新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

AIの時代にもとりわけ必要とされる哲学。「AIに勝てるのは哲学だけだ――最強の勉強法12+思考法10」

2018年12月26日 | 新刊書
AIに勝てるのは哲学だけだ――最強の勉強法12+思考法10 (祥伝社新書)
小川 仁志 (著)


哲学でAIに「勝つ」というスタンスが
どこまで有効なのか、いささかの疑問はありますが
AI時代にわたしたちの考え方を作り直さなければならないのはたしかでしょう。
そのためのトレーニングもきっと必要なことでしょう。



新書: 200ページ
出版社: 祥伝社 (2018/12/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4396115601
ISBN-13: 978-4396115609
発売日: 2018/12/26
¥ 864


内容紹介
「最古の学問」が「最先端の技術」に勝つ
著者はAIによって仕事の二極化、人材の二極化が起こると予測する。すなわち「頭を使う仕事」と「頭を使わない仕事」、「AIを使う人」と「AIに従う人」である。また、安易に「AIに聞けばいい」とする風潮にも警鐘を鳴らす。では、AI時代に求められる能力とは何か? それは「考える力」であり、哲学的思考法である。物事の本質を考え、言葉で表現する哲学は二千数百年にわたり、多くの問題を解決してきた。最近では、思考法としても見直されている。著者いわく「最古の学問・哲学が最先端の技術・AIに勝つ」。そのための勉強法+思考法をトレーニングも含め、披露する。

<以下、目次>
第1章 考える人と従う人
第2章 哲学こそ、最強の学問である
第3章 AIに勝つ、最強の勉強法12
❶課題解決勉強法 ❷娯楽でも知識でも教養でもない読書術 ❸「役に立たないもの」習得法 ❹質問・千本ノック ❺回答・千本ノック ❻物語創作勉強法 ❼ながら勉強法 ❽ソーシャルキャピタル勉強法 ❾お金に物を言わせる勉強法 ❿好きなものだけ&飽きたらやめる勉強法 ⓫ご褒美勉強法 ⓬全身勉強法
第4章 最強の哲学思考法10
❶セルフ問答法 ❷プラグマティック思考法 ❸感情思考法 ❹本音思考法 ❺身体思考法 ❻記憶生成法 ❼瞑想思考法 ❽宇宙一体化思考法 ❾記号思考法 ❿メタ思考法
第5章 未来の生き方


著者について
小川仁志(おがわ ひとし)
哲学者、山口大学国際総合科学部准教授。1970年、京都府生まれ。京都大学法学部卒業後、伊藤忠商事入社。同社退職後、4年間のフリーター生活を経て名古屋市役所入庁。同市役所に勤務しながら、名古屋市立大学大学院にて博士号(人間文化)取得。徳山工業高等専門学校准教授、プリンストン大学客員研究員を経て、現職。専門は公共哲学。NHK Eテレ「世界の哲学者に人生相談」の指南役や商店街での「哲学カフェ」主宰などでも知られる。著書に『哲学カフェ! 』『問題解決のための哲学思考レッスン25』『5日で学べて一生使える! レポート・論文の教科書』など。

興味深い取り組みに注目「ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹の文化史」

2018年12月25日 | 新刊書
ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹の文化史 (アジア遊学228)
山口博 (監修), 正道寺康子 (編集)


ユーラシアの地域において聖なるものとみなされている樹木を取り上げながら
神話学や民族学的な考察を展開するという魅力的なアプローチの本のようです。
言われてみればなるほどですが
なかなか思いつかない構想かも。
目次をみても、面白そうな論文が集まっています。



単行本(ソフトカバー): 328ページ
出版社: 勉誠出版 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 458522694X
ISBN-13: 978-4585226949
発売日: 2018/12/25
¥ 3,024


内容紹介
聖樹を核とするユーラシアの文化回廊を描く

北欧エッダのユグドラシル、シベリアやモンゴルにおけるシャマンの樹木信仰、中国の『山海経』にみえる建木、諏訪大社の御柱や東日本大震災を生き抜いた奇跡の一本松…。
世界の中心軸としての宇宙樹(世界樹)の観念や豊穣・再生を象徴する生命の樹の思想は、時代・地域・民族によりさまざまな名称で呼ばれ、神話や儀礼、芸術、文学のなかでシンボル化され、人々の心に根付いてきた。
古代から現代に至る宇宙樹・生命の樹の思想と精神文化、そのベースとなる樹木崇拝・巨木信仰の諸相を、ユーラシア北方から日本への文化伝播に焦点を当てながら、民俗・考古・歴史・神話・文学など多角的な視点から掘り起こす。

目次

序論 山口博

Ⅰ ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹
よみがえる生命の樹 山口博
生命の樹の思想 山口博
ユーラシア草原文化と樹木 林俊雄
世界樹・生命の樹・シャマンの樹 荻原眞子
モンゴルの樹木信仰 新巴雅爾
中国少数民族ホジェン族の叙事詩に謡われる「神の樹」 于暁飛
樹木の生命力と時間の想像 劉暁峰
「月中の桂」の正体をめぐる一考察 項青
「日代の宮」の百枝槻 辰巳和弘
『うつほ物語』・『源氏物語』の大樹―「死と再生」の物語 正道寺康子
中世小説(お伽草子)における樹木の諸相―四方四季の庭園の樹木、聖樹、宇宙樹、並びに擬人化された樹木 勝俣隆
生命のない庭の生命の樹 千田稔

Ⅱ ベースとしての巨樹信仰とその変容
巨樹と樹神―〈環境文学〉の道程 小峯和明
巨樹から生まれしものの神話―御柱の深層へ 北條勝貴
樹木と昔話 マツ村裕子(*「マツ」は「木+船の右」)
巨木と仙薬が奏でる物語―『うつほ』の物語、あるいは陶酔と幻想の「胡笳の調べ」 上原作和
「花の詩学」と「樹の詩学」(試論) 長谷川弘基
「ワークワークの樹」のはるかなる旅―『千一夜物語』から『西遊記』まで 長谷川亮一
近世随筆に見る樹木奇談―樹が動くとき― 碁石雅利
漱石文学と隠喩としての植物―『門』を中心に― 李哲権
泉鏡花、魂のゆくえの物語 兵藤裕己

あとがき 正道寺康子

編著者プロフィール
山口博(やまぐち・ひろし)
富山大学・聖徳大学名誉教授、元新潟大学教授、北京日本学研究センター客員教授、文学博士。専門は日本古代文学を核にした比較文化。
主な著書に『王朝歌壇の研究』四冊(桜楓社、1967〜93年)、『古代文化回廊 日本』(おうふう、2004年)、『平安貴族のシルクロード』(角川書店、2006年)、『創られたスサノオ神話』(中央公論新社、2012年)、「ユーラシア北方文化の中の日本神話」(聖徳大学『論叢』に連載中)などがある。

正道寺康子(しょうどうじ・やすこ)
聖徳大学短期大学部教授。専門は平安朝物語文学。
著書に『日本琴學史』(共編著、勉誠出版、2016年)、論文に「『うつほ物語』とユーラシア文化」(『国文学 解釈と鑑賞』2011年8月号)、「『うつほ物語』と仙界の音楽」(『王朝文学と東ユーラシア文化』武蔵野書院、2015年)、「前期物語から見る物語史」(『新時代への源氏学8 〈物語史〉形成の力学』竹林舎、2016年)などがある。



「ベルクソン『物質と記憶』を再起動する」

2018年12月25日 | 新刊書
ベルクソン『物質と記憶』を再起動する――拡張ベルクソン主義の諸展望 単行本
村上靖彦 (著), 三宅陽一郎 (著), バリー・デイントン (著),


ベルクソンの著作の中でも『物質と記憶』はもっとも難解であるとともに
もっとも魅力的な本でもあります。
「拡張ベルクソン主義宣言」と銘打ったシリーズは
この『物質と記憶』を集中的にとりあげています。
シリーズ三作、どれも読んでみたくなります。

なおシリーズの残りの二作は
シリーズ第一巻 ベルクソン『物質と記憶』を解剖する
シリーズ第二巻 ベルクソン『物質と記憶』を診断する
です。





単行本(ソフトカバー)
出版社: 書肆心水 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4906917860
ISBN-13: 978-4906917860
発売日: 2018/12/25
¥ 3,888



内容紹介
拡張ベルクソン主義宣言! 第三弾、完結編
ベルクソンから人工知能の未来を展望する

時代にあまりに先駆けて世に出たがゆえに難解書とされてきた『物質と記憶』を、隣接諸領域の最新成果と接続しつつ現代的に読み解く野心的シリーズ最終巻。シリーズ完結を機に、品切中の第一弾『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する』を増刷。

目 次

序 論……平井靖史

第1部 持続と生

『物質と記憶』における生……フレデリック・ヴォルムス(天野恵美理訳)
ベルクソンの実証的形而上学をめぐって……安孫子信
ベルクソンにおける現働的なものと潜在的なもの……ポール=アントワーヌ・ミケル(天野恵美理訳)
現象学をベルクソン化する……村上靖彦
《コラム》経験の拡張……増田靖彦

第2部 意識と過去

脳型ロボット研究に基づく意識及び自由意志の統合的な理解……谷 淳(石渡崇文訳)
ベルクソン・モデルの人工知能への取り込み……三宅陽一郎・平井靖史
鼎談 ベルクソンと人工知能の未来……谷淳・三宅陽一郎・平井靖史
《コラム》拡張ベルクソン主義とエンジニアリング――持続の工学的再構成は可能か?……三宅岳史
無時間的汎心論……バリー・デイントン(木山裕登訳)
時間は何を保存するか――ベルクソンにおける出来事個体の数的同一性の創設とイメージの問題……平井靖史
《コラム》持続一元論および時間の線イメージ――平井靖史氏とバリー・デイントン氏へのコメント……伊佐敷隆弘

第3部 緊張と拡張

溺死する心――心理学にとってのベルクソンの継続的な妥当性について……スティーヴン・D・ブラウン(山内翔太訳)
純粋記憶の「自覚」――西田幾多郎の絶対無の哲学からの(過剰)解釈……杉村靖彦
《コラム》記憶における「開いたもの」と「閉じたもの」……伊東俊彦
『物質と記憶』から『想像と発明』へ――ジルベール・シモンドンとイマージュのもう一つの理論……アンヌ・ルフェーヴル(米田翼・山根秀介訳)
extensionと縮約――『物質と記憶』第四章におけるベルクソンの直観を再考する……平光哲朗
関係と偶然――『物質と記憶』をめぐる「持続」解釈の試み……永野拓也
《コラム》物質は自由か――『物質と記憶』によって広げられる問いとその射程……谷口薫

人名索引・事項索引

ゲバラの本格的な伝記「チェ・ゲバラとキューバ革命」

2018年12月25日 | 新刊書
チェ・ゲバラとキューバ革命
内藤陽介 (著)


生誕90年となったゲバラですが
まだまだ熱いファンは多いようです。
彼の伝記に胸をこがしたかつての若者たちも読みたい
ゲバラの本格的な伝記が登場しました。
寒い冬の日の読書には適した一冊かも




単行本: 640ページ
出版社: えにし書房 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 490807352X
ISBN-13: 978-4908073526
発売日: 2018/12/25
¥ 4,212

内容紹介
2018年、ゲバラ生誕90年。2019年、キューバ革命60年。記念の年に満を持してのゲバラ本。 盟友フィデル・カストロのバティスタ政権下での登場の背景から、“エルネスト時代"の運命的な出会い、モーターサイクル・ダイアリーズの旅、カストロとの劇的な邂逅、キューバ革命の詳細と広島訪問を含めたゲバラの外遊、最期までを郵便資料でたどる。 世界各国でのゲバラ関連郵便資料を駆使することで、今まで知られて来なかったゲバラの評価、外遊の様子などをゲバラの意外な一面を紹介。

目次
第1章 フィデルの登場
第2章 エルネストから“チェ”へ
第3章 グランマ号の革命
第4章 農業改革とキューバ親善使節団
第5章 プラヤ・ヒロン
第6章 踏み絵になったゲバラ
第7章 ミサイル危機
第8章 国連総会での演説
第9章 別れの手紙
第10章 ここにいるべき人物がいない。それはチェだ
第11章 俺はただの男にすぎない。撃て!
第12章

出版社からのコメント
かつてジョン・レノンが“世界一カッコいい男"と呼び、現在でもTシャツのイラストなどで有名なチェ・ゲバラは、1928年、アルゼンチンで生まれ、1967年にボリヴィア山中でのゲリラ活動中に捕えられ、39歳で逝去。キューバ革命の英雄として有名な彼だが、若き日の南米縦断旅行をはじめ、革命政府の要人として日本を含むアジア・アフリカ・東欧への歴訪、コンゴでの武装闘争支援など、じつはその足跡は全世界に及ぶ。その軌跡を郵便資料という独自の視点からたどり「現代史」を浮かび上がらせる稀有な書。

著者について
1967年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し研究・著作活動を続けている。 主な著書 『なぜイスラムはアメリカを憎むのか』(ダイヤモンド社)、『中東の誕生』(竹内書店新社)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『切手と戦争』(新潮新書)、『反米の世界史』(講談社現代新書)、『事情のある国の切手ほど面白い』(メディアファクトリー新書)、『マリ近現代史』(彩流社)、『朝鮮戦争』、『アウシュヴィッツの手紙』、『リオデジャネイロ歴史紀行』、『パレスチナ現代史』(えにし書房)。

トポロジーに関心をもつ方にお勧め「読むトポロジー (角川ソフィア文庫)」

2018年12月24日 | 新刊書
読むトポロジー (角川ソフィア文庫)
瀬山 士郎 (著)



PHPで刊行されていた「はじめてのトポロジー: つながり方の幾何学」の
文庫化と思われるこの書物は、
なかなか直観的に理解しにくいトポロジーについて
図解しながら分かりやすく示してくれます。
トポロジーに関心をもつ方にお勧めです。


文庫: 256ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044003955
ISBN-13: 978-4044003951
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 864 文庫 ¥ 864


内容紹介
数学的直観に響く!パズル感覚で楽しめる! 豊富な図版で読む入門書

三角形と円が同じ? コーヒーカップとドーナツが同じ!?――そんな「形の見方」の先に広がる数学世界とは。20世紀に大発展を遂げたトポロジー(位相幾何学)の魅力を、一筆書き、メビウスの帯、クラインの壷、ポアンカレ予想、4次元空間等の話題とともに紹介。ほとんど数式を用いず、直観的にイメージしやすいよう、豊富な図版でやさしく解説。意表をつく面白さで、パズル感覚で楽しめる! 数学迷宮への扉を開く入門書。

第1章 形とはなんだろうか
1 最古の学問としての数学
2 形とはなにか
3 相似という形
4 射影という考え方
5 ライプニッツとオイラー

第2章 つながり方の幾何学
1 幾何学が扱うこと―ひもの形と輪ゴムの形
2 オイラーの発見――筆書きとその仲間
3 部屋渡りの問題――ハミルトン回路
4 美術館の巡回路の問題

第3章 曲線のトポロジー オイラー・ポアンカレの定理
1 つながっている? いない?
2 グラフと1次元ベッチ数
3 植木算とベッチ数

第4章 曲面のトポロジー 曲面を設計する
1 曲面とはなにか
2 トーラスと球面
3 クライン管
4 射影平面
5 複雑な曲面の展開図
6 クライン管再考

第5章 曲面のホモロジーとホモトピー
1 曲面上の牧場
2 曲面を切ってみる
3 曲面のホモロジー群
4 ホモトピー/円周を縮めてみる

第6章 次元を超えて
1 次元とはなにか
2 3次元の球面
3 ポアンカレ予想

第7章 いろいろな話題
1 トポロジー玩具
2 結び目

内容(「BOOK」データベースより)
三角形と円が同じ?コーヒーカップとドーナツが同じ!?―そんな「形の見方」の先に広がる数学世界とは。20世紀に大発展を遂げたトポロジー(位相幾何学)の魅力を、一筆書き、メビウスの帯、クライン管、ポアンカレ予想、4次元空間等の話題とともに紹介。ほとんど数式を用いず、直観的にイメージしやすいよう、豊富な図版でやさしく解説。意表をつくおもしろさで、パズル感覚で楽しめる!数学迷宮への扉を開く入門書。

グノーシス研究に不可欠な資料「ヒッポリュトス 全異端反駁」の待望の邦訳

2018年12月24日 | 新刊書
キリスト教教父著作集19: ヒッポリュトス 全異端反駁
ヒッポリュトス (著), 大貫 隆 (翻訳)




長らく待たれていたヒッポリュトスの「全異端反駁」が
信頼できる大貫訳でついに登場しました。
グノーシス研究にとって貴重な文献の邦訳に注目!
少し値が張るので、地元の図書館に購入請求しましょう。
下に列挙しましたように、「キリスト教教父著作集」は貴重な資料を邦訳してくれています。



単行本: 582ページ
出版社: 教文館 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4764229196
ISBN-13: 978-4764229198
発売日: 2018/12/22
¥ 9,936

内容紹介
グノーシスの系譜学にとって不可欠かつ第一級の資料

エイレナイオスの弟子でもあった神学者ローマの聖ヒッポリュトス(170 年頃~235 年)の主著で、『哲
学誌』の別称でも知られるキリスト教的グノーシス主義への反駁書。古典文献を博覧強記で引照し、グ
ノーシス諸派の教説をギリシア哲学の盗用と強弁して厳しく論難する。本邦初訳。

著者について
1945 年静岡県生、1980-1991 年東京女子大学、1991-2009 年東京大学大学院総合文化研究科、2009-2014 年自由学園最高学部勤務、現在東京大学名誉教授。
主な編著書 『グノーシス考』『グノーシス 陰の精神史』『グノーシス 異端と近代』(共編著)『グノーシス「妬み」の政治学』(以上岩波書店)、『ロゴスとソフィア』(教文館)、『グノーシスの神話』(講談社)。
主な訳書 『ナグ・ハマデイ文書』全4巻、『グノーシスの変容』、クルト・ルドルフ『グノーシス』(以上共訳、岩波書店)、ハンス・ヨナス『グノーシスと古代末期の精神』全2巻(ぷねうま舎)、『キリスト教教父著作集2/I エイレナイオス1』『同2/II エイレナイオス2』『同3/III エイレナイオス5』(教文館)。

キリスト教教父著作集には次のようなものがこれまで出版されています。


■ストロマテイス(綴織)
[アレクサンドリアのクレメンス著] ; 秋山学訳
教文館 2018.1-2018.5 キリスト教教父著作集, 第4巻/1-2 . アレクサンドリアのクレメンス||アレクサンドリア ノ クレメンス ; 1-2
■ケルソス駁論
オリゲネス[著] ; 出村みや子訳
教文館 2016.1
■初期護教論集
[メリトン, アリスティデス, アテナゴラス著] ; 加納政弘, 井谷嘉男訳
教文館 2010.3 キリスト教教父著作集, 第12巻
■倫理論文集
[テルトゥリアヌス著] ; 木寺廉太訳
教文館 2002.12 キリスト教教父著作集, 第16巻 . テルトゥリアヌス||テルトゥリアヌス ; 4
■異端反駁
エイレナイオス [著] ; 小林稔訳
教文館 1999.5-2017.9 キリスト教教父著作集, 第2巻/1-2, 第3巻/1-3 . エイレナイオス||エイレナイオス ; 1-5
■第一弁明、第二弁明、ユダヤ人トリュフォンとの対話「序論」
ユスティノス[著] ; 柴田有, 三小田敏雄訳
教文館 1992.11 キリスト教教父著作集, 第1巻
■殉教者行伝
土岐正策, 土岐健治訳
教文館 1990.7 キリスト教教父著作集, 第22巻
■護教論(アポロゲティクス)
テルトゥリアヌス著 ; 鈴木一郎訳
教文館 1987.11 キリスト教教父著作集, 第14巻 . テルトゥリアヌス||テルトゥリアヌス ; 2
■プラクセアス反論 ; パッリウムについて
テルトゥリアヌス著 ; 土岐正策訳
教文館 1987.10 キリスト教教父著作集, 第13巻 . テルトゥリアヌス||テルトゥリアヌス ; 1
■ケルソス駁論
オリゲネス[著] ; 出村みや子訳
教文館 1987.9- キリスト教教父著作集, 第8,9巻 . オリゲネス||オリゲネス ; 3,4

医学の分野でも傑出していた「聖ヒルデガルトの『病因と治療』を読む」

2018年12月24日 | 新刊書
聖ヒルデガルトの『病因と治療』を読む
臼田 夜半 (著)


中世の聖女として有名なヒルデガルドは、
わたしたちにはその作曲でなじみですが
ホリスティック医学の分野でも先駆者だったということは知りませんでした。
珍しい著書の邦訳に注目。




単行本: 256ページ
出版社: ポット出版プラス (2018/12/23)
言語: 日本語
ISBN-10: 4866420081
ISBN-13: 978-4866420080
発売日: 2018/12/23
単行本 ¥ 3,024

内容紹介
「人はなぜ病むのか」を、天地創造から掘り下げる――。
「中世ヨーロッパ最大の賢女」にして「ドイツ薬草学の祖」、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンによるホリスティック医学の古典、『病因と治療』が、ついに日本語訳となりました!
名著『フィジカ』と対をなす1冊で、ヒルデガルト医学はこの2書に集約されます。
本書『病因と治療』では、心身の病の原因と治療法を500項目以上にわたって詳細に解説。
ヒルデガルト自然学・医学の研究者、ハーブ研究家、セラピストの必読書です。

目次
はじめに 臼田夜半……11
英訳第二版序文 プリシラ・トゥループ……47
凡例……54

BOOK Ⅰ 宇宙と元素……55
BOOK Ⅱ 人間の本性と病の原因……101
BOOK Ⅲ 治療法(1)……289
BOOK Ⅳ 治療法(2)……317
BOOK Ⅴ 生と死の兆候・月齢と気質……363

あとがき 臼田夜半……402
参考文献……408
索引……414

前書きなど
本書の大まかな構成では、BOOK I で世界の創造と諸元素、太陽・月・星と自然の諸力などを扱い、BOOK II では病気の原因を求めてアダムの堕落から体液論へ、男女の性衝動から受胎論を経て魂の働き、そして諸病の原因に及ぶという内容になっている。BOOK III 以降は、BOOK II にみた各々の病気の原因に対応する具体的な治療法を示すのだが、BOOK III の冒頭には、わざわざ「神の啓示による以下の治療法」という断り書きが記されている。BOOK I 、BOOK II の神学的分野ならいざしらず、具体的な治療法や処方に関しても、これは神の啓示、すなわち神に託された預言であると、ヒルデガルトはいっている。
(中略)
入浴や食事・飲酒に対する寛容な態度を含め、その療法の全体から、ヒルデガルトという個性のもつおおらかな一面と、透明な精密さとを感じ取るのは、おそらくわたしだけではないだろう。本書が五感のすべてを通して読み進められることを願っている。
(「はじめに」より)

漱石と時代のかかわりを探る「戦争の時代と夏目漱石」

2018年12月23日 | 新刊書
戦争の時代と夏目漱石
小森 陽一 (著)


あまり読まれることのない夏目漱石の『満韓ところどころ』を手掛かりに
漱石の戦争にたいする姿勢を読み取ろうとする野心的な一冊。
この作品だけでなく、漱石のさまざまな作品の中に姿をみせている
時代の諸相を探り出そうとする試みも行われています、
明治維新150周年の今年の最後を締めくくるにふさわしい本だと思います。



単行本(ソフトカバー): 184ページ
出版社: かもがわ出版 (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4780309980
ISBN-13: 978-4780309980
発売日: 2018/12/21


内容紹介
■内容■
明治を生きた漱石は「戦争の時代」とどう向き合ったのか?紀行文『満韓ところどころ』を漱石研究家が初解説。なぜ「韓」は書かれなかったのか?そこから帝国主義への批判的精神が見えくる!

■目次■
まえがき
第一章 『満韓ところどころ』を読む
(1)なぜ「韓」は書かれなかったのか
(2)『満韓ところどころ』から見える満州経営の実相
「南満鉄道会社っていったい何をするんだい」という問い
「クーリー」に見る人身売買
総合的な植民地経営の始まり
日露戦争におけるロシアからの戦利品
旅順、203高地の激戦の跡
「満州日日新聞」での伊藤博文暗殺についての所感
朝鮮にも行ったのに寸止めにしたのは
第二章 小説『門』と帝国主義へのまなざし
『門』における宗助と御米の物語
冒頭の日常会話に秘められた真相
日本の近代工業成立過程を背景に
子どもが産めない夫婦の秘密
安井から逃げ出した小説の顛末
第三章 『満韓ところどころ』を旅する
(1)日清・日露戦争と南満州鉄道
〈旅順〉日露戦争と漱石小説
〈東鶏冠山・水師営〉当時の陸軍の食糧・感染症事情
〈白玉山から203高地へ〉激戦の跡とロシアからの戦利品
〈関東法院〉安重根処刑の地
〈金州副都統衛門跡地〉子規との文学的友情の始まり
(2)満州帝国とはなんであったか
〈長春、瀋陽を訪ねる〉
(3)中国で戦争責任を考える
〈平頂山惨案遺址記念館・その1〉事件の顛末とその意味
平頂山事件の生存者の家族の話
〈平頂山惨案遺址記念館・その2〉事件に見る戦争のリアリズム
〈撫順戦犯管理所〉戦争責任のあり方を問う
〈旅を終えて〉日本人は戦争責任とどう向き合ってきたのか
第四章 明治と向き合った小説家・夏目漱石
夏目漱石にとっての明治という時代
〈『点頭録』〉漱石は第一次世界大戦をどう評価したか
〈『それから』〉明治とはどのような時代だったか
〈『こゝろ』〉日清戦争による賠償金の行方
〈『虞美人草』〉日露戦争は「人種と人種の戦争」
〈『門』〉安重根による伊藤博文暗殺事件
〈『草枕』〉徴兵制国家の象徴としての汽車
〈『吾輩は猫である』〉「大和魂」と軍国主義批判
〈『私の個人主義』〉自己本位を貫くということ
終章 明治維新150年に当たって漱石に学ぶ
日本国憲法によって国民は初めて主権者に
安倍政権による集団的自衛権行使の公認
私と夏目漱石研究
漱石の思想はどのように形成されたのか
あとがき
夏目漱石略年表

■著者略歴■
小森 陽一(コモリヨウイチ)
東京大学大学院教授、専攻は日本近代文学、九条の会事務局長。

今、ヨーロッパでもっとも気になる国「フランス現代史 (岩波新書)」

2018年12月23日 | 新刊書
フランス現代史 (岩波新書)
小田中 直樹 (著)


第二次世界大戦後のフランス現代史。
欧州統合の立役者になりつつあるフランスですが
足元から異議申し立ての波が押し寄せつつあります。
今、ヨーロッパでもっとも気になる国フランスの現代史の書物は
いくらあっても足りないくらいです。




新書: 240ページ
出版社: 岩波書店 (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4004317517
ISBN-13: 978-4004317517
発売日: 2018/12/21

内容紹介
1944年の解放から、「栄光の30年」、五月危機、石油危機、「ミッテランの実験」の挫折、新自由主義、そしてマクロン政権成立──フランスの戦後を通観すると、そこには「分裂と統合の弁証法」というダイナミックなメカニズムがみえてくる。欧州統合の動きにも着目しながら現代フランスの歩みをとらえる通史。

序 章 分裂と統合の弁証法
 1 「モデル」から「先行者」へ
 2 分裂と統合の弁証法
 3 相対的後進国

第一章 解放と復興―― 一九四〇年代
 1 解放,対立,和解
 2 経済復興
 3 第四共和政の成立

第二章 統合欧州の盟主をめざして―― 一九五〇年代
 1 脱植民地化と欧州統合
 2 復興から成長へ
 3 第五共和政の成立

第三章 近代化の光と影―― 一九六〇年代
 1 「栄光の三〇年」
 2 近代化のなかで
 3 五月危機

第四章 戦後史の転換点―― 一九七〇年代
 1 過渡期としてのポンピドー政権
 2 「栄光の三〇年」の終焉
 3 分裂する社会

第五章 左翼政権の実験と挫折―― 一九八〇年代
 1 ミッテランの実験
 2 新しい社会問題
 3 異議申立ての諸相

第六章 停滞,動揺,模索―― 一九九〇年代
 1 争点化する欧州統合
 2 動揺する社会
 3 模索する政治

第七章 過去との断絶?―― 二〇〇〇年代
 1 「古いフランス」と「新しいフランス」
 2 グローバル化
 3 ポピュリズム

終 章 その先へ

あとがき

年 表
索 引

あまり顧みられなかったテーマを取り上げた注目作「蛮行のヨーロッパ」

2018年12月23日 | 新刊書
蛮行のヨーロッパ:第二次世界大戦直後の暴力
キース・ロウ (著), 猪狩 弘美 (翻訳), 望 龍彦 (翻訳)


戦争が終わったからと言って暴力がなくなるわけではなく
かえってそれまで抑えられていた暴力が猛威を振るうこともあるわけです。
イギリスで大評判のノンフィクション作品である本書は
そのような終戦の喜びの背後で暴発した暴力を描きだすものです。
もっとたくさん書かれていて当然でありながら、
あまり顧みられなかったテーマを取り上げた注目作。



単行本: 636ページ
出版社: 白水社 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4560096570
ISBN-13: 978-4560096574
発売日: 2018/12/22


内容紹介
ヘッセル=ティルトマン賞受賞作品

本書は、1945年の終戦から40年代末まで、欧州各地で吹き荒れた夥しい残虐行為──復讐、民族浄化、内戦──などを詳細に論じ、「戦後の闇」に光を当てる歴史書。むろん、大戦が終わってすぐに平和が訪れたわけではなく、大混乱のさなか、残虐行為が次々と広範囲にわたって起こったことが明かされる。「民族浄化」、「内戦」、「ソ連支配」といった大きな視点から、ドイツ人看守への復讐、ドイツ人兵士と関係をもった女性の頭髪の丸刈り、ドイツ人兵士と現地女性との間に生まれた子供への嫌がらせといった身近な事例まで、網羅している。
自民族の被害を誇張して加害の過去を相対化したり、他民族の加害によって自民族の加害の過去を相対化するような試みが、現在に至るまで行われている。本書は、大戦直後の「暴力」の知られざる実態を、当事者の証言と最新の統計を駆使して、冷静に解明している。
本書は、イアン・カーショーが「生々しく、背筋が凍る」と賛辞を寄せ、英国で優れた歴史ノンフィクション作品に贈られるヘッセル=ティルトマン賞を受賞し、世界八カ国語以上の言語に翻訳されている。口絵写真・地図多数収録。

著者について
1970年生まれ、ロンドン在住の著述家。マンチェスター大学で英文学を学び、歴史関連書の出版に携わった後、作家および歴史家として著作を発表し続けている。小説『トンネル・ヴィジョン』(雨海弘美訳、ソニーマガジズ、2002)の邦訳、連合国によるハンブルク爆撃によって生じた1943年の空襲大火に関する歴史書Inferno: The Devastation of Hamburg, 1943 (2007)がある。本書は、英紙『サンデー・タイムズ』のトップ10ベストセラーとなり、英国で優れた歴史ノンフィクション作品に贈られるヘッセル=ティルトマン賞を受賞している。また、ドイツ語、オランダ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ポーランド語、スロヴェニア語、中国語といった複数の言語に翻訳されている。

また読んでみたくなる「千夜千冊エディション 理科の教室」

2018年12月22日 | 新刊書
千夜千冊エディション 理科の教室 (角川ソフィア文庫)
松岡 正剛 (著)


卓越した書評の書き手である松岡が「千夜千冊」で書きつづけた書評を
テーマごとに集めて文庫化したシリーズ。今回のテーマは「理科の教室」。
目次に示されているように、科学の一般的なテーマの書評が集められている。
インターネットでも読めるが、このように手軽に文庫にまとめられると
また読んでみたくなる。


文庫: 400ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044004471
ISBN-13: 978-4044004477
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 1,382 文庫 ¥ 1,382


内容紹介
本は遊びたがっている。知はつながりたがっている。

こどものときは理科が好きだった。なのにいつのまに物理は苦手、とか言うようになったのか。かつては理科室でわくわくしていた文系人間がすらすら読める愉快な一冊!

著者について
●松岡 正剛:編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。80年代に情報文化と情報技術をつなぐ方法論を体系化し「編集工学」を確立し様々なプロジェクトに応用。2000年「千夜千冊」の連載を開始。同年、eラーニングの先駆けともなる「イシス編集学校」を創立。近年はBOOKWAREという考えのもと膨大な知識情報を相互編集する知の実験的空間を手掛ける。また日本文化研究の第一人者として「日本という方法」を提唱し独自の日本論を展開。著書に『知の編集工学』『擬』『世界と日本の見方』『国家と「私」の行方』ほか。
もくじ
第一章 科学のおじさん
マイケル・ファラデー『ロウソクの科学』八五九夜
ウィルヘルム・オストワルド『化学の学校』一六八三夜
アンリ・ポアンカレ『科學と方法』一八夜
寺田寅彦『俳句と地球物理』六六〇夜
中谷宇吉郎『雪』一夜
野尻抱影『日本の星』三四八夜
湯川秀樹『創造的人間』八二八夜
朝永振一郎『物理学とは何だろうか』六七夜
ジョージ・ガモフ『不思議の国のトムキンス』七六八夜
オリヴァー・サックス『タングステンおじさん』一二三八夜

第二章 鉱物から植物へ
上西一郎『理科年表を楽しむ本』三一一夜
益富寿之助『カラー自然ガイド・鉱物』一一九夜
森本信男・砂川一郎・都城秋穂『鉱物学』一〇四四夜
井尻正二『化石』一〇五〇夜
ピーター・トーマス『樹木学』八〇九夜
盛口満『シダの扉』一四七六夜
田中美穂『苔とあるく』一六一四夜

第三章 虫の惑星・ゾウの耳
本川達雄『生物学的文明論』一四八七夜
リチャード・フォーティ『三葉虫の謎』七八〇夜
奥谷喬司編著『貝のミラクル』七四四夜
坂田明『クラゲの正体』一二四夜
トニー・D・ウィリアムズほか『ペンギン大百科』一九五夜
岩松鷹司『メダカと日本人』一三〇七夜
ハワード・E・エヴァンズ『虫の惑星』二七七夜
日浦勇『海をわたる蝶』一一四五夜
ジェームズ・ローレンス・パウエル『白亜紀に夜がくる』六一六夜
クリス・ミード『フクロウの不思議な生活』五三三夜
佐々木洋『カラスは偉い』六四〇夜
クリス・レイヴァーズ『ゾウの耳はなぜ大きい?』八〇二夜
日高敏隆『ネコはどうしてわがままか』四八四夜
子母沢寛『愛猿記』九四夜
江藤淳『犬と私』二一四夜

第四章 背に腹はかえられるか
デズモンド・モリス『裸のサル』三二二夜
三木成夫『胎児の世界』二一七夜
石原勝敏『背に腹はかえられるか』七七〇夜
久保田博南『電気システムとしての人体』四六七夜
クロード・ベルナール『実験医学序説』一七五夜
イヴ=マリ・ベルセ『鍋とランセット』四二三夜
藤田紘一郎『笑うカイチュウ』二四四夜
石弘之『感染症の世界史』一六五五夜
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』五九三夜

アメリカとはどのような国だったか「若い読者のためのアメリカ史 」

2018年12月22日 | 新刊書
若い読者のためのアメリカ史 (Yale University Press Little Histor)
ジェームズ・ウエスト・デイビッドソン (著), 上杉 隼人 (翻訳)





「若い読者のため」と銘打っただけあって、
アメリカの地理的な状態と新大陸の発見から説明をはじめている。
いまトランプ大統領の登場とともに、世界におけるアメリカの地位と役割について
新たな問いが生まれているだけに、
このような書物はタイムリーだろう。



単行本: 464ページ
出版社: すばる舎 (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4799107690
ISBN-13: 978-4799107690
発売日: 2018/12/22
Kindle版 ¥ 3,456 単行本 ¥ 3,456


目次
1鳥たちはどこへ導いた?/2空間と時のなかにおける大陸/3ひとつから成る多数 /4黄金時代と黄金の時代/5世界が衝突する時/6われはいかにして救われるか?/7天使たちと見知らぬ者たち/8好景気に浮かれる国/9公平と不公平/10啓蒙と覚醒/11願いごとは慎重に/12口論ではすまない/13平等と独立/14より完全な連邦/15ワシントンの懸念 /16自由の帝国 /17大衆の味方/18綿花王国/19焼き尽くされて/20フロンティア /21国境を越えて/22今後の事態/23どう再建するか/24次なるブーム/25襟の色/26二都物語/27新西部/28幸運か勇気か?/29進歩派 /30衝突/31大衆/32ニューディール/33世界大戦/34超大国/35世界の終わり/36あなたかもしれない、あるいはあなたかもしれない/37雪崩/38保守派の転換/39つながる/40過去はさらに問いかける

内容
航海者コロンブスの視点からはじまる手に汗握る激動の500年!
どのようにして今のアメリカ合衆国が形作られてきたのか。
利害がぶつかるなかで、人々は何を求め、いかに行動してきたのか。
本書では、衝突を繰り返し、大陸に広がり、多種多様な人々を抱え、自由と平等のもとに結合しようと悪戦苦闘してきたアメリカの変遷をたどる。
大陸発見から現代までをその時代の人の目線で描き出し、ひとつの物語のように繰り広げる躍動感にあふれた歴史書である。

出版社からのコメント
誰もが自由であるために、国家はいかに成長するべきか
本書はいかにしてアメリカ合衆国が成り立ったかを記す歴史書である。アメリカの物語は500年におよぶ瞠目すべきものだ。いかにして一国が途方もないほどさまざまな人たちを抱えながらひとつの大陸に広がっていくか、本書に記した。さらにアメリカの人々がいかにして自由と平等の旗印のもとに結合したかも論じた。アメリカのモットーは、国璽にラテン語で記されているE pluribus unum, すなわち「多数から成るひとつ」だ。国家の独立を宣言した創設者たちが強調したのは、アメリカ国民は、事実上すべての人間は、公平に創られ、生命、自由、および幸福追求の権利を保持するということだった。
一見、こうした自由や平等や単一といった考え方はほとんどおとぎ話というか、現実世界から遠くかけ離れているように思える。国内の数十万人もの住民は外から拉致されて奴隷として連れて来られたというのに、どうやって自由を宣言できるというのか? 国内の半分の人間——すなわち女性たちだ——が男性と同等の権利を与えられていないというのに、どうして創設者たちは平等を礼賛できるのか? 真にひとつに結合した国家が、非常に多くのそれぞれさまざまに異なる人たちを受け入れてはたして成り立つのか?
あまりにたくさんの異なる人たち。あまりに違い過ぎて、自分とはまったく関係ない人たち! ほんとうにそうだろうか? 誰もがみな歴史を生き抜き、書き上げたいと願う。だが忘れてはいけないのは、歴史を読み解いて、書いて、記憶すればするほど、その行いも記憶されつつ歴史を生き抜く可能性もさらに広がるということだ。

科学史の書物としても楽しめる「ニュートンに消された男 ロバート・フック」

2018年12月22日 | 新刊書
ニュートンに消された男 ロバート・フック (角川ソフィア文庫)
中島 秀人 (著)


これは「ロバート・フック ニュートンに消された男 (朝日選書) 」を文庫化したもの。
ニュートンとフックの競争関係については、興味深い逸話がいろいろと伝えられている。
そうした逸話からは二人の人物とその偉大さだけではなく
近代科学が誕生してくる時代の特徴と、その制約もみえてくる。
伝記としてだけではなく、科学史の書物としても楽しめる。
文庫化されて手軽に読めるようになったのもうれしい





文庫: 368ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4044003904
ISBN-13: 978-4044003906
発売日: 2018/12/22

内容紹介
抹殺されたもう一人の天才。 ニュートンが憎んだその業績と実像に迫る!!

抹殺されたもう一人の天才。
その業績と実像に迫る!!

「フックの法則」に細胞の「発見」。いまも教科書で誰もが名前を目にする科学者であり、17世紀に時代の寵児として活躍した男、フック。
しかし、彼の肖像画は一枚も残されていない。それは、死後にニュートンが彼を学界から消していったからだ。
なぜニュートンの論敵となったのか? 彼はどんな生涯を送り、どのような研究をしていたのか?
抹殺されたもう一人の天才、その業績と実像に迫る!!
大佛次郎賞を受賞した本格科学評伝。

もくじ
序 ワイト島への旅立ち
1 科学者フックの誕生
第1章 ワイト島からオクスフォードへ
第2章 科学者フックの誕生
第3章 王立協会とグレシャム・カレッジ

2 フックの科学的業績
第4章 ミクロの世界の探究
第5章 気体研究への取り組み
第6章 フックの日常生活
第7章 フックの法則
第8章 天文学者フック
第9章 一七世紀のレオナルド――技術改良家としてのフック

3 二人の巨人
第10章 ニュートンの登場――光学論争の始まり
第11章 巨人の肩に乗って――美しき和解?
第12章 落体の軌道についての論争
第13章 『プリンキピア』――決定的破裂
終章 ニュートンに消された男

あとがき――若き日の先端研に捧ぐ


索引


著者について
●中島 秀人:1956年東京生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。85年東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程満期退学。東京大学先端科学技術研究センター助手、ロンドン大学インペリアルカレッジ客員研究員を経て、95年より東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授。専攻は科学技術史、STS(科学・技術・社会論)。主な著書に『ロバート・フック ニュートンに消された男』(朝日新聞社、大佛次郎賞)『 日本の科学/技術はどこへいくのか』(岩波書店、第28回サントリー学芸賞・思想・歴史部門受賞)などがある。

アイヌの歴史を地図で示す「地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史」

2018年12月21日 | 新刊書
地図でみるアイヌの歴史―縄文から現代までの1万年史
平山 裕人 (著)



アイヌの歴史は、文字資料が少ないためになかなか再現するのが困難だと思われますが、
本書はすでに得られている情報を
地図の上にプロットして分かりやすく示したもの。
アイヌのかつての故郷の土地を旅行するときにもきっと役立つに違いありません。


単行本: 232ページ
出版社: 明石書店 (2018/12/19)
言語: 日本語
ISBN-10: 4750347566
ISBN-13: 978-4750347561
発売日: 2018/12/19

内容紹介
アイヌ民族のルーツとは何か。北海道・サハリン南部・千島列島に渡る独自の文化圏はいかに形成されたのか。未だ謎の多い日本の先住民族の現代までの歩みを、60の多彩なテーマ別に豊富な地図と図表、史料を用いてわかりやすく描く。巻末に詳細な年表付き。

 はじめに

第1章 アイヌ文化の基層にあるもの
 1.北海道にはアイヌ民族が先住している
 2.アイヌとはどういう人たちを言うのか
 3.「原北海道」の旧石器文化
 4.遺伝子(DNA)の分析からみるアイヌの歴史
 5.アイヌの昔話からみるアイヌの祖先
 6.アイヌ語の起源

第2章 北日本型の新石器文化の変遷
 1.新石器文化の開始
 2.新石器文化の展開
 3.新石器文化の爛熟

第3章 原アイヌ文化期
 1.東アジアに国が登場
 2.南にヤマト王朝、北にオホーツク文化、そして原アイヌ文化は
 3.東北地方にもアイヌ語地名がある
 4.日本史の文献にみえるエミシとは何か
 5.阿倍比羅夫の侵攻
 6.アテルイの戦い
 7.アキタエミシの戦い
 8.擦文文化
 9.オホーツク文化

第4章 アイヌ文化前期
 1.アイヌの生活の変化
 2.サハリンアイヌと元王朝の戦い
 3.アイヌの神話からみるアイヌ文化
 4.イシハの遠征
 5.14世紀のアイヌの風習
 6.津軽安藤氏の登場
 7.コシャマインの戦い
 8.夷狄商舶往還の法度
 9.自由交易の興隆
 10.チャシを造る

第5章 アイヌ文化後期
 1.豊臣秀吉の朱印状
 2.徳川家康の黒印状と松前城下交易
 3.ゴールド・ラッシュと商場知行制
 4.シャクシャインの戦い
 5.起請文の現実
 6.和人領域内のアイヌ
 7.サハリンのハラタ・カーシンタ制
 8.ロシアのカムチャツカ・千島列島侵攻
 9.場所請負制度の開始
 10.アイヌモシリを襲う日本・清・ロシア
 11.クナシリ・メナシの戦い
 12.ラックスマン来航から20年
 13.アイヌ民族のスタイル
 14.日露通好条約と漁場労働の猛威

第6章 近現代のアイヌ史
 1.アイヌの近現代史を先住権の視点からみると
 2.「開拓使」とアイヌ民族への政策
 3.千島・樺太交換条約
 4.北海道旧土人保護法に至る道
 5.アイヌ学校
 6.近代のサハリンアイヌ
 7.戦前のアイヌ民族運動
 8.アイヌ民族と戦争
 9.アジア・太平洋戦争
 10.現代のアイヌ民族と同化政策
 11.狩猟採集の動物資源・植物資源と近現代
 12.差別とアイヌ文化
 13.同化政策と「アイヌ民族は生きている」という訴え
 14.アイヌ遺骨問題
 15.アイヌ文化の継承・発展
 16.先住権を求めて
 17.世界の先住民族の権利獲得
 18.アイヌ新法制定をめぐる綱引き

 主な引用・参考文献一覧
 アイヌ史年表
 索引
 おわりに


著者について
北海道小樽市立高島小学校教諭。主な著書に以下のものがある。『アイヌ史を見つめて』『アイヌの学習にチャレンジ』『アイヌ史のすすめ』『ようこそ アイヌ史の世界へ』(以上、北海道出版企画センター刊)『ワークブック アイヌ・北方領土学習にチャレンジ』『アイヌ語古語辞典』『アイヌの歴史―日本の先住民族を理解するための160話』『地域別アイヌ史資料集』(以上、明石書店刊)


どんな過去が明らかになるのか、わくわくする「昆虫考古学」

2018年12月21日 | 新刊書
昆虫考古学 (角川選書 610)
小畑 弘己 (著)


むかし琥珀の中に閉じ込められた虫というテーマが話題になりました。
ジュラシック・パークという映画も、琥珀の中に閉じ込められた蚊から恐竜の血液を採取して
恐竜を蘇らせるという筋書きでした。
琥珀という鉱物の中に、生物が閉じ込められることで、
数億年も前の歴史がわたしたちの前に甦るのです。
本書はそれほど前ではなく、縄文時代の土器に残された虫の残した痕を手掛かりに
考古学的な考察を展開しようとするものです。
どんなことが明らかになるのか、スリリングですね。


単行本: 240ページ
出版社: KADOKAWA (2018/12/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4047036455
ISBN-13: 978-4047036451
発売日: 2018/12/21

内容紹介
最新科学で迫る縄文時代。土器の粘土に残る痕跡から人々の暮らしが見える。

縄文土器の表面や断面に現れた当時のタネやムシたちの「圧痕」は、いわば「人が作った化石」といえる。土器の製作時に粘土中に練り込まれたコクゾウムシなどの貯蔵食物害虫をはじめとする家屋害虫は、縄文人が定住し、植物を栽培し、それらを貯蔵するようになって自然に集まってきたムシたちであった。従来の方法ではその資料的限界からわからなかった縄文時代の人々の意(衣)食住の実態を、今、この圧痕ムシたちが語り始める――。

1章 コン虫とガイ虫
2章 縄文土器はごきぶりホイホイ
3章 ムシとヒトの歴史――シラミとゴキブリ
4章 ウンチの中から出てくるムシたち
5章 ハエが見ていた人の死――葬送昆虫考古学の世界
6章 殺虫・防虫の考古学
7章 クリを食べたコクゾウムシ
終章 害虫と人の未来
著者について
●小畑 弘己:1959年、長崎県に生まれる。1982年、熊本大学法文学部史学科卒業。熊本大学大学院人文社会科学研究部教授、博士(文学)。主な著書に、『タネをまく縄文人 最新科学が覆す農耕の起源』(吉川弘文館、第5回古代歴史文化賞大賞)、『考古学の基礎知識』(共著、角川学芸出版)、『Jr.日本の歴史1 国のなりたち』(共著、小学館)、『東北アジア古民族植物学と縄文農耕』(同成社)など。