「凧道楽」は今年も「アトミック・シアター」です
「凧道楽」は今年も「アトミック・シアター」になります。「福島」原発事故から3年が過ぎましたが、地下水汚染はますますひどくなり、水質汚染は海洋汚染に直結し、解決の道は見当たりません。広域の汚染地帯の子供たちの健康状態の今後の展開は予断を許しません。にもかかわらず、まるで何もなかったかのように、全国の、とりわけ九州の、原発の再稼働に向けた準備は着々と整えられています。
現在は、原子力がはじまった70年代以降、一基も原発が動いていないという、「平和の時代」の中に、私たちはいます。この平和を大切にしていきたいと、私は心から願っております。
今年のアトミックシアターは、ドキュメント番組と、広瀬さんたちのドイツ旅行の報告を見ることにしましょう。
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13時~ |
14時~ |
15時~ |
3日 |
チェルノブイリ小児病棟 チェルノブイリ5年 |
終わりなき人体汚染 チェルノブイリ10年 |
汚染された大地で・ チェルノブイリ20年 |
4日 |
「プルトニウム元年」 隠される被ばく広島は |
「サンデープロジェクト」劣化ウラン弾特集 |
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5日 |
核のゴミどうすんの!?山本太郎と広瀬隆のドイツ取材3000kmの旅(190分) |
今年のアトミック・シアターは、三日間、午後1時から開催します。3日ともそれぞれのテーマで作品鑑賞をいたします。
●5月3日は、28年前に起こったチェルノブイリ原発事故に記録です。NHKは、事故後5年、10年、20年という節目のときに現地取材を行ない、ドキュメントを放送してきました。放射能被害に苦しむ子供たちの映像は胸を打ちます。日本の福島原発事故はチェルノブイリ事故から25年後に勃発し、今年で3年目です。5年、10年20年と、フクシマはチェルノブイリの後を追うことになりましょう。その意味で、このNHKのドキュメントの意味には大きな意味があります。
●4日は、凧道楽の主である藤田がかかわった事例の中から、二つの記録を紹介します。原発被曝労働者の問題と、アメリカ軍による劣化ウラン弾の問題です。
「プルトニウム元年」は、日本にはじめてプルトニウムが運び込まれた1993年に、ヒロシマテレビが放送したドキュメントです。
ヒロシマテレビは8月6日には核に関わる高質のドキュメントを作成してきました。正月にあかつき丸がフランスからプルトニウムを東海村に輸送した93年は、まさに日本が大きくプルトニウム利用に舵を切った年でありました。この年、広島テレビのディレクター岡原武さんは原発の被曝労働を主題にした番組を製作しました。原発被曝労働の問題は、原子力の世界の恥部であり、世間の目から隠し続けてきた問題でした。
藤田は、当時浜岡原発で被爆死した青年の遺族の意を受けて、労災申請の作業をしておりました。岡原ディレクターはこの問題に着目して、8月6日のドキュメントのメインテーマに選んだのです。放映の翌日中国電力はテレビ局に押し掛け、電力府外者のスポンサー契約の解除を突きつけ、担当ディレクターの解雇を求めました。テレビ局は圧力に屈し、岡原を報道部から営業部に回したのです。戦後日本の報道の自由の汚点となった記念碑的作品を上映します。
ブッシュ政権下のアメリカがボスニアとコソボへ、さらにイラクへと戦火を拡大していた時代、日本電波ニュース社の島直紀ディレクターは、劣化ウラン弾の疑惑を追って取材を続けていました。島ディレクターから、1999年、コソボ、ボスニアなどバルカン半島でウラン弾の調査に同行して放射能測定をしてくれないか、との依頼を受けて現地に向かいました。さらに、2003年、アメリカ軍がイラクを攻撃したイラク戦争にもウラン弾が使われた恐れが強いため、私は戦闘が停止した直後に再び島ディレクターに同行してイラクに潜入し、バグダットから南部バスラまで移動しながら放射能測定を行ないました。その結果がテレビ朝日のサンデープロジェクトで放映されました。このドキュメント作品を鑑賞します。
●5日には凧道楽亭主の盟友である広瀬隆氏が国会議員の山本太郎氏とともに、昨年夏にドイツの原子力事情の調査に向かいました。脱原発の先進国ドイツで青い鳥を探しにいった二人は、核廃棄物の処理処分問題に直面して苦悩する現場を見てしまいました。この3000キロにも及ぶ旅の報告をまとめたドキュメントを上映します。このときの記録は、広瀬隆著「原発処分—先進国ドイツの現実」(五月書房)として出版されています。公共放送では不可能な、踏み込んだ内容の、長編ドキュメントです。ぜひご覧ください。
※ 4月28日の朝日新聞
庭では、「コタノダクマ」の雪浦川の生き物を集めた小さな水族館をしています。ヤギもいます。是非、いらしてください。