長らくお付き合いいただきました小説「津軽」の旅、今回が最終回です。
小説「津軽」の旅1
小説「津軽」の旅2
小説「津軽」の旅3
小説「津軽」の旅4
小説「津軽」の旅5
小説「津軽」の旅6
小説「津軽」の旅7
小説「津軽」の旅8
小説「津軽」の旅9
さて、五所川原から金木「芦野公園駅」へ
「走れメロス号」
秋は「鈴虫列車」、冬は「ストーブ列車」など運行している。
終着駅「中里」からバスで小泊まで(今回は車で行きました)
途中、十三湖を眺めながら
津軽半島を北上する岩木川が流れ込んだ汽水湖で日本有数のシジミ貝の産地である
☆小泊
日本海に面した海岸
小説「津軽」の像(太宰とたけ)
小学校の「運動会」での再開、まるで母に会いに来たかのような太宰に
たけは今までのことを語る
「久しぶりだなあ。はじめは、わからなかった。金木の津島と、うちの子供は言ったが、まさかと思った。まさか、来てくれるとは思わなかった。小屋から出てお前の顔を見ても、わからなかった。修治だ、と言われて、あれ、と思ったら、それから口がきけなくなった。運動会も何も見えなくなった。三十年ちかく、たけはお前に逢いたくて、逢えるかな、逢えないかな、とそればかり考えて暮らしていたのを、こんなにちゃんと大人になって、たけを見たくて、はるばると小泊までたずねて来てくれたかと思うと、ありがたいのだか、うれしいのだか、かなしいのだか、そんな事は、どうでもいいじゃ、まあ、よく来たなあ、お前の家に奉公に行った時には、お前は、ぱたぱた歩いてはころび、ぱたぱた歩いてはころび、まだよく歩けなくて、ごはんの時には茶碗を持ってあちこち歩きまわって、庫の石段の下でごはんを食べるのが一ばん好きで、たけに昔噺(むがしこ)語らせて、たけの顔をとっくと見ながら一匙ずつ養わせて、手かずもかかったが、愛(め)ごくてのう、それがこんなにおとなになって、みな夢のようだ。金木へも、たまに行ったが、金木のまちを歩きながら、もしやお前がその辺に遊んでいないかと、お前と同じとしごろの男の子供をひとりひとり見て歩いたものだ。よく来たなあ」
生みの母、育ての母、そして親友、太宰の根本「津軽弁」をも含めて津軽には愛が満ち溢れているのである。
太宰の言葉で締めくくります。
さらば、読者よ、命あらばまた他日。
元気で行こう。
絶望するな。
では、失敬。
旅行記にしてはまだまだ紹介しきれない部分や下手な文章にはお許しを
記: ダサいおじじ
小説「津軽」の旅1
小説「津軽」の旅2
小説「津軽」の旅3
小説「津軽」の旅4
小説「津軽」の旅5
小説「津軽」の旅6
小説「津軽」の旅7
小説「津軽」の旅8
小説「津軽」の旅9
さて、五所川原から金木「芦野公園駅」へ
「走れメロス号」
秋は「鈴虫列車」、冬は「ストーブ列車」など運行している。
終着駅「中里」からバスで小泊まで(今回は車で行きました)
途中、十三湖を眺めながら
津軽半島を北上する岩木川が流れ込んだ汽水湖で日本有数のシジミ貝の産地である
☆小泊
日本海に面した海岸
小説「津軽」の像(太宰とたけ)
小学校の「運動会」での再開、まるで母に会いに来たかのような太宰に
たけは今までのことを語る
「久しぶりだなあ。はじめは、わからなかった。金木の津島と、うちの子供は言ったが、まさかと思った。まさか、来てくれるとは思わなかった。小屋から出てお前の顔を見ても、わからなかった。修治だ、と言われて、あれ、と思ったら、それから口がきけなくなった。運動会も何も見えなくなった。三十年ちかく、たけはお前に逢いたくて、逢えるかな、逢えないかな、とそればかり考えて暮らしていたのを、こんなにちゃんと大人になって、たけを見たくて、はるばると小泊までたずねて来てくれたかと思うと、ありがたいのだか、うれしいのだか、かなしいのだか、そんな事は、どうでもいいじゃ、まあ、よく来たなあ、お前の家に奉公に行った時には、お前は、ぱたぱた歩いてはころび、ぱたぱた歩いてはころび、まだよく歩けなくて、ごはんの時には茶碗を持ってあちこち歩きまわって、庫の石段の下でごはんを食べるのが一ばん好きで、たけに昔噺(むがしこ)語らせて、たけの顔をとっくと見ながら一匙ずつ養わせて、手かずもかかったが、愛(め)ごくてのう、それがこんなにおとなになって、みな夢のようだ。金木へも、たまに行ったが、金木のまちを歩きながら、もしやお前がその辺に遊んでいないかと、お前と同じとしごろの男の子供をひとりひとり見て歩いたものだ。よく来たなあ」
生みの母、育ての母、そして親友、太宰の根本「津軽弁」をも含めて津軽には愛が満ち溢れているのである。
太宰の言葉で締めくくります。
さらば、読者よ、命あらばまた他日。
元気で行こう。
絶望するな。
では、失敬。
旅行記にしてはまだまだ紹介しきれない部分や下手な文章にはお許しを
記: ダサいおじじ