■【あたりまえ経営のきょうか書】 1-01 原点に戻って”経営”とは何かを見直す
■■ 1 経営トップは、このようにして変身せよ
リーマンショックやコロナショックにより、多くの経営者・管理職・ビジネスパーソンが自信をなくしてしまっています。一方で、過去の成功体験から、時代の変化に気づかずに、従来の延長線上で事業を続けている人達もいます。
激動の時代に、不況感に苛まされるのではなく、「不況」が「普況」、すなわち不況期でも健全経営ができる企業体力を持つことが、今日、求められる発想法です。すなわち、「不況が、普況で、普況を富況にする」のが、経営者の役割であり、それを支えるのが管理職や、その下で働く人達の成すべきことだと考えます。
1970年代から経営コンサルタントという職業を通して、感じ、学び、コンサルティングしてきましたので、それをご紹介します。読者の皆様に、それを感じ取っていただけますと幸いです。
◆ 1-01 原点に戻って”経営”とは何かを見直す
私事で恐縮ですが、私がまだ経営コンサルタントとして尻が青い時代のことです。
顧問先の社長さんが、「経営とはなんでしょうね」と、私に問うているのか、独り言を言っているのかわかりませんでしたが、つぶやきました。
実は、経営コンサルタントでありながら、私は「経営とは何か」ということを考えてみたこともありませんでした。
その社長さんは、日本を代表するトップ大学を卒業していますので、求めているのは、教科書的な解答ではないことは自明の理です。
これを契機に、「経営とは何か」を模索し始めました。しかし、机上で考えますと、経営書に書かれているような教科書的な解答しか出てこないのです。
一方で、コンサルティング業務は、毎日、めまぐるしく新しい課題と共に襲ってきていましたので、落ち着いて考える時間もなかなかとれず、時間だけが経過したように思えました。
あるクライアントで、私のコンサルティングに基づく、営業パーソンの努力が結実し始め、売上高は、それなりに増加してきました。
売上の増加には一所懸命に取り組みました。そかし、そればかりに気をとられ、経費管理まで目が届かなかったのです。
経費管理という視点がおろそかであったと反省しました。ところが、経費は、それほど増加しているわけではなく、営業利益高も増加し、利益率も改善されてきているのです。
それにもかかわらず、資金繰りの苦しさは続いていました。新米コンサルタントとしては、その原因がわかりませんでした。
当時は、キャッシュフロー計算書という概念がまだありませんでしたが、運転資金という観点で資金の流れを見て、ようやく、原因が「代金回収率の悪さ」にあることに気がついたのです。今から考えますと、赤面どころか、経営コンサルタントとして、恥ずかしくて公道を歩けない思いがします。
ようやく、「経営資源により、経営の結果が大きく変わる」という、あたり前のことが経営コンサルタントとしてわかっていなかったのです。
代金回収に力を入れ始めたら、数か月も経たないうちに資金繰りが楽になってきました。
資金繰りが楽になってきますと、金融機関からの返済も楽になり、新たな借り入れも容易になってきましたし、金利も改善してきました。
開発部門の人手不足から製品改良の必要性があったにもかかわらず、それができない状態が続いていました。ライバルよりスペック的に劣るために売上が思う様に伸びていなかったのです。しかし、改良の余裕もなく、そのままのスペックで営業活動を強いられていたのです。
資金余力が短期間に改善したこともあり、開発要員を一名増員し、スペック改善に着手できました。展示会にも、それまでより広いブースを借りるようにしますと、出展効果から、売上も伸びて来ました。
経営コンサルタントとして、「経営資源の良質化」ということの重要性を体得でき、「コンサルティングは、経営資源の良質化で実績に繋がる」ということに気がつきました。自分なりの経営コンサルタントとしてのあり方が見え始めたのです。
「経営とは何か」という私の「経営の定義」第一号は、「経営とは、経営資源の良質化を図ること」ということで落ち着きました。この様な表現は、経営書にはあまり登場しませんので、自己満足ではありますが、「我ながら、良い表現に気がついた」と思うようになりました。
経営コンサルタントとしての経験を重ねる中で、経営に対する定義を改善し、あまり垢抜けした表現ではないものの、「経営とは何か」について、以下のように表現するようにしました。
経営とは、
経営環境へ臨機応変な対応をしがら、
内外から調達した経営資源を計画的に用いて、
経営資源を有機的に組み合わせ、
それを効果的に活用して、より高い生産性を追求し、
顧客が必要とする新しい付加価値を創り出し、
再生産のための適正利潤として還元し、
自らが掲げ、実行しようとする理念を基礎にし、
それを永続させて、
夢の実現を通じて
社会に貢献する
これが、私のコンサルティングのテーマ作りの源泉にもなっていまして、新しいクライアントさんとの取り組みの際に、上記の定義のどの部分に力点を置くべきかを考えてから取り組むようにしています。
すなわち、経営の定義が、経営コンサルタントとしての行動の原点になっているのです。
■【あたりまえ経営のきょうか書】
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