仏像彫刻と共に歩む侊慶の記録

仏師 紺野 侊慶の記録

柴又・帝釈天の関東彫り

2008年06月20日 | 仏師から見た仏像の楽しい見方
昨日、寅さんでも有名な柴又にある帝釈天に行ってまいりました。

ご存じの方も多いと思いますが、このお寺は彫刻でとても有名です。



本堂から門まであらゆる所に隙間無く関東彫りの究極の細工が施されています。

特に本堂の廻りにほどかされた彫刻は見る物を魅了する程の彫刻が施されています。

一つ一つ作者が違うのにもかかわらず人物や建物、植物のバランスが完璧すぎるほど一緒になっています。

図案の段階から互いに話し合い大工とも協力して作り上げたことがよく分かります。

その中で三車火宅図と言うさくひんがあります。

作者は木嶋江運と言う方が手がけています。

この彫刻は火宅の中で遊ぶ子供達とそれを助ける親の構図になっています。

門から立ち込める火の表現は本当にこちらへ迫ってくる程の生きた表現がされてお

り影を利用した濃淡により、更にリアル感を出しています。



岩の表現も一つ一つの角度が異なり強さを表現しています。



そこに生える植物はまた違う柔らかなタッチで彫り上げています。

欅の板の中に本当に動き出す様な場面が繰り広げられています。

4年ぶりに訪れましたが前回以上に圧倒される迫力でした。

ここまで素晴らしい彫刻は日本の宝です。

これからも何百年、何千年と残って欲しいですね。

一度訪れた事のある方も是非、もう一度ご覧になってはいかがでしょうか。

この文を書いていたら私も又見に行きたくなってしまいました。


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