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鏡に映る自分の顔に、母の面影を捜す。
似ていないんだな・・・
目も鼻も口元も、私は父に似ているのだ。
じっと捜したら、見つけた。
瞳の色、肌の色、そして髪の毛の色、質感。
日本人にしては薄い茶色の瞳や茶色で細い髪は母譲りだ。
ああ、私の中に母がいる。
少し安心した。
父が他界して4年8か月。
この間は、母に何かがあったら自分は後悔しないか・・と考えながら行動してきたつもりだった。
それでもやっぱり後悔がある。
細かいことがいっぱい。
出来なかったことではなくて、してあげられたことを数えるんだよ、と友人に教えられた。
そうだよね、そうします。
そうでないと身がもたない。
母が最期の時に着ていたのは、9月の誕生日に私が贈ったベストだった。
気に入ってくれてたんだ。
救急処置で切り刻まれたベストを抱いて泣いた。
お母さん、
私ももうこんな歳なのに、なかなか前に進めないんだよ。
もうしばらく泣いてもいいよね。