潜入捜査官ハサウェイ『聖人画』の続きです
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「オックスフォードミステリー ルイス警部」はAXNミステリーで放送しているドラマです→こちら
ホームページにキャストの説明がないのでざっと説明しておきます。
ジェームズ・ハサウェイ:このファンフィクの主人公。オックスフォード署ではルイス警部とバディを組んでいる、30代後半の長身でハンサムな刑事。かつて神父を目指して勉強していた。
ロバート・ルイス警部:ハサウェイのバディで上司。ベテラン刑事で熱血漢。
ホブソン監察医:ルイスの恋人の女性医師。
イノセント主任警視:ルイスとハサウェイの女性上司。
以上を頭に入れながらお読みください。
ハサウェイの自宅は教会で教えてもらったとおりすぐ近くだった。呼び鈴を鳴らしても誰も出ない。玄関のドアには小さな曇りガラスがはめ込まれているが中の様子はわからない。道路の側からは家の中の様子がわかるような構造ではなかった。庭に回る狭い通路の木戸には丁寧にも鍵が付いていて簡単には人が通れないようになっている。ルイスは木戸を飛び越えると庭から家の中を見ようとした。しかしどの窓にもカーテンがきちっとひかれていて中は見えなかったし、鍵もしっかりとかけられていた。庭に出るドアのノブをダメもとで回してみる。やはりここも鍵がかかっている。秘密を持っている人間の家は探りづらいのだ。
広くない庭の周りは植木が植えられていて隣の家や道路からは見えないようになっている。ルイスはそれを確認してドアの鍵を破ることにした。普通なら玄関周りの植木鉢の下とか庇の上にスペアキーが置いてあるが、潜入捜査をしている人間が置いているわけがなかった。ピッキングの道具を取り出すと不器用に鍵穴に差し込んでひねった。当然すぐには開かない。ドアを蹴破りたい気持ちを抑えて何度も挑み、ようやく鍵を開け家の中に入った。
キッチンの食器は汚れたままだった。聖衣が脱ぎ捨てられたままになっているところを見ると、着替えてどこかに出かけたまままだ帰ってきていないのだ。行き先の手掛かりになるようなものはないか家中を探し、ルイスはテーブルの上に乗っている紙切れに気付いた。ハサウェイが何かをメモしていた。
ロビン・スミス 過去
A町
B市
C市
D市 未解決殺人事件
E村
F市 オックスフォードで殺人事件 サン・ドニと同じポーズ
殉教者好き? 拷問?
関係は?
メモにはハサウェイが事件の情報を知りたいと言っていた地名が書かれていた。ロビン・スミスという人物の過去と関係があるらしい。オックスフォードの殺人事件と関連すると考えているのだろう。ルイスは書かれた地名の近隣地域で起きた未解決事件を思い出した。バラバラの死体と体中に火箸のようなもので傷がつけられた死体。そしてオックスフォードの切り離された頭部を持ったポーズで発見された死体。どう考えても関係がありそうだ。しかもハサウェイは容疑者の目星もついているのだ。いや、ハサウェイは2件の事件は知らないから、まだ容疑者とまでは考えていないのかもしれない。しかしルイスにはこのロビン・スミスが犯人にしか思えなかった。
急いでオックスフォード署に電話した。
「ロビン・スミスという人物を調べてくれ。住所だ。F市に住んでる。わかったら電話をくれ。」
ルイスはもう一度教会に戻ってハサウェイの最近の様子を訊くことにした。
「ロビン・スミスという人物に心当たりはありませんか?」
「そういう方は存じません。」
ルイスの質問に答えているのはさっきと同じ男だ。
「神父と親しくしている人物とか教会の周りをうろついている人物とか、何か気づいたことはありませんか。」
「そう言えば、ちょっと前まで毎日教会に来てる男性がいて、最近そんな人は珍しいから私たちも神父と話題にしてたんです。」
「近所に住んでいる信者ですか。」
「さあ、どうだか…でも神父はかなり親しかったようですから名前もご存知だったかもしれません。」
そいつがきっとロビン・スミスだ!
「毎日教会に何しに来てたか知ってますか。」
「えっと、聖堂で神父をモデルにスケッチをしてたみたいで、あ~でも、私たちはそういうことにはあまり…はい、口出しするようなことはできませんから。それに声をかけてはいけない感じもしたので…何も聞いていません。」
ルイスはそのことをハサウェイから何も聞いていないことに腹立たしさと不安を感じた。
携帯が鳴った。ルイスは男に礼を言うと車に向かって歩きながら携帯で話し始めた。
「わかったか?そうかロビン・スミスは偽名か。それじゃあ、昨日のハサウェイの番号の位置情報を探ってくれ。主任警視にはこっちから説明する。そうだ。至急だ。頼んだぞ。」
車に戻ったルイスはイノセント主任警視に電話をかけ事件の容疑者がハサウェイの身近にいて、危険が迫っていることを説明した。
オックスフォード署ではイノセント主任警視が携帯の位置情報を調べる部下を見守っていた。モニターを見て部下が言った。
「強制的に電源は入りませんでした。携帯は壊されている可能性があります。」
「位置情報はわからないってことね。ありがとう。」
部屋は暗い空気に包まれた。
ルイスはロビンという男はこの近所に住んでいる気がする。オックスフォード署には戻らず教会の近くに止めた車で待機しているとイノセントから電話がかかってきた。
「そうですか壊されている可能性が…では別の番号で探してもらえますか?そうです。神父として使っている番号です。」
こっちの携帯は無事でいてくれ…ルイスは祈るような気持ちで連絡を待った。
車のダッシュボ-ドの中の携帯に電源が入った。ハサウェイは神父として使っている携帯を車の中に置いたままにしていたのだ。ロビンはハサウェイの個人用の携帯とスコットランドヤードとの連絡に使う携帯は見つけたが、この神父としての携帯には気づいていなかった。
オックスフォード署のモニターに位置が表示された。
「ここがルイス警部の言った番号の携帯がある場所です。」
捜査官がイノセント主任警視に向かって説明した。
「よかった!壊れてなかった。」
主任警視は明るい表情で受話器を取った。
ルイスの汗ばんだ手の中で携帯が鳴った。イノセント主任警視からだ。朗報であることを祈りながら電話を取る。
「わかりましたか!はい!はい!私はここから直接向かいます。応援を頼みます。」
ルイスは電話を切るなり勢いよく車を発進させた。
**コメントありがとうございます
OGULA AZUKIさん
お!OGULAさんも録画待機ですか!!!
いや~私が(しつこくw)紹介して「シャーロック」見ることになった方にはホントに感謝感謝です!!!
放送中止になるようなすごい事件とかあるかな?
天災が起きたらヤバいですね^^;
地震速報とか画面に入っちゃうし…
ま、しかたないんですけど^^;
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