ラオスの学校について調べていたらこんな活動をしている団体がありました。
ラオス小学校建設後調査
こんにちは
以前一度記事を書かせて頂いた、東南アジアにあるラオスという国に、教育支援をしている学生国際協力団体CHISE(チーズ)です。
CHISEは、2009年夏に発足し、ラオスの北にある村に小学校を建設するために、建設費150万円を募る活動を展開してきました。
そして発足から1年半後の2011年2月、小学校が無事に完成いたしました。
この間の、3月16日から18日の3日間にかけて、完成した小学校を訪れ、学校建設後の村や子ども達の様子の調査をしてきました。
今日はその事について記事を書きます。
学校が建設されただけでは、その地域の教育事情は改善されません。
村人達だけで学校を運営できるようになるために、これからどんな継続支援を行っていくべきか。という事を考慮するために、村人にききとりをしました。
調査で特に明らかにしたかったのは、以下の3点
①大人達の現在の教育への考え
②小学校の普段の様子やシステム
③先生の、仕事に対する意欲がどの位あるのか
以下がその調査の結果です。
①大人達の現在の教育への考え、お話を伺ったのは村長です。(ちなみに村長は昔から村に住んでいる人間である事、人望がある事などの条件を考慮し、国の役人が指名する)
村長によると、大人達は子どもの頃全員小学校に通っていたが、田舎だから昔は“勉強より仕事をするべきだ”という考えが主流だったために、中退した人もいたそうです。
※仕事というのは村で行っている農業のこと(ヤギ・牛・鶏・豚の育成、米・ゴマ・とうもろこし・里芋などの栽培)
しかし自分達が大人になり、勉強ができない事で仕事(村での農業以外の、町での仕事を指す)がないという状況に。
そして、同じ思いを子どもにさせたくないから通わせているそうです。
もちろん、子どもは学校に通ったら家の仕事の手伝いができないけれど、将来仕事に就くために学校に行かせていて、特に高校まで出たら政府の仕事につけるから高校まで行ってほしいと話していました。
でも、公の仕事でなくてもたとえば建築家など自分の進みたい道に進んで欲しいからそのために勉強してほしく、将来仕事に就く事で村に帰ってこないとしてもいい。
自分の子どもが将来幸せだったらそれでいい。と話してくれ、意外と自由な考え方に驚きました。
②小学校の普段の様子やシステム
この村には、少し離れた村にある小学校に通う事ができない、小さい1・2年生のための小学校が元々ありました。
その小学校が本校で、村の小学校はその分校という形で存在していました。しかし、3年生から、離れた小学校までわざわざ通わず、中退してしまう子どもも多くいました。
新しい小学校ができてから、村の小学校だけで1年生から最終学年である5年生まで教える事ができるようになりました。
今、村の小学校に通うのは、全員で68人(1・2年生27人、3・4年生31人、5年生10人)です。
それぞれ年齢は、1年生が6~7歳、2年生が7~10歳、3年生は10~11歳、4年生は11~12歳です。
授業科目は、算数・ラオ語・歌・絵・おりもの・道徳、英語(3年生から)であり、1日に3コマ(朝2つ/午後1つ)行われ、 1コマ2時間です。
毎日何を教えるかは国が年単位で決めています。授業の間には10分の休み時間も設けられています。
ラオスでは、午前の授業が終わったら一度自分の家に帰り、昼食をとってから再登校というスタイルなので、お昼休みは1~2時間あります。
ラオスの進級テストは1月と5月の2回あり、1月はおちても大丈夫だが、5月におちると留年となります。
村で1月にテストに落ちた子は1・2年で5人、3・4年で3人いたそうなので、5月のテストは頑張ってほしいです!
卒業は5月で、今年は今の5年生10人(女2男8)が卒業し、全員中学校に進学するそうです。中学校は村から13km離れていて、自転車で通うことになります。
高校は寮(100万キープ/年)に住み、通学します。今は6人村から行っています。
教科書は、政府から与えられたものを使用しています。
しかし、ひとつの小学校でもらえる教科書の数が決まっていて、それ以上にもらうことができないので、足りなくなった場合、何人かで一緒に使うことになります。
また、年が変わっても新しい物をもらえるわけではないので、新3年生は新4年生が3年生の時に使っていた物を使いまわす事になります。
つまり、教科書は手元には残りません。
それに対し文房具は政府から無料でもらえるので、足りなくなったら先生がルアンパバーンという、村から車で片道2時間の大きな観光都市までもらいに行っています。
ラオスの公立小学校の授業料は無料ですが、学校の運営費や光熱費などを生徒達は払わなければいけません。(先生への給料は国からでています)
フォエイカン村の小学校も同様で、その費用は1人年間7万5000キープ(5月16日時点で1キープ0.01円)です。ちなみに村の1家族の1ヶ月の電気代が2~5万キープです。
学費は村長に払い、小学校で何かを用意するためにお金が必要な時は、先生達が村長に申請します。
学費が払えてない子は5、6人いるようですが、村長がなんとかやりくりしているようで、特に問題はなく支援もいらないとのことでした。
③先生の、仕事に対する意欲がどの位あるのか
よく途上国の小学校支援でいわれる先生の問題に、授業の質の低さと仕事に対する意欲の低さの2つが挙げられます。
前者は、小学校卒業という学歴の先生もいる事。
そして後者は特に田舎に赴任された先生が暮らしの不便さや給料の低さなどの不満から真面目に仕事をこなさないという問題です。
村の小学校には先生が3人います。
全員大学まで進学していて、教員試験に合格した先生達です。
本人達の希望で異動もあるようで、3人のうち1人の女性の先生は、9月に旦那さんの地元へ戻りそこで働くそうで、また別の先生が村にやってくることになるそうです。
授業の質の向上のためにも、村の先生3人が勉強を教えるにあたって何か難しさや障害を感じているのであれば、それらを取り除くような支援の方向性を模索しようとCHISEで考えていたので、
現在の教え方や授業の様子を聞いてきました。
村の小学校では、週に1度テストを全教科行い、更に月の平均を出して優秀な子を発表していました。
その結果は、個人個人の成績ノートに記されるだけではなく、模造紙にも書かれ教室にはられていました。
教室にはそのほかにも、“努力は必ずむくわれる”などのスローガンや、子ども達が授業で描いた絵もはられていました。
また校庭には、新たに花壇ができていましたがこれは国からの指示ではなく、先生達が自ら、農業を営む事になる子ども達に植物の育て方や自然を大切にするという考えを養うために考案してやり始めたとのことでした。
他の学校の先生達とより良い教え方について話をしたりすることもあるそうです。先生をしていて1番嬉しかった事は、子どもに一生懸命教えて、それが伝わった時だそうです。
村については、もち米とか、ご飯とか先生の生活で足りない物をくれるからここへ来て良かったと考えていると言っていました。
これらの調査結果をもとにこれからの継続支援の方向性を決めていくのですが、思っていたよりも村の人や先生の教育に対する意欲が高く、村人だけで運営できるようになる日も遠くないように思いました。
村人だけで運営が可能にもかかわらず、支援を続けてしまうと支援過剰を引き起こし、自立性が失われてしまう事もあり得ます。
また他の村からすると、どうしてあの村ばかり…と嫉妬をかってしまい、思わぬいざこざを招いてしまう事にもつながりかねません。
実際に、村長が隣の村の友達に、この村は小さいのに新しい学校があって羨ましいと言われた(その村は大きいけど学校はなく、子ども達は近くの村の学校に通っている)とのことでした。
今回の調査で村の小学校にはもうほとんど継続支援は必要ではないと判断しました。
しかし、教科書や本が手元に残らないのは、せっかく学校に通い読み書きができるようになって、色んな知識を吸収できるようになったのにもったいないと感じたので、
今度の夏には、村人に材料を用意してもらい本棚を作り、そこに置く本を贈ろうと考えています。
以上がラオスの学校を支援している団体の報告です。
ラオス小学校建設後調査
こんにちは
以前一度記事を書かせて頂いた、東南アジアにあるラオスという国に、教育支援をしている学生国際協力団体CHISE(チーズ)です。
CHISEは、2009年夏に発足し、ラオスの北にある村に小学校を建設するために、建設費150万円を募る活動を展開してきました。
そして発足から1年半後の2011年2月、小学校が無事に完成いたしました。
この間の、3月16日から18日の3日間にかけて、完成した小学校を訪れ、学校建設後の村や子ども達の様子の調査をしてきました。
今日はその事について記事を書きます。
学校が建設されただけでは、その地域の教育事情は改善されません。
村人達だけで学校を運営できるようになるために、これからどんな継続支援を行っていくべきか。という事を考慮するために、村人にききとりをしました。
調査で特に明らかにしたかったのは、以下の3点
①大人達の現在の教育への考え
②小学校の普段の様子やシステム
③先生の、仕事に対する意欲がどの位あるのか
以下がその調査の結果です。
①大人達の現在の教育への考え、お話を伺ったのは村長です。(ちなみに村長は昔から村に住んでいる人間である事、人望がある事などの条件を考慮し、国の役人が指名する)
村長によると、大人達は子どもの頃全員小学校に通っていたが、田舎だから昔は“勉強より仕事をするべきだ”という考えが主流だったために、中退した人もいたそうです。
※仕事というのは村で行っている農業のこと(ヤギ・牛・鶏・豚の育成、米・ゴマ・とうもろこし・里芋などの栽培)
しかし自分達が大人になり、勉強ができない事で仕事(村での農業以外の、町での仕事を指す)がないという状況に。
そして、同じ思いを子どもにさせたくないから通わせているそうです。
もちろん、子どもは学校に通ったら家の仕事の手伝いができないけれど、将来仕事に就くために学校に行かせていて、特に高校まで出たら政府の仕事につけるから高校まで行ってほしいと話していました。
でも、公の仕事でなくてもたとえば建築家など自分の進みたい道に進んで欲しいからそのために勉強してほしく、将来仕事に就く事で村に帰ってこないとしてもいい。
自分の子どもが将来幸せだったらそれでいい。と話してくれ、意外と自由な考え方に驚きました。
②小学校の普段の様子やシステム
この村には、少し離れた村にある小学校に通う事ができない、小さい1・2年生のための小学校が元々ありました。
その小学校が本校で、村の小学校はその分校という形で存在していました。しかし、3年生から、離れた小学校までわざわざ通わず、中退してしまう子どもも多くいました。
新しい小学校ができてから、村の小学校だけで1年生から最終学年である5年生まで教える事ができるようになりました。
今、村の小学校に通うのは、全員で68人(1・2年生27人、3・4年生31人、5年生10人)です。
それぞれ年齢は、1年生が6~7歳、2年生が7~10歳、3年生は10~11歳、4年生は11~12歳です。
授業科目は、算数・ラオ語・歌・絵・おりもの・道徳、英語(3年生から)であり、1日に3コマ(朝2つ/午後1つ)行われ、 1コマ2時間です。
毎日何を教えるかは国が年単位で決めています。授業の間には10分の休み時間も設けられています。
ラオスでは、午前の授業が終わったら一度自分の家に帰り、昼食をとってから再登校というスタイルなので、お昼休みは1~2時間あります。
ラオスの進級テストは1月と5月の2回あり、1月はおちても大丈夫だが、5月におちると留年となります。
村で1月にテストに落ちた子は1・2年で5人、3・4年で3人いたそうなので、5月のテストは頑張ってほしいです!
卒業は5月で、今年は今の5年生10人(女2男8)が卒業し、全員中学校に進学するそうです。中学校は村から13km離れていて、自転車で通うことになります。
高校は寮(100万キープ/年)に住み、通学します。今は6人村から行っています。
教科書は、政府から与えられたものを使用しています。
しかし、ひとつの小学校でもらえる教科書の数が決まっていて、それ以上にもらうことができないので、足りなくなった場合、何人かで一緒に使うことになります。
また、年が変わっても新しい物をもらえるわけではないので、新3年生は新4年生が3年生の時に使っていた物を使いまわす事になります。
つまり、教科書は手元には残りません。
それに対し文房具は政府から無料でもらえるので、足りなくなったら先生がルアンパバーンという、村から車で片道2時間の大きな観光都市までもらいに行っています。
ラオスの公立小学校の授業料は無料ですが、学校の運営費や光熱費などを生徒達は払わなければいけません。(先生への給料は国からでています)
フォエイカン村の小学校も同様で、その費用は1人年間7万5000キープ(5月16日時点で1キープ0.01円)です。ちなみに村の1家族の1ヶ月の電気代が2~5万キープです。
学費は村長に払い、小学校で何かを用意するためにお金が必要な時は、先生達が村長に申請します。
学費が払えてない子は5、6人いるようですが、村長がなんとかやりくりしているようで、特に問題はなく支援もいらないとのことでした。
③先生の、仕事に対する意欲がどの位あるのか
よく途上国の小学校支援でいわれる先生の問題に、授業の質の低さと仕事に対する意欲の低さの2つが挙げられます。
前者は、小学校卒業という学歴の先生もいる事。
そして後者は特に田舎に赴任された先生が暮らしの不便さや給料の低さなどの不満から真面目に仕事をこなさないという問題です。
村の小学校には先生が3人います。
全員大学まで進学していて、教員試験に合格した先生達です。
本人達の希望で異動もあるようで、3人のうち1人の女性の先生は、9月に旦那さんの地元へ戻りそこで働くそうで、また別の先生が村にやってくることになるそうです。
授業の質の向上のためにも、村の先生3人が勉強を教えるにあたって何か難しさや障害を感じているのであれば、それらを取り除くような支援の方向性を模索しようとCHISEで考えていたので、
現在の教え方や授業の様子を聞いてきました。
村の小学校では、週に1度テストを全教科行い、更に月の平均を出して優秀な子を発表していました。
その結果は、個人個人の成績ノートに記されるだけではなく、模造紙にも書かれ教室にはられていました。
教室にはそのほかにも、“努力は必ずむくわれる”などのスローガンや、子ども達が授業で描いた絵もはられていました。
また校庭には、新たに花壇ができていましたがこれは国からの指示ではなく、先生達が自ら、農業を営む事になる子ども達に植物の育て方や自然を大切にするという考えを養うために考案してやり始めたとのことでした。
他の学校の先生達とより良い教え方について話をしたりすることもあるそうです。先生をしていて1番嬉しかった事は、子どもに一生懸命教えて、それが伝わった時だそうです。
村については、もち米とか、ご飯とか先生の生活で足りない物をくれるからここへ来て良かったと考えていると言っていました。
これらの調査結果をもとにこれからの継続支援の方向性を決めていくのですが、思っていたよりも村の人や先生の教育に対する意欲が高く、村人だけで運営できるようになる日も遠くないように思いました。
村人だけで運営が可能にもかかわらず、支援を続けてしまうと支援過剰を引き起こし、自立性が失われてしまう事もあり得ます。
また他の村からすると、どうしてあの村ばかり…と嫉妬をかってしまい、思わぬいざこざを招いてしまう事にもつながりかねません。
実際に、村長が隣の村の友達に、この村は小さいのに新しい学校があって羨ましいと言われた(その村は大きいけど学校はなく、子ども達は近くの村の学校に通っている)とのことでした。
今回の調査で村の小学校にはもうほとんど継続支援は必要ではないと判断しました。
しかし、教科書や本が手元に残らないのは、せっかく学校に通い読み書きができるようになって、色んな知識を吸収できるようになったのにもったいないと感じたので、
今度の夏には、村人に材料を用意してもらい本棚を作り、そこに置く本を贈ろうと考えています。
以上がラオスの学校を支援している団体の報告です。