2014年2月 大雪被害
2014年2月7日、8日、14日、15日と二度にわたる大雪で倒壊したビニールハウスの写真を掲載しました。他にも撮影した写真は多数ありますが、経営者から直接写真を公開するご承諾をいただいた写真のみを掲載しました。
●豪雪による太田市における被災者に対する緊急支援対策を求める要望書(PDF)/2014年2月20日/日本共産党太田市委員会/市議会議員 水野 正己・渋沢ゆきこ
今回の大雪では、私も15、16、17、18日と市内をまわり、ビニールハウスが倒壊した農家の方からもお話しをうかがったうえで、2月20日に市長に緊急要望書を提出しています。
住宅・付帯施設の復旧に補助金
市も17日には、今回の大雪により被災した住宅や附帯施設を復旧する市民に、工事費用の30%、最高15万円を上限として緊急補助金(太田市金券)を交付することを発表しています。
しかし被災した農家や業者への支援や今後の除雪体制など多くの課題が残っているのが現状です。
●太田市住宅等雪害対策緊急補助金(太田市ホームページ)
以上の点を踏まえて、2月28日の本会議では、今後の除雪体制に万全を期すとともに、被害の復旧と生業の再建に市が全力をあげて取り組むよう求めています。
●太田市3月議会/予算に対する水野正己の総括質疑/2014年2月28日/太田市議会HP/議会中継のページ
自己負担2割の補助を
被害を受けた農家は当初から「自己負担2割の再建補助があれば何とかなるが、当面の収入が絶たれた分の直接補てんもないと生活が成り立たない」と要望されていました。
農家の声を受け9割補助に
今回の大雪による農業被害に国は当初、国3割、県と市町村で2割の合わせて5割のビニールハウス再建補助を実施すると発表。しかし国は3月3日、ビニールハウス・ガラスハウスなど農業施設の再建に国5割、県・市町村4割の合わせて9割の補助を決定しました。これは「今ある借金のうえにさらに借金を背負うのは難しい」という農家側の声を受けてのものといえます。
ただし9割補助は倒壊前と同じ規模・規格に復原する場合で、倒壊前より強度を上げたり規模を拡大する場合は現状回復分のみの費用が9割補助の対象とされ、雪害に強いハウスをつくるための差額は補助の対象外とされます。
倒壊前と同じハウスをつくる費用は坪3万円。雪害に強いハウスをつくる費用は坪5万円とされます。
畜産被害への支援・補助
内容はいまだに明らかにされず
また今回の大雪では、国は畜産被害に対し緊急支援を行うと発表したものの、具体的な内容はいまだに明らかにされません。
少なくとも、畜舎など施設の再建には農業用ハウスと同様の補助が必要で、収入の減収にも農業共済で補償されない部分を全額補償することが切実に求められます。
一日も早い復旧を
生業の再建に有効な支援を
今回の大雪被害に対する支援を考えるうえで大切なのは、農・工・商・サービス業のいずれも、生業の再建がかなえられる有効な手立てという観点。被災者が今ある借金にさらに借金を重ねても、償還計画が成り立つ貸付+補助の組合わせが不可欠です。つまり当面の生活費まで補てんする補助が不可欠になります。
これ以上、地域経済を
疲弊させてはならない
もう一つ大切なのは、地域経済をこれ以上疲弊させないという観点です。
今回の大雪によって、農業は産地崩壊の危機に瀕していますが、食料供給を担う産地を守ることは、命を守ることです。
農家を守ることは当然ですが、農業を守るということは、関連する他業種を守ることにもつながります。
被害を受けた商工・サービス業者に対する支援・補助でも、単に被害業者を守るだけでなく、被害業者と取引のある他の業者への被害の連鎖を防ぐという観点が欠かせません。
1業者が被害を受けたまま生産・販売の縮小を余儀なくされれば、被害が連鎖・波及することを忘れてはなりません。
再建に実効性ある手立てを
新田みどり農協の参事さんや営農部長さんと私が相談したのは、国が5年間無利子とする貸付に、県や市がさらに利子補給や保証料補助を行い、通常3年間の償還猶予を、県や市の利子補給で5年間の償還猶予に拡大したいということ。参事さんも「なるほど」と言われてました。
再建費用は1000万円
当面の収入も絶たれたまま
今回の大雪でパイプのビニールハウスが倒壊した富若の菊栽培農家。倒壊したハウスの面積は500坪。再建費用は1000万円とされ、中の菊は4月出荷予定でしたが全滅し、当面の収入が絶たれました。
出荷間近の花が全滅
今回の大雪で倒壊した丸山の花き栽培農家の鉄骨ハウスこのお宅は鉄骨ハウス1棟とパイプの美ニースハウス6棟が全壊7棟の面積は300坪。すべてビニールハウスで再建には600万円かかるとされ、花の被害は80万円とされます。
被害面積は40ha
新田みどり農協管内
新田みどり農協によると、市内の新田、尾島地区では農業被害面積は40ha。マスコミは大型ビニールハウスの倒壊ばかりクロースアップしますが、背の低いトンネルハウスの被害も甚大とされます。
求められる資材の増産体制
世良田でゴボウをつくるトンネルハウス農家は、1.5ha(15,000平方メートル)のハウスのうち9割のハウスのポールが折れビニールも破れました。
ポールは1本130円。ハウスの再建には16,200本のポールが必要。ポール代だけで200万円を超え、さらにビニール代も必要。ゴボウも出荷できず。ハウスの折れたポールを替えようとしてもポールの生産が追い付かず、再建もままなりません。ハウスが破れたままでは、中のゴボウにトウがたち出荷できなくなると話します。
手厚い被害補償・再建補助も重要ですが、再建資材の増産体制も重要です。
脱サラして後継者に
つくったばかりのハウスも倒壊
新田権右衛門町では、一昨年、脱サラして奥さんの実家に後継者として就農し、昨年決意してビニールハウスをつくり、一度収穫しただけで倒壊した農家もいます。
再建費用は8000万円
被害額は3500万円
新田権右衛門町でビニールハウスでナスをつくる別の農家は、昨年、補助金を受けてつくったばかりのハウスが倒壊。1ヘクタールのハウスのうち9割が倒壊し、ハウスの再建費用は8千万円とされます。出荷できなくなったナスの被害は3500万円にものぼるとされます。
再建費用は3500万円
被害額は2000万円
新田大町でキュウリをつくるビニールハウス農家の男性は39歳。大卒後10年勤めた会社を辞めて後継者として就農し7年目になります。
お子さんは3歳と4歳。倒壊したハウスは55a(5,500平方メートル)。再建費用は3500万円とされ、出荷できないキュウリは1千万円相当とされます。この農家は年2回作付し、通常なら秋にも作付予定。このままだと秋の作付ができなくなり、キュウリの被害は年2千万円にも上ると話します。
さらに、パイプやビニールなど再建に必要な資材が入荷せず、仮に資材が入荷しても、業者も忙しくて、すぐに施工できるめどがたたないとされます。
支援の拡充に全力で
私は2月28日の市議会本会議でも、農業・商工・サービス業の被害の復旧と生業の再建に市も全力をあげて取り組むよう求めています。
市長は、その段階で国が発表していた、国3割、県と市町村2割の合わせて5割の農業用ハウス再建補助などで理解してほしいと答えています。
しかし国は3月3日、国5割、県と市町村で4割の農業用ハウス再建補助を発表し、畜産被害にも支援を強めるとしていますが、その具体的な内容はいまだに明らかにされません。
さらに業者に対する支援策も不透明なまま。10日からはじまる市議会予算委員会では、生業の再建に有効な実効性のある支援策を早急に確立するよう、気迫をもって求めます。
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