愛はどこへ I'll Be There

フィンガー５のファーストアルバムは絶品だ。

１２曲中、ほとんどがジャクソン５のカヴァーだけど
甲乙つけがたいほど、というか
カヴァーというよりは
完全にフィンガー５の楽曲みたいに仕上がってる気がする。

変声期直後の三男正男氏の声は儚げで優しく、
バトンタッチしてメインボーカルになった四男晃氏の声は伸びやかで幅が広い。

その中で
『I'll Be There』をカヴァーした『愛はどこへ』というのがある。

愛はどこへ I'll Be There ／フィンガー５


小学６年生と中学３年生の歌唱と思うと恐ろしいくらいに美味すぎる。

あ

上手すぎる。

当時私は中学１年生だった。夜中にヘッドフォンのボリュームを大きく大きく上げて
耳に押し付けて、目を閉じて、奥の奥の音まで拾って聴いた。
何度もリピートして怖い顔になるくらい真剣に聴いた。

テクニクスの割とマニアックなチューナーを
素人ながらに配線して使っていた当時の私のオーディオ。

スピーカーは縦１ｍくらいの超ドデカサイズが２本。
四畳半のアパートで聴くにはあまりにも近所迷惑な機械。
だからヘッドフォンで思いっきり聴いた。

私は音楽の編集技術的な知識は何ひとつ持ち合わせていないけど
スタジオ録音で、１９７０年代で、ここまできれいな音を響かせるのは
大人になった今、手を合わせてしまうくらい感動する。

技術で音を飾ることは、今でこそ容易なことだと思うけど
あの頃の作品としてこんなに音が深くて３Ｄなのはすごいと思う。

目を開ければ目の前で晃くんが歌っているのではないかと思えるような
臨場感というか存在感というかすぐ近くに居てる感。

ＣＤではなくＬＰだったわけで、アナログなのに
聴きながらそのときに感じたままを表現すると
暗闇に色とりどりの大小の星がキラキラと降ってくる感じ。

うーん…

今ＣＤで聴くのもいいけど
当時のＬＰに針を落としたときのジリジリ音や
アナログな感じのステレオ感はもう蘇らないのだろうか…。