「俺のライバル…」

友梨花「彼は譲二さんのライバルになんかならないよ…。だって譲二さんは特別なんだもの」

譲二「ありがとう…。でも俺は表立っては友梨花ちゃんの恋人にはなってあげられない…」

友梨花「だって…、だって譲二さんはお母さんと別れて私と一緒になってくれるんじゃ…」

譲二「ごめん。そのことだけど…」


譲二さんは苦しそうに、また言い訳を始める。

譲二さんは優しすぎるのだ。

私のことが一番好きといいながら、お母さんに冷たくすることはできない。

お母さんが私たちのことに気づいていると聞いて分かったのだけど、私の前で二人がいちゃいちゃするのもお母さんが譲二さんをうまく操って私に見せつけているんだろう。

女としての経験ではお母さんにはとても勝てない。




☆☆☆☆☆

俺:茶倉譲二
その妻
:茶倉宏子
その娘:森田友梨花
友梨花の同僚:八田竜蔵

☆☆☆☆☆
ひとつ屋根の下・もう一つの結末~その3

〈譲二〉

譲二「ただいま」

玄関を開けると男物の靴が一足脱いであった。

奥からは楽しそうなロコの笑い声が聞こえる。

またあの男が来てるんだな…。

俺は暗い気持ちでリビングに顔を出した。



あの男というのは、友梨花の勤め先の学校の先生で八田竜蔵とかいう男だ。

友梨花を送ると言う名目で我が家に入り浸っている。

あの男のことは友梨花が、というよりロコがたいそう気に入っていて、「リュウくん、リュウくん」と可愛がっている。

そりゃ気にいるよな。

初めて友梨花にできた男友達で、友梨花のことを恋人にしようとしている男なんだから…。

あいつが友梨花と付き合うようになれば、俺から友梨花を引きはがすことができる。



宏子「そうなんだ。今は体育祭の準備で大変なのね」

竜蔵「はい。特にうちのクラスは張り切ってるんで、怪我も多くって…。
それで友梨花さんにも随分とお世話になってます」

(おいおい、もう友梨花のこと、下の名前で呼んでるのかよ)



友梨花「今回は、運営のほとんどが竜蔵さんにまかされているから大変なのよね」

(えーっ、友梨花まであいつのことを名前で呼ぶようになったのか…)



黙って突っ立っている俺に気づいたロコがニコニコしながら近づいてくる。


宏子「ジョージ、お帰りなさい」

友梨花「お帰りなさい」

竜蔵「お父さん、お邪魔しています」

(その『お父さん』というの止めてくれないかな…。急に老けた気がする)


譲二「やぁ、いらっしゃい。ゆっくりして行ってね。俺はちょっと着替えてくるね」


 最後の言葉はロコに言う。

 ロコはしゃべりながら寝室まで付いて来た。

宏子「あのね、リュウくんの実家は八百屋さんなんですって。
それで、今日はたくさんお野菜を持って来てくれたのよ。
野菜の保存方法とか、料理方法とか、お野菜のことにすごく詳しいの」

譲二「そう…」

宏子「ねぇねぇ…。何怒ってるの?」

 下から覗き込んでくるロコの顔があまりにも可愛らしくて、微笑んでしまう。

譲二「怒ってなんか無いさ…。ちょっと疲れてるだけだよ…」

宏子「大丈夫? ご飯の前にお風呂にでも入ってくる?」

譲二「いや…。お腹も空いてるし、ご飯でいいよ。それより…」

 ロコを抱きしめてキスをする。

 ロコは恋人時代から16歳下の俺と付き合うために若作りしていたが、ここ数ヶ月以前より若返った気がする。

ハツラツとしてるというか…。

肌の張りも色つやも実際のところよくなってるんだよな…。

 時々抱いている俺にはわかる。

 ロコは今年51歳になるんだけど…、とてもそうは見えない。

 40代前半といっても通るだろう…。

 20代の娘と競い合っているから? …まさかね。



☆☆☆☆☆

 家では差し障りのないことしか話せないから、デートの誘いはもっぱらメールですることになる。


『今度の日曜日、久しぶりに休みがとれそうなんだ。
ロコも休みだけど、それぞれ別に外出して外でデートしない?

                                                  譲二』


『ごめんなさい。
その日はお母さんと八田先生と一緒に午後から狂言の公演に行く約束になってるの。
お母さんが招待券を三枚もらってきて、八田先生にもあげたみたいで…。
もう約束してしまったので、ごめんなさい。

                  友梨花』


返信メールを見てため息をついた。

ロコとあの男と三人か…。一応、保護者付きではあるけど…。

以前なら、俺の誘いにはスケジュールをキャンセルしてでも付き合ってくれたのに…。



その4へ続く


秘め事~その6~その9

2014-12-02 08:18:13 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルルートの譲二さんの話の続編
『それぞれの道』で譲二さんがヒロインと別れて、七年が経ち、ヒロインはハルくんと結婚した。
☆☆☆☆☆

秘め事~その1~その5の続き



秘め事~その6

〈譲二〉


 美緒が帰る前に、いつものようにコーヒーを出した。

美緒「ありがとう。昔から譲二さんのコーヒーが好き。」

譲二「美緒ちゃん…。こういうことは今日で最後にしよう…。」

美緒「え?」

譲二「もちろん、ただコーヒーを飲みに来てくれるのは構わないし、ただのおしゃべりでも相談事でも俺は喜んで相手になる。
でも、もうこれからは二階に上がるのはやめよう…。」

美緒「…」

譲二「俺は美緒ちゃんのことを一生好きでいると言ったろ?」

百花「譲二さん…」

譲二「だから、美緒ちゃんと俺はそういう関係でいる必要はないんだ。
去年、7年ぶりに美緒ちゃんに会った時、俺は一目で美緒ちゃんの虜になった。
だから、今でも…そしてずっとこれからも俺は美緒ちゃんのものだと思ってくれていいよ。」

美緒「それじゃあ、譲二さんはもう誰とも結婚しないの?」

譲二「ああ、恋人も作らない。信じてくれていい。
だから…、体の関係は解消しよう。」

 美緒は俺にしがみついた。

美緒「でも、それだと私は譲二さんを縛り付けるだけになるよ…」

譲二「美緒ちゃんが縛り付けるんじゃないよ…。
俺がそうしたいだけ…。
自分の気持ちに素直になったら、美緒ちゃんを好きでいるしかない。
今まで何年もその気持ちを押さえ込もうとしてきたけど、それは不自然なことだとわかったから」

美緒「私はハル君の妻のままなのに?」

譲二「ああ、他人の妻を好きになるのは人の道に外れているかもしれないけど、思うだけなら許されると思う。
でも、今までみたいに体の関係を続けるのは良くないよ…。
美緒ちゃんは俺に『抱いて欲しい』と言ってたけど、きっと本心からじゃなかったと思うんだ」

美緒「本当にそう思ってたんだよ」

譲二「思っていたかもしれないけど、それだとずっとハルを裏切って苦しいままだよ。
俺に抱かれるのは、罰のつもりじゃなかったの?」

美緒「罰って?」

譲二「俺のこともハルのことも思い切ることができなくて、ズルズルとどっちも裏切って来たことへの罰…。
これは責めているんじゃないよ。
美緒ちゃんはハルの妻なのに俺に抱かれることで、わざと自分を苦しめているんじゃないか?」

美緒「譲二さんに抱かれることが罰だなんて…」

譲二「だって、このままこんな関係を続けていたら、美緒ちゃんが辛いだけだろ?」

美緒「…」

譲二「俺は美緒ちゃんが好きだから、何度でも抱きたいよ。
でも、美緒ちゃんが苦しむのを見るのは嫌だ。
美緒ちゃんには幸せになって欲しいんだ」

美緒「譲二さん…」


 俺たちはしっかりと抱き合った。




 チャイムと同時にドアが開き、数人の客がドヤドヤと入って来た。




 俺たちは慌てて離れたが、既に遅かった。



 俺と美緒が抱き合っている姿はしっかりみられたし、それを目撃したのは、一護と剛史…、それに春樹だった。



その7につづく

☆☆☆☆☆

秘め事~その7

〈春樹〉

 午後、仕事が一段落した頃に一護からメールが来た。

『やあ、元気か?

 最近、会えてないな。
今日たまたまタケと休みが重なって、一緒に過ごしているんだが、
お前はどうだ? 
仕事が早く切り上げられるなら夕方からでも会わないか?
夕方からならリュウ兄と理人も来られると言っていたぞ。
                     一護』


 大きな仕事が一段落していて、部下に任せてもよい仕事ばかりだったので、直ぐに一護に電話した。

春樹「やあ、メールありがとう。」

一護「ああ、元気か?」

春樹「ああ、今日はもう仕事を終わりにしてもいいから、すぐ合流できるよ。
どうすればいい?」

一護「今タケとも話してたんだけど、久しぶりにクロフネに行かないか?
おまえ全然行ってないだろう。」

春樹「…先週くらいに一度行ったよ。
譲二さんとしか会わなかったけどね」

一護「そうか。ま、俺たちは集まれてもお前がいないことが多いから、クロフネにいくぞ。
それでいま事務所なのか?」

春樹「ああ、ちょっと片付けたら出られるよ」

一護「それじゃあ、俺たちが事務所に寄るよ。
それで、一緒にクロフネに行こう」

春樹「わかった。じゃあ待ってる」

 美緒にも電話してみたが、留守電になっていた。

 そこで、『これから、みんなとクロフネに集まることになった』とだけメールして一護たちを待った。


☆☆☆☆☆

剛史「理人は直接クロフネに来るそうだ。
リュウ兄も学校が終わり次第、クロフネに来てくれるそうだ。」

春樹「本当に久しぶりだな。」

一護「美緒は来るのか?」

春樹「留守電だったから、クロフネに来るようメールだけしたよ。」

 そんな話をしながら、3人でクロフネに入った。



 そこには譲二さんに抱きしめられる美緒の姿があった。

 2人は慌てて離れたが、俺の目には残像のように抱き合う2人の姿が残った。

春樹「何してるんだ!!」

 俺は叫んで駆け寄ろうとしたが、一護とタケに両脇から腕を捕らえられた。


 美緒は顔を伏せて青ざめている。

 譲二さんは何事もなかったかのような表情で俺たちに「いらっしゃい」と言った。

 腕を振りほどこうと暴れる俺を押さえつけながら、2人は口々にいう。

一護「落ち着け、暴れるんじゃない。」

剛史「しっかりしろ。まずはマスターの話を聞こうぜ」

春樹「放せ! これが落ち着いていられるか。美緒は俺の妻なんだよ!」


 俺が叫んだ時、チャイムがなって、理人が入って来た。


理人「一体なんの騒ぎなの?」




その8につづく

☆☆☆☆☆

秘め事~その8

〈春樹〉

 俺はみんなになだめられて、ひとまずソファーに座った。

 リュウ兄も来て、その場の異様な雰囲気に盛んに理人を問いただしている。

 譲二さんはやはり何事もなかったかのように、みんなにコーヒーを出している。

 そんな譲二さんを俺は心底憎いと思った。

理人「それで、マスターが美緒ちゃんを抱きしめてたの?」

 みんな気まずそうに黙っている。

竜蔵「ジョージ、そんな人の道に外れたことをしたのか?」

理人「本当のとこどうなの?
 やっぱり抱きしめていたわけ? マスター?」

譲二「抱きしめていたのは…、本当だ」

 俺が立ち上がって殴り掛かろうとするのを一護と剛史が両脇から座らせる。

譲二「別に変な下心で抱き合っていたわけじゃなく、美緒ちゃんを慰めていただけだ」

春樹「単に慰めているようには見えなかった」

 俺は譲二さんを睨みつける。

譲二「ハル、この間来た時にも言ったけど、俺は時々美緒ちゃんの愚痴を聞いてあげている。
ただ話を聞くだけだけど、この頃美緒ちゃんは精神的に不安定みたいで、涙もろくなっているみたいだ。
今日も泣き出したので、背中を叩いて慰めていただけだ。」

春樹「美緒、そうなのか?」

 美緒は青ざめたままうつむいて、小さな声で「うん」と言った。

 「なんだそうだったのか」とみんな口々に言う。

 本当にそうだとみんな思ったわけではないだろう。

 俺たちの仲が気まずくなるのをいぶかって、慰めていただけということにしたいだけだ。

 俺はその場ではそれ以上問いただすことができなかった。

 ぎこちない笑みを浮かべ、みんなの話に加わった。

 美緒はそっと俺の隣に座って、時々心配そうに俺を見つめている。

 俺は美緒を安心させようと微笑んだ。


 3人の中で譲二さんだけは、まるで部外者のように何事もなかったかのような表情をしていた。

 譲二さんはいつも穏やかで落ち着いているが、今も動揺などしていないかのような顔をしているのは憎たらしかった。

その9につづく

☆☆☆☆☆

秘め事~その9

〈春樹〉

 俺が美緒と譲二さんの仲を疑うようになったのは、譲二さんがクロフネに帰って来てからだ。



 結婚前に一度美緒と喧嘩して、美緒が家出をした時にクロフネに泊まったことがあった。

 元恋人の譲二さんと2人きりということで気を揉んだが、美緒は何もなかったと言っていた。

 その後の美緒の様子も特に変わったことはなかったから、何もなかったのだろう。



 結婚式には譲二さんも来てくれた。

 だから、昔のことは昔のこととして、俺たちの結婚を祝福してくれているのだろうと思っていた。



 結婚後しばらくしてから、美緒の様子がおかしくなった。

 ひどく塞いでいたり、急に明るく朗らかになったり…。

 それは、2週間ごとくらいの周期で変わっていた。

 そして、その変わり目の時にどうもクロフネに行っているのではないかと疑うようになった。

 美緒がクロフネから出て来るのを見たという人もいたし、先週美緒自身の口から、「昼間時々クロフネを訪ねている」という話も聞いた。

 もちろん、なじみの喫茶店に行くくらい、好きにさせてもいいはずだ。

 理性はそう言っているが、感情はついていかない。

 クロフネには譲二さんがいる。

 しかも午後の客のいない時間帯だ。

 譲二さんは美緒の元恋人で、しかも俺のことを好きだった美緒を無理やり自分のものにしてしまった前科もある。

 何より、俺自身が当時恋人同士だった譲二さんから美緒を寝取ったという負い目があって、俺の心は穏やかではいられなかった。


〈譲二〉
 春樹たち3人に美緒と抱き合った姿を目撃されてしまった。

 ベッドで美緒を抱いている姿を見られた訳ではないのが、不幸中の幸いだろう。

 しかし、「もうこんなことはやめよう」と話し合った矢先だったのに…。

 そして、抱き合ったと言っても、それは恋人としてではなく、本当に美緒を慰めるためだったのに…。



 俺はみんなの前でしらを切り通した。

 美緒は青ざめているので、白状しているようなものだ。

 俺だけでもなんとか申し開きをしておかないと…。

 俺はともかくハルとずっと暮らして行く美緒が辛いだろう。

 動悸は激しかったが顔には出さずに済んだ。

 その前はともかく、その時は本当に慰めていただけだから嘘をついた訳ではない。

 みんなそれで一応矛を収めてくれた。

 もちろん内心は分からないし、ハルが納得していないのは顔を見ればわかる。

 早く1人になりたかったが、その夜は遅くまでみんなで盛り上がった。

 ほとんど貸し切り状態で、俺は厨房と店を何度も行き来した。



☆☆☆☆☆


 みんなを送り出し、やっと店を閉める。

 シャワーを浴び自分の部屋に戻った。



 シーツの皺が昼間の彼女との情事を思い出させた。

 疲れきっていた俺は、そのままベッドに潜り込んだ。

 彼女の匂いが残っていないか嗅いでみる。

(未練たらしいな、俺は…。自分から止めようと言ったくせに…)



 もう美緒はクロフネに訪ねて来ることもないかもしれない…。

 今日のようなことがあったら、いくらなんでもハルが許さないだろう。



『秘め事』おわり


続きは『焦燥』~その1~その4です。

 


今日から12月♪

2014-12-01 18:57:59 | ゲーム

今日から12月♪。乙女ゲームもそれぞれクリスマスイベントが始まってる。

『100日間のプリンセス』と『ナイトメアハーレム』は「心を鬼にして、なるべく課金しない」と決心してたのに(ノ◇≦。)…中途半端に課金して、どちらもイベント前半のカレは攻略済みになった。(´0ノ`*)

それぞれご褒美のアイテムももらった。


『ナイトメアハーレム』

本当はこのイベント用の目もあるけど、この目がお気に入りなので。


よっぽどこれ以上気に入ったものが手に入らない限り、目はこのままでいくかな。
イベント用のセットアイテムを買ってやったんだけど、中間ランキングが10位になってて驚いた。ヽ(*'0'*)ツ
『ナイトメアハーレム』は参加者自体まだ少ないのかな?

 おまけ、お気に入りの雪の女王風アバター。

これも目はあるのだけど、お気に入りの方の目を使ってます。


さて、『ボーイフレンド(仮)』も昨日からクリスマスイベントが始まった。
今度は次々襲いかかってくるナンパ男を退治するイベントでこれは私が一番好きなイベントだ。v(^-^)v

これはナンパ三兄弟の三男三郎くん。

優男で細身だ。中ボスの強と烈はムキムキ男なんだけどね。



この子はけっこうお気に入りでボーイフレンドの中の嫌いなカレたちよりはよっぽど好き。
でも、バンバン倒すけどね。

 

こちらは運動会イベントの時ので、この顔はなかなかイケてるよね?


この時のイベント後の三郎くんの一言。

「お姉さんと一緒に走れたのが嬉しかったっす!」(りっちゃんと同じでまだ高1なんだよね)

可愛いでしょ?



イベントの初期はご褒美で倒すためのアイテムも次々出てくるし、レベルが上がって強くなってるので、中ボスの強(つよし)くんも割と難なく倒せる。

強くんもだんだん強くなるのでアイテムは必須だけどね。


このイベントの面白いところは強い相手で手に負えない時にはSOSが出せること。


私はレベルがまあまあ高くなってそれなりに強いので、序盤のSOSは大して苦労せずに倒せます。
だから、自分のナンパ男だけでなく、他人のナンパ男でもMVPが取れるのでご褒美アイテムも稼げる。
そしてそれを使って新たなナンパ男を倒して…と回して行くんだよね。

しかし、後半戦になるとラスボスの「ナンパ神 超」が涙が出るくらい強くて、最終的には数人で協力しつつ、アイテムをこれでもかというくらいつぎ込んでやっと勝てるかどうかというありさま。

だから、無課金の私は後半戦では自分のナンパ男は相手にせず、他人のSOSでレベルの低い超を選び、手持ちのアイテムと相談しながらやってます。

SOS出しても強い人にやっつけてもらえないと、ナンパ男は逃亡しちゃうからね。


さて、エデンシェイドの方は少しずつできることも増え、それなりに頑張ってる。

目標だったノルツという町もみつけ、温泉にも入った。(もちろん男湯♪)


レベルの高いベテランの冒険者の方々が物やらアドバイスやらくれるので助かってます。

それでも先月は魔物に四回も殺されちゃったけどねo(TωT )。
最後の一回なんか万全な回復魔法を装備してたのに、やられてしまった…。


てな訳で、今月もお話を書く時間ないじゃん…。

 

と、時間のせいにしておこう。


秘め事~その1~その5

2014-12-01 09:20:28 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルルートの譲二さんの話の続編
『それぞれの道』で譲二さんがヒロインと別れて、七年が経ち、ヒロインはハルくんと結婚した。
☆☆☆☆☆

『Je te veux (おまえが欲しい)~その2』の続き



秘め事~その1

〈譲二〉
 
 午後の時間、いつものように客足が途絶えた。

 洗った食器を拭いて片付けていると、チャイムがなった。

譲二「いらっしゃい」

 声をかけながら出て行くと、思い詰めたような美緒が立っている。

譲二「…どうしたの?」

 彼女が何をしに来たのか、分かっていて敢えて聞く。

美緒「…」

 美緒は無言で俺に抱きついた。

 彼女を抱きしめて、囁く。

譲二「また…、俺に抱いて欲しいの?」

 美緒がこっくりとうなづく。

譲二「じゃあ、俺の部屋で待っていて。closeの札をかけてくるから…」

 美緒は「うん」と小さな声で返事をすると二階に上がって行った。
 
 半年前に、美緒は春樹と結婚式をあげた。

 俺は結婚式にはでないつもりだったが、美緒に「でないとみんなに怪しまれる」と言われて、仕方なく出席した。

 ウエディングドレスを着た美緒はとても奇麗で輝いていた。

 春樹と並んだ姿はお似合いで、俺の胸はえぐられるように痛んだ。

 彼女は挨拶以外では俺に見向きもしなかった。

 その夜、美緒との永遠の別れを記念して、酒を浴びるように飲んだ。


 しかし…、






 美緒は結婚後、市の福祉課を退職した。

 家に入りたいと言うことらしかった。

 もちろん、春樹の稼ぎなら美緒1人ぐらい十分に養えるし、別に不自然なわけではなかった。

 その新婚間もない頃から、美緒は月に一、二度、俺の所を訪ねて来るようになった。

 最初は単にコーヒーを飲みがてら、話をしに来ているのだと思った。

 しかし、今日のように客が誰も入っていない時には、俺にしがみついて「抱いて欲しい」という。

 以前、まだ2人が結婚していない時に「美緒が抱いて欲しいなら、俺はいつでも抱いてあげる」と言ったことが確かにある。

 しかし、今は新妻。さすがの俺も他人の妻を抱く気はなかった。

 だが…、惚れた女に「抱いてくれ」と言われて拒める男はいないだろう。

 美緒が訪ねてくると、小一時間ほど濃密な時を過ごすようになった。



☆☆☆☆☆

 俺はcloseの札を架けると急いで2階にあがった。

 美緒は俺のベットに腰掛けて、俺を待っていてくれた。

譲二「美緒、どうしたの?」

 俺が抱きしめると美緒は俺にしがみついた。

 唇が重なり、キスは激しくなる。

 何も言わなくても、美緒は俺を求めているのだとわかる。

 美緒の服を脱がすと丹念に彼女を愛撫した。

 こうして美緒を抱いていると、昔のままで、時が経っていないかのように錯覚してくる。

 指で彼女をいかせると、俺は聞いた。

譲二「俺が欲しい?」

美緒「…うん」



 彼女の中に分け入って一つになる。

 俺はうわ言のように「愛してるよ、美緒」と何度も囁いた。

 美緒も「譲二さん」と応えてくれた。

 押し寄せる快感の中で、いつしか罪悪感も忘れていた。


その2へつづく

☆☆☆☆☆

秘め事~その2

〈譲二〉


 息を整えながら、美緒を抱きしめて優しく口づける。

譲二「…こんなことになるんだったら、どんなことをしてもハルから奪っておくんだった。」

美緒「そうしたら、私は時々ハル君のところへ行っていたかもしれないよ」

譲二「…それでもいい。美緒を自分のものにできるのなら…。
こんな風に泥棒猫みたいに美緒を抱くんじゃなく…」

 美緒は寂しそうに笑った。

譲二「ねえ、前にも聞いたけど…、ハルとうまくいっていないの?」

美緒「そんなことないよ…。ハル君は忙しいけど、ちゃんとお休みもとって私のことも考えてくれているし…。相変わらず優しいし…」

譲二「それならなぜ? 毎回美緒を抱く俺に言えた義理じゃないけど…。
なぜ、俺のところにくるの?」

美緒「どうしても、時々体が疼いて、譲二さんが欲しくなるの…」

譲二「…それは…。光栄ですって言うべきなのかな…」

 時計を見る。そろそろ客が戻ってくる時間だ。

譲二「シャワーを浴びておいで。
コーヒーを入れてあげるから、飲んでから帰るといいよ」

 美緒の額にそっと口づけた。

美緒「コーヒーは飲まなくてもいいよ。」

譲二「クロフネに来てコーヒーも飲まないなんて不自然だろ?
 美緒はクロフネに来てコーヒーを飲みながら、俺とおしゃべりをしたんだ。」

美緒「え?」

譲二「ハルには、時々クロフネに来て俺とおしゃべりをしていると話した方がいい。
ここに出入りしているところを誰かに見られているかもしれないし、人間、なるべく嘘はつかない方が気持ちが楽だよ。
わかった?」

美緒「…うん」

譲二「俺に抱かれたことについてはただ黙っているだけだ…。
嘘をつくわけじゃない。」

 美緒はじっと俺を見つめた。

美緒「譲二さん。ありがとう」

譲二「俺は美緒を抱くのは一向に構わないけど…。
美緒の気持ちが落ち着いたら、ただのおしゃべりだけで済むようになるかもしれないよ…。ね?」

 美緒は涙を拭いてニッコリ微笑むとシャワーを浴びに降りて行った。

 俺は急いで服を着て、店に降りる。

 closeの札を取り、美緒のためにコーヒーを準備する。



 間もなく、少し落ち着きを取り戻したらしい美緒が現れた。

 それを見計らってカウンターにコーヒーを出した。

美緒「ありがとう、譲二さん」

譲二「ちょっとは落ち着いた?」

美緒「ええ。」

譲二「美緒ちゃん、本当にどうしたの? 相談ごとがあるなら、俺に話して?」

美緒「…」

譲二「美緒ちゃんが俺に求めているのは体だけ、というなら別だけど…」

美緒「そういうわけじゃないの。ただ、自分の気持ちがちゃんと整理できてなくて…。」

 美緒は職場を退職したわけを話してくれた。

 同僚とのトラブル。

 結婚の準備とも重なり、かなり心労が耐えなかったようだ。

美緒「譲二さんには本当に悪いと思ってる。
今まで散々振り回して、今もまた迷惑ばかりかけて…」

譲二「そんなの気にすることないよ。
俺は今も美緒ちゃんのことが好きなんだから。
好きな人のためなら、なんでもできる。
って、俺がこんなことばっかり言ってるから、美緒ちゃんが不安になるのかな?」

美緒「ううん。ありがとう。今日はもう帰るね。
コーヒーごちそうさま。」

譲二「あ、おごりだから、代金はいいよ」

美緒「でも」

譲二「いいから。また、来て。今度はおしゃべりで」

 美緒は少し微笑んで、出て行った。


 俺は大きくため息をついた。

 美緒が出て行った後に、次々と客が入り出し、深く考えることができなかった。


☆☆☆☆☆


 夜、店を閉めてから、シャワーを浴び、自分の部屋に戻った。

 体が少しけだるい。俺ももう年なのかもしれない。

 それにしても、美緒はどうしたのだろう?

 もしかして、美緒は心を病んでいるのだろうか?

 長年、俺とハルの間で取り合いになって、翻弄されて、俺にもハルにも罪悪感を感じているからだろうか?

 だとしたら、美緒がああなった責任の一旦は俺にある。

 というより、元々ハルを好きな美緒を無理やり自分のものにした俺の責任が一番重いのだろう。


その3につづく

☆☆☆☆☆

秘め事~その3

〈美緒〉
 ハル君との結婚は、ハル君と付き合い始めてからの7年間ずっと望んで来たことだった。



 ハル君にロマンティックにプロポーズされ、それぞれの両親にも正式に挨拶し、みんなに祝福されて結婚したはずだった。

 結婚式には譲二さんさえ出席して祝福してくれた。

 嫌がっていたけど、私が少し脅したら出席してくれたのだ。

 譲二さんは元恋人だけど、吉祥寺での私の親代わりでもある。

 その譲二さんにはどうしても出席して欲しかったのだ。




 結婚前、一度だけ譲二さんに抱かれたことがある。

 ハル君とクライアントのことで喧嘩して家出した夜、クロフネに泊めてもらった時のことだ…。

 その時の私は精神的に不安定で、どうしても譲二さんに慰めてもらいたかった。

 独りになるのが怖くて怖くて、出来れば昔のように譲二さんに抱きしめてもらったまま眠りたかった。

 でも、元恋人の男女が2人っきりという状況では、ただ抱きしめ合うだけでは終わらなかった。

 「とんでもないことをした」と後悔して動揺する私に、譲二さんは「今夜のことは2人だけの秘密にしよう」と言ってくれた。

「ぐっすり眠って明日の朝には全て忘れなさい」とも。

 翌朝、迎えに来たハル君と仲直りして、譲二さんとはそれだけになった。

 だから、私たちが秘密を守れば、何も心配することはないはずだった。




 結婚するにあたって、私は仕事を辞めた。

 みんな「もったいない」と言ってくれたし、私もやりがいのある仕事は続けたいと思っていた。

 しかし、ハル君にプロポーズされる少し前から、職場の同僚と些細なことがきっかけでトラブルになり、それは感情のもつれから修復不可能なものになっていた。

 私の精神が不安定なのはその職場でのトラブルにも一因があった。

 結婚式の準備と職場でのトラブルに疲れ果てた私は、市役所を退職した。




 結婚後しばらくは幸せで充実した日々を送っていた。

 しかし、忙しいハル君を仕事に送り出し、日中独りで過ごしていると、だんだんいたたまれなくなって来た。

 そして、あの譲二さんとの一度だけの過ちが頭の中にもたげて来るようになった。

 譲二さんは私の初めての人で、3年間愛されて来たから、譲二さんのやり方が私には一番しっくりくるのだった。

 心はハル君のことが一番好きだし、恋人としての期間もいつの間にか譲二さんより長くなっていたのに、久しぶりの譲二さんとの出来事が私の体に火をつけてしまったのだ。

 結婚後、初めてフラフラとクロフネに行ったとき、譲二さんはコーヒーを奢ってくれて、たわいのないおしゃべりをした。

 その時も譲二さんに抱いて欲しいと思ったが、店には二組くらいのお客さんがいて、そんなことは言い出せなかった。

 それでも、譲二さんの笑顔をみて、声を聞いたことで、私の気持ちは安定し、その後半月くらいは平穏に過ごした。



 そして、また気持ちが塞いでイライラしたとき、クロフネにいってみた。



 その日はたまたま、お客さんは誰もいなかった。

 コーヒーを飲み、おしゃべりをして…。

 ふと会話が途切れた。

 譲二さんと見つめ合う。

 その時、なぜか私の目からは涙が静かに溢れ出た。

 驚いた譲二さんは私の手を握ってくれた。

 それでも泣き止まない私を慰めようと抱きしめてくれて…。

 その後は譲二さんの部屋で愛し合った。

 そして、それからはひと月に一、二度、クロフネに客足が途絶える時間帯に訪ねては譲二さんに抱いてもらうようになった。

 譲二さんに抱いてもらった後は気分が高揚し、しばらくは朗らかに過ごすことができた。

 しかし、日が経つにつれまた気持ちが塞いで…ということを繰り返していた。


その4につづく

☆☆☆☆☆

秘め事~その4

〈譲二〉


 美緒を抱いた数日後の夜、そろそろ店を閉めようと準備していると、ハルが店にやってきた。

 俺は努めて平静にハルを迎えた。

春樹「こんばんは、譲二さん」

譲二「やあ、ハル、久しぶりだね。結婚式以来じゃないか?」

春樹「そうですね…」

譲二「何を飲む?」

春樹「じゃあ、コーヒーを」

 美緒のことを聞きたいと思ったが、下手な言い方をするとやぶ蛇になりそうなので、違う話題をふった。

譲二「仕事の方はうまく行っている?」

春樹「ええ、クライアントも増えましたし、忙しくなってきたので、事務所に人も増やしました。」

 やはり俺は耐えきれずに美緒のことを聞いた。

譲二「そんなに忙しかったら、美緒ちゃんは寂しがってるんじゃないの?」

春樹「美緒のことはいつも気をつけるようにしてます。
昼も時間が取れれば、家に帰って食べるようにしてますし。」

春樹「それより、譲二さん。美緒が時々クロフネにお邪魔しているようですね。」

 俺はあえて、春樹の目をまっすぐ見つめて言った。

譲二「ああ、月に一、二度くらいかな。昼間に来てくれてるよ」

春樹「この間、美緒が自分から譲二さんを時々訪ねていることを話してくれました。」

譲二「色々と愚痴を聞いて欲しいらしいね。
仕事を辞めたのも、職場でのトラブルが原因だと言っていた。
本当はハルにもっと話を聞いて欲しいんじゃないのか?」

春樹「美緒の話は出来るだけ聞くようにしていますよ。
それより…」

春樹「譲二さんは美緒のことをどう思っているんですか?」

譲二「好きだよ」

春樹「!!」

譲二「といっても、今は妹のように思っているんだけどね。」

 俺は、少しだけ嘘をついた。

春樹「恋愛感情はもうないと?」

譲二「ああ。俺たちが別れて、もう8年になるんだよ。
お互いもう気持ちの整理はついてるさ」

春樹「譲二さん。譲二さんと美緒の関係は未だに続いているんじゃないですか?」

譲二「なんでそう思うの?」

春樹「ただ単に俺の勘です」

譲二「そんなこと疑ったら、美緒ちゃんがかわいそうだろ?」

譲二「美緒ちゃんは本当に一途にハルのことを思っているよ。
それは昔から変わらない…」

春樹「譲二さんは…、そんな美緒を自分のものにしたわけですか?」

 一瞬、ハルが言っているのは今のことかと思い動揺した。

 しかし、すぐに昔のことを言っているのだと気がついた。

譲二「ああ、そうだ。
その頃は俺も美緒ちゃんのことが大好きで、どうしてもハルより先に手に入れたいと思った。」

春樹「譲二さんが美緒との交際宣言をして、美緒が俺に別れを告げた時、美緒はすでに譲二さんとは肉体関係があるようなことをほのめかせました。
その時には美緒に手を出していたんですね。」

譲二「ああ。あれよりずっと前にね」

春樹「美緒が何かを悩んでいるように見えた時には既に…ということですか」

譲二「そうだろうね」

春樹「…」

 ハルが心底俺のことを憎いと思っているのが伝わった。

譲二「俺を殴ってもいいぞ。…それで気が済むなら」

春樹「…いいえ。やめときます。
何年も休んで体が鈍っているとはいえ、下手をすると譲二さんを病院送りにしそうですから…」

譲二「なら…。安心した」

 ハルはコーヒーを飲み干すと、

春樹「ごちそうさま…。」

と言って、代金を置くと立ち上がった。

 その後ろ姿に声をかける。

譲二「美緒ちゃんは…、ハルのことが一番好きだし、誰よりも大切に思っている。
昔から今までそれは変わらない。
それを分かってあげて欲しい」

 ハルは後ろを向いたまま答えた。

春樹「それは…言われなくても知っていますよ。」


 そして、そのまま立ち去った。




 春樹は俺を牽制に来たのだと、よくわかっていた。

 今の俺たちの間のことは何があってもしらを切り通さなければならない。

 美緒を守るためにも。

 そして、そのためには美緒が『抱いてくれ』と来ても追い返すのが一番だと分かっていた。

 しかし、いざ美緒が俺のところに来ると、彼女の望み通りに抱いてしまう俺がいる…。


 


 



 いや、「彼女の」ではなく、「俺の」望み通りに…だな…。



その5につづく

 

 

 


☆☆☆☆☆

 


ハル君も大人の男になり、こんな譲二さんとのやり取りが、これ以降も時々出てくる。
2人の緊迫した男同士のやり取り、自分で書きながら中々好きなんだよね。
ハル君は色々経験してピュアなだけの男では無くなり、譲二さんは自信満々に相手しているようで、内心は焦ってるというような…。
2人のやり取りもお話が進むに従って変わっていくので、そこにも注目してもらえるとうれしい。

 

 ☆☆☆☆☆

秘め事~その5

〈譲二〉


 美緒がクロフネを訪ねて来ている。

 行為の後、彼女の体を優しく撫でていた。

美緒「私は、こうやって未だに譲二さんに愛されていることを確認しているんだと思う。」

譲二「え?」

美緒「ハル君と結婚した今でも、譲二さんを永遠に自分のものにして置きたいんだと思うの。」

譲二「俺は美緒を抱かなくても、ずっと美緒を愛してるよ。
それはきっと一生変わらない…」

美緒「でも、ずっと会わないままでいたら、その気持ちは薄らいで、私のことも諦めようとしたでしょ?」

譲二「そんなこと…ないよ」

 そう言いながらも、明里のことを思い出した。

 失恋して…、何年もかかったが結局明里のことは古い友人として心の中で整理することができた。

美緒「私は…いつか譲二さんが私を諦めて、別な人のものになってしまうのが耐えられないのだと思う。
自分はハル君と結婚したくせにね…。」

譲二「それは…もしかして俺に対する復讐なのかな?」

美緒「え?」

譲二「この間、夜にハルがクロフネに来たんだ…」

美緒「ハル君が…!」

譲二「それで、色々話していて、その時にハルは、ハルのことを一途に思っていた美緒を、俺が無理やり自分のものにしたことを責めて、俺を許せないみたいだった。」

美緒「…」

譲二「美緒もやっぱり同じなんじゃないか? 
あの時俺が手を出さなければ、美緒の『初めての人』はキスもセックスもハルだったろ?」

美緒「譲二さんに復讐したいだなんて、そんなこと思うわけないよ…。
だって、譲二さんのことも大好きなんだもの。」

譲二「俺はね、美緒を責めているわけじゃないんだ。
これが美緒の復讐だとしても、俺は甘んじて受け入れる。
一生美緒の虜のままでもいいと思ってる。」

美緒「譲二さん…」

譲二「それくらいひどいことを美緒にしたんだろ?
俺は…」

美緒「そんなことない…」

 美緒が俺にしがみついて来た。

譲二「そんなこと…あるよ…。
そうじゃなきゃハルのことが大好きな美緒が俺に『抱いてくれ』なんて言うわけないじゃないか」

 胸にしがみつく美緒を抱きしめ、…その日俺はもう一度、美緒を抱いた。



秘め事~その6~その9につづく