9月議会最終日の24日には、2020年度の太田市決算が可決されました。日本共産党は、一般会計、国民健康保険、後期高齢者医療、八王子山墓園、介護保険、下水道の決算に反対しました。一般会計決算には立憲民主党も反対しました。
決算委員会や本会議で日本共産党が指摘した決算の問題点は次のとおりです。
コロナ対策では、子育て世帯への食事券や全市民対象の50%プレミアム金券、減収を余儀なくされた飲食・生活・小売店への10万円給付、保育従事者への5万円給付などを他市に先駆けて実施したことは評価できます。
さらに今年度の、濃厚接触者とされなかった人に対する全額市負担のPCR検査、小・中・幼・保・市立高校での抗原検査、コロナ対策改修・備品・消耗品購入補助、来年度からの、高校生への就学援助も大きな前進と言えるものです。
しかし20年度のコロナ対策を考えれば、21年度、22年度に実施、あるいは実施予定の対策は、20年度中に実施すべきだったものです。
20年度実施の減収した業者への10万円給付についても、対象であったにもかかわらず、周知不足から申請をしないうちに申請期限を過ぎてしまった業者が少なくなかったことも大きな課題です。
開発・ハコモノ優先しコロナ対策は不十分
公共事業では、税金の使い方として、コロナ対策の財源確保という点でも、中止あるいは、せめて凍結すべき不要不急のものが目立ちました。
こうした不要不急の開発・ハコモノを中止、せめて凍結すれば、大規模検査や補償、医療機関・医療従事者への財政支援の財源がつくれます。
民間再開発ビル補助 8年間で67.7億円
太田駅南口や浜町での民間の市街地再開発ビルへの補助は、昨年3月の当初予算段階では、浜町第2地区(市役所北)、南口第4地区(武富士北)の合計で、総事業費76億円に対して補助金は5年間で、国・市合計23億(市補助11.5億円)とされていました。
しかし現在では、南口第3地区(ドン・キホーテ)が加わり、総事業費は合計193.3億円と2.5倍に。補助金は8年間の国・市合計で67.7億円(市補助33.8億円)と2.9倍にも膨らんでいます。
【浜町第2・南口第3・南口第4地区の再開発補助】
2020年度に9.7億円(国・市:補助合計4.7億円)
いずれも民間の個人(場合によっては複数の個人)が事業主体となって商業施設、立体駐車場を建設する計画。
[浜町第2地区(市役所北)]
2019年度~22年度で58億3,744万8千円の総事業費
補助合計:15億652万円(市・国:各7億5,326万円)
[南口第4地区(三井住友銀行北・西)]
2020年度~23年度で34億1,007万1千円の総事業費
補助合計:11億6,570万円(市・国:各5億8,285万円)
[南口第3地区(ドン・キホーテ)]
2021年度~26年度で100億8,829万8千円の総事業費
補助合計:41億160万円(市・国:各20億5,080万円)
合計 総事業費193億3,581万7千円
補助67億7,382万円(市・国:各33億8,691万円)
大雄建設の交流物産館には2,500万円補助
バスターミナル用地に大雄建設が建設した交流物産館には、2,500万円の補助金が出されました。
サンダーズの体育館 54.5億円を78.5億円に
プロバスケットボールチーム、群馬クレインサンダーズの本拠地となる新市民体育館の建設費は、当初54.5億円とされた建設事業費が78.5億円まで膨れ上がってしまいました。
市民負担は28.5億円以上に
この増額に伴い、企業版ふるさと納税は30億円から40億円に増額とされるものの、実際に市が受けた企業版ふるさと納税はまだ1億円だけ。21年5月補正予算に計上された9億円も含め、どの段階でどれだけの企業版ふるさと納税、つまり企業からの寄附がされるのか、40億円を寄附する企業名も明らかにされてはいません。
これでは、本当に企業から40億円もの寄附がされるかどうかも疑わしいとしか言えません。建設には国補助10億円が決定していますが、市民負担は28.5億円以上になります。
既存体育館は必要な修繕を完了
建設理由は消滅
新市民体育館の建設はそもそも、既存の市民体育館が老朽化によって大規模修繕が必要になったことを受けてのものでした。しかし既存の市民体育館は、10月からのプロバスケットボールB1リーグでサンダーズが試合を行うために、必用な改修が行われたとされています。
そうなると、既存の市民体育館はこのまま使えることになります。そうであるなら、既存の体育館の大規模修繕は今後不要となり、したがって、当初示された新市民体育館の建設の理由、根拠が消滅したことになります。
すると新市民体育館の建設は、まさしくプロバスケットボールチーム、群馬クレインサンダーズという営利企業の儲けのためとなってしまいます。
渡良瀬産業団地を舞台に
関東建設が民間契約を妨害
さらに公共事業にかかわっては重大な問題があります。
渡良瀬産業団地内の区画を取得して事業所を建設しようとする業者と、その建設工事を受注予定の業者の双方に対して、関東建設工業株式会社がその建設工事を受注するため、強引に干渉した実例があるという問題です。
この問題は、単に民間業者間の営業行為で市は無関係というわけにはすまされません。なぜなら、太田市が設立した土地開発公社が、太田市による100億円の債務保証を受けて、太田市から土地開発公社に出向した職員の業務として、つまり事実上、太田市が多額の費用を投入して造成した渡瀬産業団地を舞台に行われた、関東建設による強引な干渉、分かりやすく言えば、業者間の取引、営業への妨害行為です。
法的な問題、違法性はともかく、事実上、太田市が造成した産業団地を舞台に営業妨害とも言える干渉が行われたことは、太田市にとっては見過ごすことのできない問題であり、市による事実確認と再発防止対策が求められます。
201haもの市街化編入
関東建設への利益供与の疑いも
20年度は、決して少なくない面積の農地を関東建設がすでに取得していた区域を含む201haもの広大な市街化調整区域を市街化編入する都市計画の変更がされました。関東建設の利益のためという疑問・疑惑は依然として消えません。
凍結中のスケボー場 2年後に建設の意向
建設費1億円のスケートボード場は現在凍結されていますが、9月議会の答弁で市長から、2年後の建設という意向が示されました。
コロナ対策に逆行し800人の小中一貫校
教育の分野では、23億円をかけて課題・問題の残る、児童生徒数800人の小中一貫・義務教育学校を建設しました。
国保会計
国民健康保険会計では、19年度の総額2.4億円、1世帯平均8千円の国保税値上げを続けています。
後期医療会計
後期高齢者医療会計では、13年度の保険料値上げや経過措置廃止による負担増を続けています。
八王子山墓園会計
八王子山墓園会計では、消費税8%・10%増税を管理料に転嫁したまま継続しています。
介護保険会計
介護保険会計では、保険料を15年度に総額6億円、平均20%値上げし、18年度には総額5億円、平均15%値上げしながら、基金を20年度末で6億円と、15年度の保険料値上げの前年、14年度末より増やしています。
下水道会計
下水道会計では、消費税8%・10%増税を下水道料金に転嫁し続けています。