次の世代のために 今できることを

“益田に帰りたい”

 現在、益田市内には0歳から6歳の子どもが約3100人います。
 ですが、平成14年から平成18年までの4年間で、益田市内の0~6歳の子どもは既に150名近く減少しています。なかなか普段の生活の中では気付きにくいことですが、益田市でも少子化はどんどんと進行しています。
 しかし、少子化の原因を考えてみると、その原因は社会の中に複雑に絡み合った複合的な問題であるということが分かってきます。

 少子化の問題は、今、目の前の子ども達が少なくなっていくことだけが問題ではありません。
 将来の労働人口も少なくなるということが大きな問題です。
 
 今私は32歳で、団塊ジュニアと呼ばれる、人数の多い世代です。
 この世代があと2~3年で出産適齢期を終えようとしています。
 それによって今以上に出生数が減少していくことが予想されています。
 加えて益田市の総人口は過去5年間で約2800人減りました。
 今のペースで行けば、あと20年後には益田市の人口も半減するのではないかと予測されます。
 
 私が保育園長という立場で、少子化問題を語っても、どうしても単に保育園の運営が苦しくなるからだろうという風にしか理解してもらえないことが多いのですが、将来の益田市を考えた時に、今少子化問題を真剣に考えなければ、将来の益田市はどうなっていくのか、残念ながらその危機感がこれまでも、そして今も全く感じられません。

 今の問題にとらわれ、10年後20年後のこの町の姿を描くことを忘れてはならないと思います。

 もちろん、財政再建(赤字)団体への転落も危惧されている程の危機的状況に追い込まれている益田市ですから、取り組まなければならない課題が山積みであることは誰もが分かっていることだと思います。
 ただ、少子化に対する直接的な対策を今とっていかなければ、あと22~3年後、今の出生児が益田市を支える現役世代となる頃を思い描いた時には不安ばかりが募ります。


 更に、もう一方で、進行し続ける高齢化の問題です。
 高齢者への政策も対応が追いついていないのが現状です。そしてこれからまだまだ高齢者は増えていきます。
介護保険制度の改正で、高齢者への自己負担も増えました。まだまだ地域によって十分にサービスが受けられない地域もあります。周辺地域では、地域を支える担い手がいなくなっている現状があります。

 今の日本で起こっている少子高齢化の問題は、これまで世界中のどの国も体験したことのないスピードで少子化と高齢化が同時に進行していることが問題です。

 だからこそ、その対応はどの地域でも対応が困難なのが当たり前です。

 益田市もそうですが、ほとんどの地方都市ではそれに対応できていないのが現実です。

 平成19年度以降には、一般財源ベースで毎年約13億円の収支不足額が生じる見込みで、仮に財政調整基金等で補填した場合でも、平成20年度には実質的に基金が枯渇し、それ以降は赤字団体となることが見込まれています。

 更に、益田市の抱える問題は山積みです。

 駅前ビルEAGAを中心とした中心市街地の活性化、遅れている都市基盤や生活基盤の整備、農林水産業の振興、地域資源を活用・連携した地域活性化と雇用の場の確保、更には、福祉施策のサービスレベルの“維持”、教育環境の充実など、これら全てに対応した様々な施策を展開することも求められています。
このような課題を抱えている上で、基金が枯渇すると予測されている平成20年度と言えば来年です。

 こんな危機的状況になっていることを皆さんはご存知でしょうか?
 市民と行政とがこの危機感を共有できなければ、この状況は切り抜けられないのではないかと思っています。
 市民それぞれがこの町の置かれている状況を理解し、10年先20年先の益田市の姿を思い描きながら議論を重ねることが大切だろうと思います。

 取り組まなければならない課題の中にも、それが本当に今からの益田にとって必要なのかと思えるものもたくさんあります。
 まだまだ無駄な部分や、予算をかけている割には十分に機能していない部分はたくさんあります。予算をかけなくても工夫次第でできることもたくさんあります。

 私は保育園で育つ子ども達と接しながらいつも思っています。
 この子達が大きくなった時、“益田に帰りたい”と言える町であって欲しい。

 しかし、今のままでは同じことの繰り返しのように思います。
「どんな益田になっているだろうか」ではなく「どんな益田にしようか」という、自分達で作る益田という意識に市民も変わっていかなければなりません。

自分達の町は自分達で作る。

そんな意識を持ちながら、「益田っていいよ!」と言える益田にしていくのは、私たち市民一人ひとりであると思っています。
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