こんばんは。
学部を卒業された先輩方、本日はご卒業おめでとうございます。
今回は、そろそろ終わりをむかえる冬期の練習ついてお話しますね。
この冬、私はいろんな方から刺激を頂きました。
1月。
デンマークからの招待選手、MATHILDE。
2016年世界U23選手権 軽量級ダブルスカル9位 の選手。
彼女とダブルに乗ると、水の掴み方、身体の使い方が全く違い、大きな衝撃を受けました。彼女に「どうやったらあなたのようなローイングが出来るの?」と食いつくように尋ねると、
『キャッチはソフトに、スライドは等速に。』と、彼女は自分の漕ぐ姿をコマ送りしながら、繰り返し丁寧に教えてくれました。
彼女の漕ぎ方は、今まで私が理想としてきたものとは違っていて最初は戸惑いました。けれど、興味本位で真似してみると艇速が伸びたため、これはいものを見つけたと思い、彼女の漕ぎ方を追求し始めました。この追究の過程で、『理想の漕ぎを人工的に作ることが私達には必要だ』と思い至りました。この“人工的”というのがミソなんです!
またこれと同時に、自分が今まで感覚的に漕いでいたことを激しく悔みました。
2月。
アイリスオオヤマの岩本さん。
関西学連主催の集いにて、岩本さんのボート人生をお聞きしました。
『毎日101%の努力をすること。』
『自分だけが強くなるのではなく、ライバルを育て、互いに強くなること。』
自分が強くなることしか考えてなかったけれど、「みなで切磋琢磨し、その中で自分も強くなってやろう。」と思い直しました。それからは、自分が持ちうる技術は惜しみなく周りに発信し、周りにいいネタがあれば教えてもらっています。そんな関係や習慣を根付かせようとしています。
3月。
食事会にて、コーチから、『ボートの理想の漕ぎは、既に存在していて、僕たちがするのは木彫りのように掘り起こしていくことやで』と教わりました。
1月からマチルダの漕ぎを追究して再現しようとしてきた私には、コーチのこの言葉は響きました。
ローイングとは、パワーで艇を進めるパワフルなスポーツではあるけれど、一方で、漕ぎ方の答えはすでにそこにあって、それを丁寧に丁寧に掘り起こしていく、追究していく、そんな繊細なスポーツだと思いました。
さらにこの会では、cox経験者であるコーチと、我らのcox高橋(一回生)とのcoxトークが繰り広げられていました。
すこし内容を紹介すると、
艇速について、コーチ曰く、
『(艇速の)いい時って、ジェットコースターのようなんや。内臓がもってかれる。止めてくれっ!って思いつつ、止めないでくれっ!とも思う。ゾクゾクするんや〜』
coxについて高橋曰く、
『coxとはアンプみたいなのもだと思います。艇の声を増幅させる役割だと思っています。』
漕手陣は、この2人のcoxトークの盛り上が様に若干引いていましたが、coxとはこんなにも艇と自身とを一体にいている存在なのかと、驚きました。“艇となったcox”の感覚をもっともっと伝えてもらって、客観的に艇の状態を知ろうと思いました。
また、そのゾクゾクをいつか必ずcoxに味わらせてやろう!と密かに思っています。
この冬期は、色んな方から刺激をもらって、とても濃い時間を過ごせたと思っています。けれど、満足はしていないし、まだまだ成長が必要です。これからも貪欲に良い変化を求め続けます。
色んな角度から試行錯誤して刃をくわえ、理想の漕ぎを掘りおこし、そしてさらに、理想の漕ぎを人工的に再現する。
これらを試合で体現できるように精進します。
最後に、例の食事会の写真を載せますね。
約1年半、大変お世話になった智郷さん(学生コーチ)の送別会でした。
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三回生 漕手
野崎 舞