「カツラを買ってあげようか」
「いいよ、それに格好悪いし・・・」 40歳を前に薄くなり始めた髪を見て
母が云いました。
「私に似たんだろうね」 薄くなるのは母親のDNAを継いだようです。
「要らないよ、それより現金のほうがいいな」
「・・・」
母の折角の好意を無にするばかりか、怒らせてしまった事を悔いました。
以後、母はカツラの話を二度としませんでした。
お墓の掃除をしながら、母と交わした話を思い出しました。
軽くジョークで流そうと思っての返事だったのに。母の思いは如何なものだろうか。30年近くが経つのに気になる事です。
☆ほぼ10年が過ぎました。もう少し上手く断っておけば・・」
そんな思いに変わりはありません。 2022.10.23記