日本の英語教育、そして日本人の英語能力の一番の難点は’Output’が出来ないことです。
ReadingやSpeakingでのOutputをクリティカルシンキング思考法で考え、同じくクリティカルシンキング思考法によりOutputを行う。
これが英語の原点ですが、どうしてもその肝心な’Output’を訓練することが出来ないままの日本が、このお粗末レベルの共通テストに現れています。
こんなレベルのテストが日本のような国の大学受験であることは、世界に向けても、日本の頭脳を育てる意味でも大問題だと考えます。
[概要]
大学共通テスト出題のほとんどはFact-basedであり、レベルはカナダの小学レベルに相当します。
Face-basedの質問は、Readingの中に明らかな答えがあり、受験者はそれを探せばいいだけ。
内容を分析する必要のある設問はありません。
Face-basedとは「具体的な事実を理解し、自分からもその事実を見つける」レベルです。
脳の発達段階では、6歳〜10歳に当たります。
非常に残念なことですが、reading の内容が極めて退屈です。
例:“Attempting the Three Peaks Challenge” では、ただ単に3つの山に登ったことしか書いていません。 登る途中の植物や野生動物などについても全くなし。 英語表現にも、自然を描写するものでありながら色彩を表す形容詞すら使っていません。 このreadingで生徒に何を学ばせようとしているのか不明です。
共通テストに出題されている英語readingも一般的な概要のみで、英語には必須の具体的な描写がありません。
例:「イギリスからの生徒が書いた新聞記事」にある記述“...since coming to Japan I have seen other problems such as space, time, and cost.” 一体何を言っているのか、なぜそれがペットを飼う上での否定的な要因となっているのかは、具体的な説明なしでは読者を説得することは出来ません。
10歳を過ぎる頃から事実を基にした抽象的な概念を読み取り、それを自分の考えとして発信出来るようになるのが子供の脳の発達です。
17・18歳の大学受験生は、その抽象的な考えを読み取り、分析し、発信出来て当たり前のはず。
その大学レベルの生徒たちに、このレベルの英語テストですか?
ということは、日本の大学生全体の英語レベルもここまで低級と言うことになってしまいます。
ひいては日本の英語レベルが、カナダの小学生レベル、脳の発達段階では10歳を越えていないレベルということになります。
これが日本政府の方針ですか? 本当に?
英語圏大学への留学条件を「語学学校」レベルと勘違いしている日本人が多い原因の一端もここにあるかも知れません。
共通テストの英語が例え満点であっても、カナダの大学入学にはとても届きません。
いや、カナダのGrade9にも届かないことを知っておいてください。
[カナダGrade9の州試験との比較]
Contrast to Alberta (Gr. 9 Provincial Achievement Test): アルバータ州のGrade9がGrade10から大学進学用のコース履修可能かを測るテスト と、日本の大学受験生への共通テストとを比べてみましょう。
50% がWritingです。
* Narrative/Essay (自分の考えを書くエッセイ、自分の語り)
* Functional (社会の実際的なことについて手紙などを形式に沿って書く)
50% Reading
* Poems (詩)
* Story Excerpts (ストーリーの一部)
* Cartoons (漫画から示唆していることを読み取る)
Reporting Category for Reading Test: カナダのGrade9用のReadingテスト評価には下記のカテゴリーを使用(評価基準は一般にも公開されています。)
1. Identifying and Interpreting Ideas and Details
書かれている内容詳細から大切なことを識別し、それが示唆していることを読み取る。
(readingの設定、雰囲気、背景、人物、語り、行動、動機、価値、対立、出来事などと関連させる)
2. Interpreting Text Organization
使用されている英語の種類、形、口調、語りの種類(例:1人称か、など)、構成(例:時系列、因果関係、比較対照)、スタイルから内容を理解する。
3. Associating Meaning
単語、表現、比喩的修辞法から、何が表示されている意味であり、何が暗示されている意味であるかを文脈から理解する。
4. Synthesizing Ideas
集め・分析した情報を統合し、結論を引き出し、一般的な結論としてまとめる。 使われている口調、目的、テーマ、主題、雰囲気などをすべて統合し理解する能力が必要。
Language Function for Reading Test: reading テストには下記の2種類がある。
1. Informational 情報を得るもの
2. Narrative/Poetic 語り/詩
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注意: カナダのGrade9用Writingテストには明確で定義された目的があります。 日本の大学共通テストにはWritingテストは存在していませんので、比較対照することは出来ませんでした。(カナダのWritingテストの目的は、親にも閲覧出来、論議出来るように公開されています。)
[結論]
ご覧のように、カナダ・アルバータ州の生徒は「読んで理解する能力」だけでなく、大切なOutputであるWritingでも評価されます。(Writingテストの目的は、親にも閲覧出来、論議出来るように公開されています。)
日本の大学共通テストについては、Writingテストがないことが致命的です。
テストそのものが存在しないため、目的もわかりません。
Writingテストなしということは、日本の教育の目的は、生産性の高いOuput(言葉で発信すること)の出来ない学生を作ることでしょうか?
高校生のOutput(英語で発信すること)を指導・評価出来る教師が日本には悲劇的に少ないことも大きな欠陥です。
日本には、大学受験に挑む生徒たちのWritten Outputを適切に評価出来る専門家がいないということは重大な問題です。
もし、そうなら、なぜ未だに英語を学校で教え続け、受験科目にも登場しているのか不思議です。
日本の英語教師にもそもそも存在していないOutput能力を、どうやって日本の生徒に教えますか?
日本は昔から、外から入ってきたテクノロジーに適応することに優れた国です。
なぜ、その能力を英語教育にも使わないのでしょうか。
Output指導をProfessional Skillを持つ英語圏からの専門家になぜ委ねないのでしょう?
この共通テストには、自然な英語を書けるNative Speakerの手は入っていないですね。
余りにも日本的な英語が並んでいます。
なぜ、本物の英語と、英語圏の同年代の生徒が取り組むレベルの内容を使えないのでしょうか。
こんな酷い大学受験共通テストを続けることは、大切な日本の将来を担う高校生たちへの侮辱ですね。
何年も何年も日本の生徒たちは、こんなレベルのテストのために膨大な時間を受験勉強とやらに費やします。
そのゴールがこれですか?
もし、日本の英語指導者たちがこんなテストでお茶を濁すつもりなら、受験からは「英語」は外すべきです。
真に基礎語学能力があり、日本の外への興味の深い生徒のみへの選択科目として、日本の英語指導を再スタートするべきです。
何年も何年も同じ低レベルな英語教育を繰り返し、成果も上がらないまま、毎年やっぱり同じことを日本の若い頭脳に強制し、「いつか結果が出るだろう」と誠に愚かな希望を持ち続けている日本の英語教育。
アインシュタインが笑っていますね、絶対。
“Insanity” (アインシュタインの定義)-Doing the same thing over and over again and expecting different results. [同じことを何度も何度も繰り返して、こんどこそ違う結果が出るだろうと期待すること。]
これが “Insanity”。 日本の英語教育。
「日本の英語教育のInsanity」というコラムを書いたのが2011年のことです。
日本の英語教育のお粗末さと、指導教師のレベルの低さと、国の方針に怒りさえ覚え、書いたコラムです。
全く今も状況は変わっていないことにまた怒っています。
最後に、カナダの大学進学希望のGrade12が毎日取り組んでいる内容を簡単に紹介しておきます。
Highlights of English 12: (EN12の内容)
Informational Text: - Short Stories: critical analysis; comprehension; figurative language; paragraph/essay development - Expository/Narrative Writing: research skills; composition; persuasion; narrative/anecdotal - Guided Inquiry paper and presentation; personal essay (scholarship application) -
Literary Criticism: application to one novel and films -
Oral Language: Guided Inquiry presentation; Slam Fest; debate-
Poetry: figurative language; analysis; poetry oral presentation - poetry journal
Mass Media: film study; themes/social issues/values; -
Debate: cross-examination -
Provincial Examination Writing Strategies: (including mock examinations).
かなり高いのレベルの本(短編長編・詩を含む)を1学期にたくさん読みます。
その上で取り組むのが上の内容です。
これがAレベルで出来るなら、カナダの大学に来てください。
日本の教育が目指しているらしいお粗末な英語レベルから、日本の優秀な頭脳を救い出すためにカナダから世界レベルに届く英語運用法とクリティカルシンキングを教えています。
Outputを特に訓練するカナダから直接指導しているカナダクラブです。
日本の英語教育に落胆していますか?
じゃぁ、カナダクラブにいらっしゃい!
間違った平等教育がはびこり、「伸びる優秀な脳」も「学び方が異なるため切り捨てられる脳」も完全に無視。
知能指数の真ん中辺りの生徒を対象にテストを作り、「教育」だと勘違いしている日本から、生徒たちを救い出したいと太平洋の彼方から戦っています。
頑張る日本のみなさん、本当に英語でのOutput能力が出来たら
カナダにいらっしゃい!
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Podcast [カナダにいらっしゃい!]