『街のクジラ』(中村淳)を読んだ。
日常に疲れた「私」とひょんな偶然からであった先生、ユウ子。その出会いは自分を取り戻すミッションだった。という感じかな。
ちょいと引っかかった言葉
●先生曰く「病気は人生の街路灯かもしれない。灯火に立ち止まって人生の地図を見直せる」……う~ん、含蓄のあるお言葉。私も立ち止まって人生の地図を見直すとするか。なぞ思ってしまいました。
●なぜクジラは危険を冒して深海まで潜り、大王イカを食べるのか。ある海洋動物学者の話だと、普通の海の魚で栄養は充分だそうである。それは当のマッコウクジラは百も承知だろう。何せ哺乳類で一番大きな脳を持っているのだから。(略)人間の知能を遥かに越えた、想像の及ばない能力を持っていても不思議ではない。
そうだよねえ、あれだけ大きな体と大きな脳みそ。きっと人間とは違った精神の域に彼らは生きているんだろうな。だから、大王イカを食う意味もなんとなく分かる気がする。
だから、「街のクジラ」?
●ユウ子さん曰く「瞬間瞬間に輝かなければ、未来はないと思わない? 明日を心配して今を我慢すれば、輝く瞬間の連続がなくなってしまう。そんな輝かない連続の先にある未来って何?」
確かに、自分を忍耐の連続においておくより、遥かに輝かしい瞬間に奮い立たせたほうが素晴らしいに違いない。でもねえ。ちょっと、社会人には難しい要求なのだ。
ちょっと文章を、拾ってみた。本来部分を取り上げても仕方ないんだけどね。なんとなく、自分のために拾っておきたいって思ったので。
この作者さんも初めて読みましたが、また読みたい気になりましたよ。ということはけっこう気に入ったということかな。