7月30日から10月10日まで愛知県の4会場を中心に国際芸術祭「あいち2022」が開催されました。
4会場とは愛知芸術文化センター、常滑市、一宮市、有松(名古屋市)です。
10月4日、7日、8日の3日間で4会場を巡ってきました。
あいち2022は国内外から100組のアーティストが参加し、現代美術、パフォーミングアーツ、ラーニング・プログラムなど、ジャンルを横断し、最先端の芸術を「あいち」から発信するもので、前回までは「あいちトリエンナーレ」と呼ばれ3年毎に行われているもので、今回初めて観てきました。
とは言え、開催初期は暑い日が続いていたため、閉幕ぎりぎりのタイミングになってしまいました。
「新たな芸術の創造・発信により、世界の文化芸術の発展に貢献する」、
「現代芸術等の普及・教育により、文化芸術の日常生活への浸透を図る」、
「文化芸術活動の活発化により、地域の魅力の向上を図る」
の3つを目的に、STILL ALIVE(スティル・アライブ)がテーマになっています。
タイトル画像は「ともだちになるためにぼくらはここにいるんだよ」(近藤 亜樹)です。
世界中のさまざまな問題を跳ね返すほどのエネルギーが、勢いよく、何度も厚く重ねられた絵具の層に現れています。
1)「泥の雨」フロレンシア・サディール
地元常滑の陶芸家である水上勝夫とのコラボレーションによって生み出されたもの。
常滑の土を使って彼や地元の若い陶芸家たちがつくり上げた1万2千個以上のボールを、サディールが水上らとともに野焼きをして仕上げたもの。
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2)風や水、そして炎の力によって変化する大地のエネルギーを伝えている。
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3)「オーフォード・ネス」イワニ・スケース
吊り下げられた約1000個のガラスが雲や雨を思わせる。
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4)ガラスは豪州の先住民の主食であるヤム芋の形をしており、文化的・精神的に重要な象徴でもある。
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5)「綯う(NAU)」眞田 岳彦
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6)愛知が継承してきた技術、愛知と世界の関係、人と人の関係、あるいは地域や自然との関係を綯うことを通して表現。
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7)「祈り、地平線、常滑」デルシー・モレロス
膨大な数のクッキーやモチで埋め尽くされた空間に、スパイスの利いた香りが立ち込めていて、私たちの触覚や嗅覚を刺激する要素が充満している。
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8)ファニー・サニン(50年以上一貫して、平面的な色面と直線によるシンメトリーな抽象絵画の制作を続ける)
垂直と対角線方向に置かれた帯や、中央を横切って画面に安定感をもたらす水平線が見られることが特徴。
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9)アブドゥライ・コナテ
コートジボワール北部とマリ南東部の先住民族セヌフォ族のミュージシャンの衣装に着想を得て、短冊状にしたマリ産の綿織物を重ねて作られた作品
各色は生命、起源、平和、太陽、自然などを、そして藍染で有名なマリを代表する青は水を象徴している。
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10)ケイリーン・ウイスキー
古くから伝わる先住民の文化と、資本主義の輝きに彩られた消費文化という複数の文化を取り込み、それらをミックスしながら作品を制作している。
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11)升山 和明
犬山市にかつてあった「清水屋」という総合スーパーとタクシーがモチーフ。
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12)バリー・マッギー
サインペインティング、民芸品、公共の壁画、初期のグラフィティなど、すべてを発想源として取り入れている。
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13)「イベント・ホライズン」ローマン・オンダック
1本のオークの木の幹を100枚に切断し、その年輪に応じた1917年から2016年までの歴史的な出来事を刻印した作品。
人類の歴史とオークの木が歩んできた歴史を結びつけ、1本の木の断面から、現代世界の自然の営みや宇宙法則といった大局的な視点を想像させる。
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14)「YourMoon」渡辺 篤
2020年4月に発令された緊急事態宣言の直後「孤立感を感じていること」という条件で集まった匿名の人々が、渡辺から送付されたスマホ用の小型望遠鏡を使って撮影したもの。
自らの孤独と他者の孤立に思いを馳せ、その存在を想像することで、孤独をベースとした柔らかな連帯を生み出している。
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15)「ピープルズ・ウォール(人々の壁)2022」ミット・ジャイイン
江戸時代の浮世絵に描かれた有松の風景のなかで、絞り染めの反物が屋外で風にたなびく様子や店先の暖簾に着想を得たもの。
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16)分断や境界を曖昧にし、その絵画に触れる私たちに、生き延びるためのポジティブなエネルギーを届けようとする作家の願いが込められている。
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17)AKI INOMATA
絞り染めの技術と、ミノガ(箕蛾)の幼虫、ミノムシが巣をつくる技術の混淆を、久野染工場の協力を得て実現。
蛾の羽を見事に再現しています。
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18)
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19)おまけ①芸術文化センター中庭のオブジェ
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20)おまけ②常滑の坂道、床には陶管が埋め込まれ、壁には甕が積まれています。
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21)おまけ③一宮駅周辺の街路樹、枝の張り具合が面白かったので。
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今回のテーマ「STILL ALIVE」はコロナ禍、ロシアのウクライナ進攻、旧統一教会問題など暗い出来事ばかりの今に相応しいものと思います。
それでも我々は生きている、そんな時代だからこそ小さなことにも喜びや希望を見出し、前に進んでいこうというメッセージが共有されることを願わずにはいられません。