潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』は「オックスフォードミステリー ルイス警部」のファンフィクです
潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』の続きです
読んでいない方はカテゴリー「潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』」で読めます→こちら
「オックスフォードミステリー ルイス警部」はAXNミステリーで放送しているドラマです→こちら
ホームページにキャストの説明がないのでざっと説明しておきます。
ジェームズ・ハサウェイ:このファンフィクの主人公。オックスフォード署ではルイス警部とバディを組んでいる、30代後半の長身でハンサムな刑事。かつて神父を目指して勉強していた。
ロバート・ルイス警部:ハサウェイのバディで上司。定年を間近に控えたベテラン刑事で熱血漢。
ホブソン監察医:ルイスの恋人の女性医師。
イノセント主任警視:ルイスとハサウェイの女性上司。
以上を頭に入れながらお読みください。
朝から何度かハサウェイの携帯に電話しているが電源は切られたままだ。ルイスが携帯の位置情報を調べてもらおうと専門の捜査官に掛け合っているとイノセント主任警視が現れた。
「ルイス警部、何か進展があったの?」
「はい、いや、ちょっと・・・」
ルイスはなんでこんなに悪いタイミングで現れるんだと思った。携帯の位置情報を調べるのには令状がいる。そのことで捜査官と揉めていたのだ。捜査官は二人の動向を黙って見守っている。捜査官に向かってイノセント主任警視が訊ねた。
「何を調べるの?」
捜査官はルイスの顔をちょっと伺ってからイノセント主任警視の質問に答えた。
「ハサウェイさんの携帯の位置情報を調べてくれと言われたんですが、令状が無いのでどうしようかと。」
イノセント主任警視がルイスの顔を見た。
「あっちで話しましょう。」
イノセント主任警視はルイスをオフィスに招じ入れるとドアをピシャリと閉めた。
「わかってるの、自分が何をしているか?」
「警視正、あなたもハサウェイが何をしているかはご存知のはずです。」
「ルイス警部、あなたがどこまで知ってるかわからないけど、彼の仕事はオックスフォード署とは関係がないのよ。」
「大体のことは知ってます。でも今居所が知りたいのは彼がオックスフォードの事件の重要な情報を持っているからなんです。」
「それでも裁判所の令状がなければ職員でもない人間の携帯の位置情報を勝手に調べることはできないでしょ。」
ルイスはざっと事件とハサウェイの関連を話した。
「わかったけど位置情報は他に手段がないときの最終手段ということにしましょう。ハサウェイだって刑事なんだからそんなに危険なことはしないはず。それに彼の本来の仕事で連絡がつかなくなっているのだったらここで下手に動いたら大変なことになるでしょう。あなただけでできることをまずやって、それからよ。」
上司の命令には不承不承でも従うしかなかった。
ルイスは隣町の教会に車を飛ばした。
教会に着くと敷地を掃除している男に声をかけた。
「神父はいますか?」
ハサウェイが何と名乗っているのか知らなかったのだ。
「いえ、まだ来ていらっしゃいません。」
「自宅や連絡先はわかりますか。」
男が怪訝そうな顔をしているので、ルイスは自分が焦って警察の名乗りも身分証も見せていないことに気付いた。あわてて身分証を見せながらもう一度頼んだ。
「すみません、急いでもらえますか。」
「電話番号は事務所にいかないと、ちょっと待ってくださいね。」
男は不安定な掃除道具を地面に置くとついてくるように指示しながら教会に隣接する建物に歩いて行った。
「これがハサウェイ神父の自宅の電話番号と住所です。」
男はメモにして渡してくれた。
「携帯は?」
ルイスはハサウェイが身分の数だけ連絡手段を持っていると考えていた。ルイスたちが知っている素顔のハサウェイ、神父としてのハサウェイ、そしてスコットランドヤードの潜入捜査官としてのハサウェイ。スコットランドヤードとの連絡手段が携帯電話かどうかはわからなかったが。
「うーん、携帯の番号は今ちょっと見当たらないな。調べておきますから後で、電話でもしてきてください。教会の電話番号はわかります?」
「これで合ってますよね?」
ルイスは自分の携帯の画面を見せた。
「そうそう、これで合ってます。」
急いでいると言ってるのにのんびりした対応でルイスは苛ついている。しかし、彼はまさか自分の仕えている神父が殺人事件の情報を持っているなんて想像もできないだろうからしかたがない。あわてて車に乗りこむルイスに手で方向を指し示しながら話しかけていた。
「自宅はあっちですよ、すぐ近くですから・・・」
言葉が終わらないうちにルイスは車を発進させていた。
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