新刊の森

人文分野を中心に、できるだけその日に刊行された面白そうな新刊を、毎日三冊ずつ紹介します。役立ちそうなレシピにも注目。

新しい観点から読みたいマルクス論「(増補改訂版) マルクスの物象化論 -資本主義批判としての素材の思想」

2019年01月08日 | 新刊書
(増補改訂版) マルクスの物象化論 -資本主義批判としての素材の思想
佐々木 隆治 (著)


マルクスを物象化論から考えるというのはかなりクラシックなアプローチですが
「素材の思想家」という観点には関心をひかれます。
どのような見地から新しいマルクス像が描かれているのか
読んでみるのが楽しみです。




単行本: 456ページ
出版社: 社会評論社; 増補改訂版 (2019/1/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4784518606
ISBN-13: 978-4784518609
発売日: 2019/1/8
¥ 4,860


内容紹介
哲学批判と「実践的・批判的」構えとしてのカール・マルクスの「新しい唯物論」を解明し、「素材の思想家」としてのマルクス像を照らす。

第I部 「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」

第1章 マルクスの「唯物論」にかんする諸説
第2章 マルクスにおける「新しい唯物論」
第3章 哲学批判と「実践的・批判的」構えとしての「新しい唯物論」


第II部 物象化論の「実践的・批判的」意義

第4章 物象化論の理論構成
第5章 物象化と疎外
第6章 物象化と所有
第7章 価値の主体化としての資本と素材的世界
結 論 素材の思想家としてのマルクス

著者について
著書『マルクス 資本論』(角川選書)『カール・マルクス』(ちくま新書)など。

楽しめそうなちくま新書「ヨーロッパ近代史」

2019年01月07日 | 新刊書
ヨーロッパ近代史 (ちくま新書 1377)
君塚 直隆 (著)


本日発売のちくま新書の歴史ものの三冊目です。
新年は歴史書に読みふけることになるのでしょうか。
近代史500年の総括とは、大きな課題ですが
本書では「宗教と科学の相剋」という視点から
ヨーロッパが世界史において世界を圧倒した理由を探るというものです。
新書にしては厚い本ですし、これも楽しめそうです。




新書: 348ページ
出版社: 筑摩書房 (2019/1/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480071881
ISBN-13: 978-4480071880
発売日: 2019/1/7
Kindle版 ¥ 918 新書 ¥ 1,080

内容紹介
なぜヨーロッパは世界を席巻することができたのか。「宗教と科学の相剋」という視点から、ルネサンスに始まり第一次世界大戦に終わる激動の五〇〇年を一望する。

著者について
1967年生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻後期博士課程修了。博士(史学)。東京大学客員助教授、神奈川県立外語短期大学教授などを経て、関東学院大学国際文化学部教授。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。著書に『立憲君主制の現在』(新潮選書、サントリー学芸賞受賞)、『物語 イギリスの歴史(上・下)』『ヴィクトリア女王』(以上、中公新書)、『ジョージ五世』(日本経済新聞出版社)、『肖像画で読み解く イギリス王室の物語』(光文社知恵の森文庫)、『近代ヨーロッパ国際政治史』(有斐閣)など多数。

東京のゲニウス・ロキを探る「都市空間の明治維新: 江戸から東京への大転換」

2019年01月07日 | 新刊書
都市空間の明治維新: 江戸から東京への大転換 (ちくま新書 1379)
松山 恵 (著)


これは歴史書といっても、東京という都市が明治維新を通じて
どのように変貌していったかを探る書物のようです。
都市の考古学的な考察は、パリのような古い歴史のある都市だけではなく
ニューヨークのように比較的新しい都市でも、予想外の発見をもたらしてくれるものです。
それぞれの都市には地の霊ゲニウス・ロキが宿るとも言います。
江戸と東京にはどのようなゲニウス・ロキがいるのでしょうか。



新書: 286ページ
出版社: 筑摩書房 (2019/1/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480071954
ISBN-13: 978-4480071958
発売日: 2019/1/7
Kindle版 ¥ 810 新書 ¥ 950

内容紹介
江戸が東京になったとき、どのような変化が起こったのか? 皇居改造、煉瓦街計画、武家地の転用など空間の変容を考察し、その町に暮らした人々の痕跡をたどる。

著者について
1975年生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程単位取得退学、ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員などをへて、現在明治大学文学部史学地理学科日本史学専攻准教授。著書に『江戸・東京の都市史』(東京大学出版会)、共著に『伝統都市1』『江戸の広場』(ともに東京大学出版会)、『明治神宮以前・以後』(鹿島出版会)、『みる・よむ・あるく東京の歴史3』(吉川弘文館)などがある。

興味をそそる中世の通史「中世史講義: 院政期から戦国時代まで 」

2019年01月07日 | 新刊書
中世史講義: 院政期から戦国時代まで (ちくま新書 1378)
高橋 典幸 (編集), 五味 文彦 (編集)


最近は歴史書が流行ですね。
カルチャーセンターでも歴史講座は目移りするほどたくさんあります。
わたしたちが自分の置かれた位置を考えるためには、歴史に立ち戻るのが
近道でもありますしね。
江戸時代ほど語られることがなかった中世の通史、ぜひ読んでみたいですね。



新書: 266ページ
出版社: 筑摩書房 (2019/1/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480071997
ISBN-13: 978-4480071996
発売日: 2019/1/7
Kindle版 ¥ 810 新書 ¥ 929


内容紹介
日本史の先端研究者の知を結集。政治・経済・外交・社会・文化など十五の重要ポイントを押さえる形で中世史を俯瞰する。最新の論点が理解できる、待望の通史。

著者について
1970年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『鎌倉幕府軍制と御家人制』(吉川弘文館)、『源頼朝』(山川出版社日本史リブレット)、『日本軍事史』(共著、吉川弘文館)など。

ユニークな視点がおもしろい「1683年 近世世界の変容 (歴史の転換期)」

2018年12月29日 | 新刊書


1683年 近世世界の変容 (歴史の転換期)
守川 知子 (著), 伏見 岳志 (著), 三木 聰 (著), 川分 圭子 (著)


「1683年、オスマン帝国のウィーン包囲失敗」を近代世界の変容の画期とみなすというのは
風変りですね。この書物ではヨーロッパではなく、アジアや植民地に重点を置いているために
このような時代区分が選ばれたのでしょうか。
ユニークな視点が興味をそそります。


単行本: 270ページ
出版社: 山川出版社 (2018/12/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4634445077
ISBN-13: 978-4634445079
発売日: 2018/12/26
¥ 3,780

1683年、オスマン帝国のウィーン包囲失敗に象徴されるように、近世アジア諸帝国は陰りをみせはじめた。そこに登場する近代社会の萌芽を形作る新たな時代の息吹を、貿易・植民地・宗教・法や社会の視点から紹介する。

目次
総論 近世世界の変容
1章 アジア海上貿易の転換(オランダのアジア貿易;中国ジャンク船貿易の台頭 ほか)
2章 あるアルメニア人改宗者の遍歴にみる宗教と近世社会(西アジアの東西大国とアルメニア人;あるアルメニア人改宗者の生涯 ほか)
3章 海賊と先住民に悩まされるスペイン領ユカタン植民地(海賊とカンペチェ港;ログウッド伐採者 ほか)
4章 中国福建省の社会空間(汀州府知府王廷〓の治績;地方士大夫李世熊の行動 ほか)
5章 近世西欧諸国のアメリカ植民地体制における法と経済(近世西欧における植民地・貿易・法の関係;イギリスの航海法と旧植民地体制 ほか)

コミックも読みたくなる「『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史 」

2018年12月29日 | 新刊書
『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史 (星海社新書)
椿原 敦子 (著), 黒田 賢治 (著)


「サトコとナダ」というコミックを手掛かりに
ムスリムの生活について考える本のようです。
コミックや映画を手掛かりにするのは
とてもいい方法だと思います。
ついでもコミックのほうも読みたくなります。


新書: 208ページ
出版社: 講談社 (2018/12/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065144779
ISBN-13: 978-4065144770
発売日: 2018/12/27
¥ 1,058


内容紹介
世界の4人に1人がイスラム教徒になる時代
皆さんはイスラムにどんなイメージをお持ちですか? メッカに向かって祈りを捧げる人々、ベールをまとう女性、遠い世界のちょっぴり怖い人たち……? メディアで取り上げられるイスラムは極端なものばかりなので、ネガティブな印象を持つ方も少なくないでしょう。そこで本書では、イスラムがいつどのようにして生まれたのか、その歴史的背景を紐解くことで、イスラムに対するステレオタイプなイメージをリセットし、よりよいお付き合いのためのヒントを探ってゆきます。我々が知らないうちに身に着けていた、偏見や思い込みというベールを、一旦脱いでみませんか? きっと、多様で豊かなムスリムの姿が見えてくるはずです!

著者について
椿原 敦子
文化人類学者
1974年岐阜県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間科学)。現在、龍谷大学社会学部講師。ムスリムを中心としたアメリカの移民コミュニティについての研究を行っている。著書に「グローバル都市を生きる人々――イラン人ディアスポラの民族誌』(春風社、2018年)など。

黒田 賢治
中東・イスラム研究者
1982年、奈良県生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科東南アジア地域研究専攻博士課程修了。博士(地域研究)。現在、国立民族学博物館現代中東地域研究拠点特任助教。現代イランを中心にムスリム社会の研究にたずさわる。著書に『イランにおける宗教と国家――現代シーア派の実相』(ナカニシヤ、2015年)など。

登録情報

期待させる「不可視の「国際法」――ホッブズ・ライプニッツ・ルソーの可能性」

2018年12月29日 | 新刊書
不可視の「国際法」――ホッブズ・ライプニッツ・ルソーの可能性
明石 欽司 (著)


国際法の根底にある法思想と政治思想を、その根っこのところにある
ホッブズ・ライプニッツ・ルソーに探る書物。
目次からみると重厚な分析のようで、期待させます。
とくにルソーのところが読んでみたい。




単行本: 608ページ
出版社: 慶應義塾大学出版会 (2019/1/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4766425707
ISBN-13: 978-4766425703
発売日: 2019/1/8
¥ 8,100


内容紹介
▼我々の「負の国際法意識」を克服せよ。

啓蒙期「知の巨人」たちは「国際法」とは無関係なのか。現在の一般知識からは影となっている事実に焦点を当て、彼らの「法」「国家」「主権」理論を論理的に描き出す。

国際法史研究の深化を問う最高水準の研究。

本書の主題は、トマス・ホッブズ・ライプニッツ及びジャン=ジャック・ルソーの「法」「国家」「国際法」観念の考察である。

社会科学に関わる思想・理論史研究において、或る分野では高い評価を与えられ、重要な研究対象とされてきた思想家や著作家が、他の分野においては殆ど顧みられることがないままでいるという現象は決して稀なことではない。特定分野においてのみ研究対象として認識され、他の分野で看過されてきた思想家が論じた観念や理論が当該他の分野にとって実際に無意味なものであるならば、それは何らの問題も惹起しない。しかし、そのような観念や理論が無意味であるとの評価が一般的に共有された知識に基づく場合は、その評価自体が問題とされなければならない。

本書で対象とする3人の思想家について国際法学において生じている状況。これに著者は或る種の知的好奇心を抱き、事実に基づく論理的考察を開始する。その契機となった言葉が「負の国際法意識」なのである。

序 論


  第一部 トマス・ホッブズ:「国際法の否定者」か

 はじめに



第一章 予備的考察:国際法(史)概説書におけるホッブズの位置付け

 序

 第一節 国際法概説書におけるホッブズ

 第二節 国際法史概説書におけるホッブズ

 小括と若干の考察



第二章 ホッブズの「法」理論

 序

 第一節 ホッブズによる「法」の定義及び分類

 第二節 ホッブズの自然法理論の本質

 第三節 国家法と自然法の関係

 小括と若干の考察



第三章 ホッブズの「国家」及び「主権」理論

 序

 第一節 ホッブズの国家理論の概要

 第二節 ホッブズの「主権」理論

 小括と若干の考察


第四章 ホッブズの「国家間関係」観

 序

 第一節 「国家間関係」へのホッブズの直接的言及とそれに対する疑問

 第二節 ホッブズの論述に内在する「修正された自然状態」:その存在

 契機と永続

 第三節 ホッブズの社会契約理論と「修正された永続的自然状態」

 小括と若干の考察


第五章 ホッブズの「国際法」認識:「『国際法』と自然法は同一」であることを中心に

 序

 第一節 「国際法」への明示的言及と通説

 第二節 「『国際法』と自然法は同一」論の考察の前提:「条約」の法

 的地位と国家の擬制的人格

 第三節 「『国際法』と自然法は同一」であるのか

 第四節 「主権」・「主権者」・「国家」の関係を巡る問題」

 小括と若干の考察


第一部 まとめ


 第二部 ライプニッツ:「失われた環」

 はじめに


第一章 予備的考察:国際法(史)概説書及び国際法史研究におけるライプニッツの位置付け

 序

 第一節 「国際法」関連文献及び国際法概説書におけるライプニッツ

 第二節 国際法史研究におけるライプニッツ

 小 括


第二章 ライプニッツの「法」観念

 序

 第一節 ライプニッツの法認識を巡る若干の特色

 第二節 ライプニッツの法観念の基本的構成

 小括と若干の考察


第三章 ライプニッツの「国家」観念

 序

 第一節 「社会」

 第二節 国家観念を巡る諸問題

 第三節 国家の擬制的人格

 小括と若干の考察


第四章 ライプニッツの「主権」理論:“Suprematus” 観念の分析を中心として

 序

 第一節 「統治権」観念の錯綜

 第二節 “Suprematus”・“summa potestas”・“superioritas

 territorialis”・“Souverainet?”

 第三節 “Suprematus” 理論における帝国等族

 第四節 “Suprematus” の特質

 小括と若干の考察



第五章 ライプニッツの「国際法」観念

 序:ライプニッツの「国家間関係」観

 第一節 ライプニッツの「国際法」理論

 第二節 ライプニッツの「国際法」理論の内実

 小括と若干の考察


第二部 まとめ


  第三部 ルソー:「国際法」の構想とその挫折

 はじめに


第一章 予備的考察:国際法(史)概説書におけるルソーの位置付け

 第一節 国際法概説書におけるルソー

 第二節 国際法史概説書におけるルソー

 小括と若干の考察



第二章 ルソーの「法」・「国家」理論の概要

 序

 第一節 ルソーの「法」観念の概要

 第二節 ルソーの国家(社会)構成理論の概要

 小 括


第三章 ルソーの「国家間関係」観

 序

 第一節 国家間関係の発生と「自然状態」

 第二節 欧州の特殊性

 小 括


第四章 ルソーの「国際法」理論

 序

 第一節 「自然国際法」の存在可能性

 第二節 「実定国際法」の存在可能性

 第三節 ルソーの「戦争」観念と「戦争法」規範:「国際法」理論とし

 て理解可能か

 第四節 「欧州公法」と欧州諸国家間のシステム

 小括と若干の考察


第五章 ルソーの論証方法と理論における問題点

 序

 第一節 論証方法における問題点:方法論的矛盾

 第二節 理論的問題点:「一般意志」

 小 括

第三部 まとめ:「孤独な散歩者」の近代国際法学史上の地位

  結 論

 本書のまとめ

 内在的理解による「国家間関係」観・「国際法」観念の提示の更なる意

 義

 永続的課題としての我々の「負の国際法意識」の克服


あとがき

文献一覧

事項索引

人名索引

明石 欽司[アカシ キンジ]
著・文・その他


著者について
明石 欽司(あかし きんじ)
九州大学大学院法学研究院教授。法学博士(ユトレヒト大学、1996年)。 1958年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程中退。海上保安大学校助手・専任講師、在ベルギー王国日本大使館専門調査員、ブリュッセル自由大学国際法研究所研究員、新潟国際情報大学情報文化学部助教授、慶應義塾大学法学部助教授、同教授を経て、2016年より現職。
“Cornelius van Bynkershoek: His Role in the History of International Law" (Kluwer Law International, 1998)で第32回安達峰一郎賞を受賞。
主要著作として『ウェストファリア条約―その実像と神話』(慶應義塾大学出版会、2009年)ほか。



魅惑的なサドの思想史「サドと二十世紀」

2018年12月28日 | 新刊書
サドと二十世紀
Eric Marty (原著), エリック マルティ (著), 森井 良 (翻訳)

いつまでも思想的な魅力を失わないサド。
思想家たちもずっとサドに魅せられてきました。
20世紀のフランス思想におけるサドの位置についてまとめて考察するというのは
もっと前に注目されるべき重要な論点でした。
目次をみても、その思想的な広がりは明らかでしょう。
少し値がはりますが、ぜひ読んでみたい一冊。



単行本: 488ページ
出版社: 水声社 (2018/12/25)
言語: 日本語
ISBN-10: 4801003656
ISBN-13: 978-4801003651
発売日: 2018/12/25
¥ 8,640



「サド」という現実、「サド」という戦場
悪としてのサディズムのみに着目していた19世紀を経て、
20世紀、思想家たちはどのようにサドを捉えたか?
ロラン・バルトの弟子であり、アンドレ・ジッド研究の泰斗による、サドをめぐる20世紀現代思想史。

アドルノから
クロソフスキー
バタイユ
ブランショ
フーコー
ラカン
ドゥルーズ
ソレルス
レヴィナス
バルトまで
サドが行った選択は、19世紀人にとってよりも、我々にとってずっと重要である。
--ミシェル・フーコー



【目次】
序言

第一部 サド的主体の創設――アドルノ、クロソフスキー、バタイユ、ブランショ
第一章 サドの恐怖政治
第二章 現代的主体としてのサド
第三章 モーリス・ブランショとサド的否定

第二部 サド的主体との対話――フーコー、ラカン、ドゥルーズ
第一章 フーコー――サドと語る現代の譫言
第二章 ラカンとサド的なもの
第三章 ザッヘル=マゾッホ、ドゥルーズの策略

第三部 サド的主体の利用――クロソフスキー、ソレルス、バルト
第一章 ピエール・クロソフスキー、二乗にされたサド
第二章 フィリップ・ソレルスをつうじてサドを書く
第三章 ロラン・バルトとサド的中性

エピローグ――パゾリーニ、ブランショ、レヴィナス
訳者あとがき


【著者について】
エリック・マルティ(Éric Marty) 
1955年、パリに生まれる。パリ第七大学教授、批評家、エッセイスト。ジッドの『日記』の校訂や、師であるロラン・バルトの『全集』を編纂した。主な著書『ルイ・アルセチュール』(1999年。現代思潮新社、2001年)、『ロラン・バルトの遺産』(共著、みすず書房、2008年)などがある。

寛容モデルの比較に依拠した「寛容な社会――アメリカ合衆国における言論の自由と過激派の言論」

2018年12月28日 | 新刊書
寛容な社会――アメリカ合衆国における言論の自由と過激派の言論
リー・C・ボリンジャー (著), 池端忠司 (翻訳)

寛容論をアメリカ社会において研究した書物。
部分訳が『神奈川法学』な連載されていました。
寛容論は自由な社会のための重要なテーマです。
目次からみるかぎり、法学の分野だけに限定されず
寛容のモデルを構築して考察するもののようです。



単行本(ソフトカバー): 400ページ
出版社: 春風社 (2018/12/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4861105935
ISBN-13: 978-4861105937
発売日: 2018/12/28
¥ 4,428


内容紹介
言論の自由はどこまで保障され、どこで制限されるのか。寛容な精神の在り方を主題とし、言論の自由の価値や目的について論じる。

出版社からのコメント
池端忠司(イケハタ・タダシ)
神奈川大学法学部教授。共著に『憲法理論とその展開』(信山社2017)がある。

第1章 自由の奴隷か
第2章 古典モデルとその限界
第3章 要塞モデルとその限界
第4章 寛容なマインドを求めて
第5章 寛容の内部的弁証法
第6章 線引きとあいまいさの長所
第7章 正しい表現方法を探して
第8章 一般的寛容の理論のためのアジェンダ

一覧性の高い参考書「図説 シンギュラリティの科学と哲学」

2018年12月28日 | 新刊書
図説 シンギュラリティの科学と哲学
野田ユウキ (著)



AIがわたしたちの生活にどのような影響を及ぼすのか
シンギュラリティの問題が自分たちの生活にかかわるものであることが
認識されはじめた2018年は、シンギュラリティ「元年」だったのでしょうか。
多くの参考書が刊行されています。
この図説は、こうした問題を一覧するには便利でしょう。



単行本: 244ページ
出版社: 秀和システム (2018/12/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798054623
ISBN-13: 978-4798054629
発売日: 2018/12/28
¥ 1,620




内容紹介
人類は長い歴史のなかで数多くの新しいテクノロジーを生み出してきました。しかし、銃や原子力は人類を幸福にするだけでなく、脅威ともなっています。では最近、注目されているAIはどうでしょうか? 本書は、AIの進化によって機械が人間全体の知性を上回ってしまう時点「シンギュラリティ」について55の視点から多角的に解説します。サイエンス・テクノロジーの最先端で何が起こっているのか、世界はどのように変わるのかがわかります。

著者について
AIとの出会いは1990年代後半、IAMAS(International Academy of Media Arts and Sciences)で知った「人工無能」(開発自体は1960年代から行われていたよう)。光陰矢の如し。時は過ぎ、今回ここにAIと人間の能力が逆転するという未来予測を著すことになった。名古屋市在住。サイエンス・テクニカルライター。

目次
第1章 シンギュラリティとは
第2章 収穫加速の法則
第3章 AI
第4章 同時進行する3つの革命
第5章 衝撃の未来
第6章 キー・インテリジェンス

珍しいスタンスの「日本食と出汁―ご馳走の文化史―」

2018年12月27日 | 新刊書
日本食と出汁―ご馳走の文化史― (生活文化史選書)
松本 仲子 (著)

日本のだしはフランス料理のソースとは違った意味で文化を象徴的に表現するものでしょう。
簡単な澄まし汁でも、だしは難しいもの。
そうしただしについて、レシピではなく文化的な遺産として考察するという珍しいスタンスが
興味深いですね。
汁物のおいしいだしはとれないとしても、もっと別の意味でのだしがとれそうです。



単行本(ソフトカバー): 264ページ
出版社: 雄山閣 (2018/12/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 463902617X
ISBN-13: 978-4639026174
発売日: 2018/12/27
¥ 3,024


内容紹介
分とく山 野崎洋光氏 ご推薦!

大切な食を大事にするには、知識と知恵が必要です。
やる気はあるけど突破口がみえず先に進まぬことがある。
知りたいけど知る知識が無いため先に進めない。
過去があるから今がある、未来がある。
こんな本が欲しかった。
――分とく山 総料理長 野崎洋光


日本食を知りたい!
本書は、「ハレとケ」の献立と配膳などを文献から紐解き、日本食文化の成り立ちを解説するものです。
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、また「日本のおもてなし」の感じさせる食文化として新たな関心が高まっています。
風味、色彩の豊かさ、食しても目にしても季節を感じる日本食の成り立ち。
洗練されてきた過程。
「五感で感じる」ことを特長とする日本人が創り出してきた繊細で豊かな広がり。
こうしたことが、特別な日の食にも、日常の食にも、実は息づいていることを、文献を紡ぐことから明らかにしていきます。
また、日本食のベースになる出汁そのものへ注目されることから、『正倉院文書』(701~781年)から『野崎洋光が考える 美味しい法則』(2016年)までの文献41点から、その変遷を見ていきます。
出汁への考え、取り方、利用方法などを振り返りながら、「日本の味」となった理由を解説していきます。

過去から今へ連綿と続いてきた日本食を実感できる「ご馳走の文化史」です。

著者について
松本仲子(まつもとなかこ)
1936年生まれ。
聖徳大学大学院人間栄養学研究科兼任講師。
1974から2006年まで、女子栄養大学、大学院において「調理学」を担当。2006から2012年まで、桐生大学において「調理学」「食文化論」を担当。
1999年より、聖徳大学大学院人間栄養学研究科兼任講師として「食文化特論」を担当して現在にいたる。

<主要論文>
『大名の日常食 壬生藩主の御献立帳(文化二年)から』右田節子、湯川晴美共著/國學院大学栃木短期大學紀要第三五号(2001年)/『市販だしの素の表示成分と嗜好』工藤貴子共著 日本食生活学会誌二十五巻(2015年)。

読む前から期待が高まる「手塚治虫と戦時下メディア理論 文化工作・記録映画・機械芸術」

2018年12月27日 | 新刊書
手塚治虫と戦時下メディア理論 文化工作・記録映画・機械芸術 (星海社新書)
大塚 英志 (著), 牧野 守 (著)

手塚治虫が戦時中に政府の工作とどのようにかかわっていたのか
マンガは「のらくろ」の頃から戦争や軍隊と密接なかかわりを持っていたのですが
手塚作品もその例外ではないようです。
分厚い新書で、読む前から期待が高まります。
「TVアニメ『鉄腕アトム』幻の第一話」というのも、興味をそそりますね。



新書: 464ページ
出版社: 講談社 (2018/12/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4065144760
ISBN-13: 978-4065144763
発売日: 2018/12/27
¥ 1,512


内容紹介
戦時下の「文化工作」は、いかに手塚治虫を育んだのか?
戦後に花開いた日本映画の担い手たちは、元をたどれば共通の歴史的・文化的体験を有している。東宝が映画を用いて行った戦時下の「文化工作」もその一つであり、あの手塚治虫もまた、それら先鋭的な映画理論やロシア・アヴァンギャルド運動を貪欲に吸収した人物であった。本書では、種々の新史料の発見を通じて、手塚をそれら戦時下のメディア理論の文脈から新たに捉え直すことで、彼の戦後の営みを再解釈せんとするものである。執筆にあたり助力を得た映画史家・牧野守氏の貴重なインタビューや、氏が執筆したTVアニメ『鉄腕アトム』幻の第一話脚本も収録。

著者について
大塚 英志
まんが原作者・批評家
1958年東京都生まれ。まんが原作者としての近作に『クウデタア〈完全版〉』『恋する民俗学者』(http://comic-walker.com/)、海外のまんがアニメ研究者の日本語による投稿論文に門戸を開く研究誌『トビオクリティクス』を主宰。批評家としての近著に『大政翼賛会のメディアミックス』、『まんがでわかるまんがの歴史』、『日本がバカだから戦争に負けた』、『『ロードス島戦記』とその時代』(共同編集)など。

前作とともに読んでみたい「差異を読む;現代批評理論の展開」

2018年12月27日 | 新刊書

差異を読む;現代批評理論の展開
武田悠一 (著)


批評は差異を読むことから始まるというごくまっとうなスタンスで
現代のさまざまな批評理論を考察する書物。
主な流派について、実例となる著作の分析も行われているのは
わかりやすい。
前作の「好評の入門書『読むことの可能性』」というのも、みてみたい。



単行本(ソフトカバー): 336ページ
出版社: 彩流社 (2018/12/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4779125472
ISBN-13: 978-4779125478
発売日: 2018/12/27
¥ 2,700


内容紹介
現代批評はすべて〈差異を読む〉ことから始まる──
「差異」をめぐる社会現象を読む、文学/文化批評の展開。

「文学理論」の「定番」をわかりやすく解説し、
好評の入門書『読むことの可能性』(2017年刊)。

続編の本書では、「フェミニズム」「ジェンダー」「クィア」
「ポストコロニアル」から「アダプテーション」まで、
脱構築以降の批評理論の流れをわかりやすく解説します!


●大学の授業を想定した「ですます調」で読みやすく!

●各章に、解説を補強する「Q&A」付! 

●作家や作品、文献情報、批評用語を解説した丁寧な「注」で
 さらにわかりやすく!

●ディズニー、スピルバーグ、クローネンバーグ、『フランケンシュタイン』、
 『闇の左手』、『こゝろ』等、身近な作品を例に!

目次
第1章 フェミニズム批評

フェミニズムとは?
フェミニズムは終わったか?
一つではないフェミニズム批評理、ほか

第2章 『オーランドー』を読む/観る

小説と映画
セックスとジェンダーの境界を超えた
「両性具有(アンドロジニー)」、ほか

第3章 ジェンダー批評

ジェンダー概念
「1セックス」的身体観
〈人間=男〉であることへの問い、ほか

第4章 『闇の左手』を読む

両性具有の異星人
言語と性差
「男の絆」の危機?
ジェンダーへの問い、ほか

第5章 クィア批評

クィアとは?
ファッションのクィア・リーディング
『こゝろ』のクィア・リーディング、ほか

第6章 ポストコロニアル批評

脱構築とフェミニズム
オリエンタリズム
西洋の妄想
植民地起源神話、ほか

エピローグ アダプテーション批評

文学の力
アダプテーション批評とは?
増殖するテクスト
未来の批評、ほか


著者プロフィール
武田 悠一(タケダ ユウイチ)
たけだ・ゆういち
元南山大学教授。
著書に
『ジェンダーは超えられるか──新しい文学批評に向けて』
(編著、彩流社、2000年)、
『読みの抗争──現代批評のレトリック』
(彩流社、2012年)、
『フランケンシュタインとは何か──怪物の倫理学』
(彩流社、2014年)、
『増殖するフランケンシュタイン──批評とアダプテーション』
(共編著、彩流社、2017年)、
『読むことの可能性──文学理論への招待』
(彩流社、2017年)、
『アダプテーションとは何か──文学/映画批評の理論と実践』
(共編著、世織書房、2017年)、
『アレゴリーで読むアメリカ/文学
――ジェンダーとゴシックの修辞学』(春風社、2017年)ほか。


年始の休みに最適な「現代思想 2019年1月号 総特集=現代思想の総展望2019」

2018年12月26日 | 新刊書
現代思想 2019年1月号 総特集=現代思想の総展望2019 ―ポスト・ヒューマニティーズ―
小泉義之 (著), 千葉雅也 (著), 仲山ひふみ (著),


例年のように年末年始にまとめられる「総展望」ものですが
総括するのはつねに有用です。
今年はAIがらみで「ポスト・ヒューマニティ」をテーマとするようです。
目次にみられるようにユニークな概括が試みられているようです。
年始の休みに最適な一冊かも。


ムック: 310ページ
出版社: 青土社 (2018/12/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4791713753
ISBN-13: 978-4791713752
発売日: 2018/12/26


「ポスト・ヒューマニティーズ」の誕生を宣言
思弁的実在論・新しい唯物論・オブジェクト指向存在論…といった思想の新潮流にAI・人新世・フェミニズム・加速主義…といった社会の諸問題が絡み合う。私たちはここに「ポスト・ヒューマニティーズ」の誕生を宣言し、主要な論者たちとともにそのひらかれつつある未来を展望する。


【目次】


特集*現代思想の総展望2019――ポスト・ヒューマニティーズ



≫≫Post / Non-Human(ities)
【討議】
小泉義之 千葉雅也 仲山ひふみ / 思弁的実在論「以後」とトランプ時代の諸問題

【思弁的唯物論/新しい実在論】

Q・メイヤスー 立花 史訳 / 反復・重復・再演 意味を欠いた記号の思弁的分析
P・ボゴシアン 島村修平訳 / 規範的なものについての相対主義
近藤和敬 / メイヤスーとバディウ 真理の一義性について


≫≫Nature / Materiality
【自然/人新世】
I・H・グラント 浅沼光樹訳 / 自然はあるがままにとどまるのか――力動性と先行性基準
篠原雅武 / 人新世的状況における「人間の条件」の解体についての試論 ポスト・ヒューマン公共空間へ

【身体】
入不二基義  / レスリング行為/レスリングする身体


≫≫Social Theories
【加速主義/新反動主義】
N・ランド 小倉拓也訳 / 死と遣る――タナトスと欲望する生産についての所見
水嶋一憲 / コミュニケーション資本主義と加速主義を超えて――横断個体性の政治のために

【フェミニズム】
R・ブライドッティ 門林岳史 増田展大 訳 / 批判的ポストヒューマニティーズのための理論的枠組み

【討議】
岸 政彦 信田さよ子 / マジョリティとはだれか


≫≫Art / Aesthetics
【オブジェクト】
G・ハーマン 飯盛元章 小嶋恭道訳 唯物論では解決にならない 物質、形式、ミーメーシスについて


≫≫Chart
【図解】
ポスト・ヒューマニティーズの思想地図と小事典 / 飯盛元章



【連載】

短期集中連載●政治的省察●最終回
宇野邦一 / 最悪の政治

連載●瓦礫(デブリ)の未来●第一八回
磯崎新 / 巨大数

連載●分解の哲学●最終回
藤原辰史 / 「分解の哲学」終章

連載●科学者の散歩道●第五四回
佐藤文隆 / 漂流はじめた「物語」 湯川終焉と「海外」と

連載●家族・性・市場●最終回
立岩真也 / 最終回

【研究手帖】
福尾匠 / 思弁的実在論における読むことのアレルギー

ちょっとみてみたい「ラディカルな意志のスタイルズ[完全版]」

2018年12月26日 | 新刊書
ラディカルな意志のスタイルズ[完全版]
スーザン・ソンタグ (著), 管啓次郎 (翻訳), 波戸岡景太 (翻訳)


これはスーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイル 』(晶文選書、1974/1、川口 喬一訳)
の新版のようですが、完全版ということで、省略されていた文章「アメリカで起こっていること」「ハノイへの旅」も追加されているようです。「著者の代表作」かどうかは疑問ですが、
どんなものか、ちよっとみてみたい。


単行本: 376ページ
出版社: 河出書房新社 (2018/12/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4309207626
ISBN-13: 978-4309207629
発売日: 2018/12/26
¥ 3,240


内容紹介
シオラン、ベルイマン、ゴダール論のほか、「アメリカで起こっていること」「ハノイへの旅」を含む完全版が新訳で甦る。著者の代表作

著者について
スーザン・ソンタグ
1933年生まれ。20世紀アメリカを代表する批評家・小説家。著書に『私は生まれなおしている』、『反解釈』、『写真論』、『火山に恋して』、『良心の領界』など。2004年没。