あなたは時々少年に戻る
ふと見せるいたずらな微笑みに
私の時計まで逆周り。
できれば、
小さな少女の頃にあなたに会いたかった
あどけない笑顔であなたと一緒に走りたかった
ものわかりの悪い大人たちに舌を出して
あなたと二人笑い転げたかった。
好きとか嫌いとか恋とか愛とか関係なく
ただあなたとずっと笑っていられたらいいのに。
時計の針を逆に回して、
自然に手をつないで走っていけたらいいのに。
あなたは時々少年に戻る
ふと見せるいたずらな微笑みに
私の時計まで逆周り。
できれば、
小さな少女の頃にあなたに会いたかった
あどけない笑顔であなたと一緒に走りたかった
ものわかりの悪い大人たちに舌を出して
あなたと二人笑い転げたかった。
好きとか嫌いとか恋とか愛とか関係なく
ただあなたとずっと笑っていられたらいいのに。
時計の針を逆に回して、
自然に手をつないで走っていけたらいいのに。
すれちがいを繰り返して
なんとなく予感する。
このままきっと平行線、道はいつまでも重ならない。
淡い期待をしても
甘い夢を見ても
この恋は行き止まり、
どこにも出口が見つからない。
もう前へは進めないのに
横道にも逃げられないのに
戻れない
帰れない
もうどこへも行けない。
鏡に写る恋する自分を
冷静に見つめているはずだった。
ときめく自分を少しだけ哀れみながら、
一歩離れた安全な場所に隠れているはずだった。
なのに逃げる獲物を追う獣のように
あなたは私を追い詰めて、
誘い出し、
おびき出し、
待ち伏せて
喉元に牙をむく。
逃げ場をなくした恋は崖っぷち。
これ以上は走れない。
本気になった恋は崖っぷち。
あとは海に堕ちるだけ。
叫び声も聞こえない崖っぷち。
砕け散る、波音に。
白馬に乗った王子様がいつか
迎えにきて、
優しく抱きしめてくれる、
そんな夢を見ていたこともあったけど。
夢だけでは生きられないと知った忙しい毎日の中、
好きになったのは振り向いてくれない王子様。
熱い視線に気付きもせず、
ためらいもなく私に背を向ける。
冷たい横顔を陰から見つめながら
ためいきをついて思う。
永遠に迎えに来てくれない王子様を
永遠に待つよりも
容易に手に入る幸せに逃げてみようかと。
心が揺れるそんな瞬間を狙ったように、
気まぐれに優しい言葉をくれるあなただから、
離れられない。
忘れられない。
揺れながらやっぱりあなたに魅かれていく、
あなたは私の残酷な王子様。
人は口ではなく、目で語る。
冷たい言葉に傷つけられても、
そのあとの優しいまなざしに救われるように、
百の言葉よりも一度の微笑みで
本当の気持ち伝えられそうな、
本当の気持ち見抜かれそうな,
そんな気がして。
一瞬だけ重なった視線に
時間が止まる
心が止まる。
閉ざされた空間に言葉はなくて、
あなたの瞳の中に答を探すけれど。
澄んだまなざしをまばたきで隠して、
あなたは軽やかに暗闇の中立ち去っていくの。