仏像彫刻と共に歩む侊慶の記録

仏師 紺野 侊慶の記録

京都の旅3

2014年03月14日 | 仏師から見た仏像の楽しい見方

醍醐寺
このお寺は、法界寺のすぐ近くにあり桜の季節になると大変混雑する観光地です。
秀吉が盛大な花見をした有名な場所でもあります。



今回訪れた、冬の寒い季節は、比較的にすいておりゆっくりと拝観をすることができました。
しかし一番メインであった仏様を拝むことが出来ませんでした。
その仏様と言うのは、快慶作の弥勒菩薩です。
                
              
弥勒菩薩と言えば思いつく姿としては京都の広隆寺と奈良の中宮寺の様な頬に指をそっと添える表現が有名です。  
             
広隆寺弥勒菩薩                             中宮寺弥勒菩薩        




時代が変わるにつれて仏像の姿も変化していきました。

1000年以上の歴史があるため、その時代に流行があり、それらを知ることは仏像に対する見方も変わってくると思います。


近年、コンピュ-ター社会の中でストレスなどを感じている人が多く、癒しを求める時代
です。
その為、仏像の顔立ちも微笑んでいたり、安らぎを与える表情に変わっています。

しかし鎌倉時代などの仏像を見ると微笑んだ姿の仏像はほとんど見ることは出来ません。

現代の様に穏やかな日本ではなく、理不尽に亡くなっていく方も多い時代だったせいでしょうか。

安らぎより、救ってくれる表情が求められたのだと思います。

このように顔の表情からも歴史がよみとれるのではないでしょうか。


しかし、現代でも、教室や仏像の製作の依頼を行っていますと、様々な思いで仏像を求める方が多くいらしゃいます。

事情を聞くと胸が篤くなる事があります。

少なからず、現代でも仏像を求める方々が絶えずいらしゃる事を痛感しています。


今回、京都を訪れて改めて感じたことは、私にとってこの仕事は医者とは違った形で人の心の病をケアーしたり、よりどころを提供する仕事だと思っております。

自分自身の立場の重さに押しつぶされそうになってしまうこともありますが、自分がやるべき方向性を見失わず生涯携っていきたいです。



こんな弥勒菩薩もあります。
ボストン美術館に収納なれている、鎌倉時代の弥勒菩薩です。
作者は醍醐寺の弥勒菩薩と同じ快慶作です。

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